なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高齢女性の腸閉塞

2019年08月25日 | Weblog

 昨日は内科日直だった。90歳女性が下腹部痛で救急搬入された。普段はADL自立の元気な方らしい。受け答えははっきりしていた。

 前日の夜間から腹部の違和感があったそうだ。その日の朝起きてから、下腹部痛が続き(持続痛)、救急要請した。血圧が高値だが、痛みのためと思われた。それ以外のバイタルは発熱もなく、異常はない。

 救急車内で嘔吐していて、搬入時も嘔吐していた。腹部症状のためもあるが、救急車での搬入そのものによるのかもしれない(その後は嘔吐がなくなったから)。下痢はない。ふだんは便秘気味だそうだ。

 下腹部正中に帝王切開の手術歴があった。腹痛も下腹部正中で、圧痛があった。やや下腹部が膨満している。反跳痛ありとはいえなかった。デファンスはない。まずは癒着性腸閉塞が疑われる。

 血液検査の結果をみて、CTをできれば造影で行う予定とした。その前に立てそうなので、胸部X線と腹部単純X線(立位・臥位)を行った。明らかなニボーはないが、小腸ガスが少し目立つかもしれない。血液検査で炎症反応上昇はなく、肝機能・腎機能なども正常域で問題なかった。炎症性疾患ではない。

 造影腹部CTで、右下腹部から正中にかけて回腸がぐるっと回転している。子宮の左側に腸管が落ち込んでいるようだ。絞扼性腸背閉塞と思われた。腸管壁は造影されていて、虚血にはなっていない。

 外科日直の先生(大学病院からのバイト)に診てもらうと、「腸管壁は造影されているし、すぐ手術するほどでは」ということだった。経過をみるにしても外科で診てもらいたいので、外科当番の先生が院内にいたので連絡した。

 ほかの患者さんをいる診てうちに、気が付くと外科医が家族に手術の説明をしていた。麻酔科医の手配や、手術室の看護師さんの呼び出しがあり、そのまま緊急手術になった。仕事が早い。

 手術自体は短時間で終わったそうだ。後で外科医に訊くと、小腸が卵巣と腹膜の癒着したところにひっかかって閉塞していた。その部位だけ切って、あとは腸管を戻して終了になっていた。

 手術が必要と言われた患者さんは、「もう死んだ方がいいわ」と言っていたが、術後はすぐに回復して元気に退院していくのだろう。

 

コメント (1)
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