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一発診断
第10回 39℃の発熱と右頸部に痛みと腫脹がある33歳男性
Script illuness19
68歳男性
現病歴:
数日前から右側腹部のヒリヒリ感があり、其の後、ぶつぶつが出て痛痒いため受診
身体所見:
デルマトーム(Th10~11)に一致した神経痛と水泡を伴う浮腫性紅斑→帯状疱疹
2週間後 数日前から急に右横腹が膨らみ、便秘になったため受診→同領域に帯状疱疹による色素沈着
腹部CT:腹腔内病変(-)ヘルニア(-)
一発診断:偽性腹壁ヘルニア
偽性腹壁ヘルニア
概念:
・帯状疱疹にみられる、デルマトームに位置した欠損のない腹壁の膨隆
・後根神経節の炎症が前角・前根に波及することで運動神経障害が生じ、腹壁筋の筋力が低下することで生じる
・帯状疱疹の3~5%でみられる
・皮疹が出現して2~6週間以内に出現(平均3.5週で出現)
・男性に多い(4倍)
・Th11領域で最も多くみられる
・立位や息みで腹部が膨隆する
・腹圧の低下
・自律神経障害による腸管運動の低下→便秘・偽性腸閉塞(約20%)
・約89%の症例が2~18影地以内に完全に治癒する(平均4.9か月)
・帯状疱疹の運動神経障害の程度により、側彎や歩行障害を来すことがある
鑑別診断:
糖尿病性胸部神経根障害
・糖尿病性神経障害のひとつ(体幹ニューロパチー)
・胸神経の分布に一致した胸腹部の痛み・感覚異常
・運動枝が障害されると腹筋が弛緩し、腹部が局所的に膨隆する
・体重減少を来すこともある
一発セオリー:
帯状疱疹罹患後に腹部が膨隆してきたら・・・
偽性腹壁ヘルニア
これはまったく経験がない
Script illuness20
33歳男性
現病歴:
39度の発熱と頸部痛を訴えて受診
身体所見:
・扁桃の腫脹、白苔の付着はない
・右頸部に発赤、熱感、腫脹、圧痛を認め、後頸部リンパ節の腫脹(+)
検査所見:
・白血球3000/μL(異形リンパ球3%)、CRP6.0mg/dL、LDH400IU/L
一発診断:
亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)
亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)
概念:良性の非化膿性リンパ節炎
病因:はっきりわかっていない
・ウイルス感染
・自己免疫
・アレルギー
疫学:
・40歳未満に多い
・やや女性に多いと言われていたが、最近の報告では性差なし
症状:三徴
1.発熱(35%)
2.圧痛を伴うリンパ節腫脹(100%)
・0.5~4cm大(約90%)(ときに6cm)
・自発痛(約60%)
・片側性(約90%)
・後頸部(約90%)>鎖骨上窩、腋窩、鼠径
・両側性・全身性(約3%)
→縦隔・腹腔内・後腹膜はまれ
3.白血球減少(43%)
そのほかの症状
・倦怠感(7%)
・関節痛・筋痛(7%)
・肝脾腫(3%)
・その他:寝汗・体重減少・嘔気・嘔吐・下痢・腹痛
検査所見:
・白血球減少(43%)
・異型リンパ球(25%)
・血小板減少
・フェリチン上昇
・貧血
・血沈亢進(70%の患者で60mm/Hr)
・肝胆道系酵素上昇:とくにLDH
治療:
・数週~数か月以内に自然軽快
・消炎鎮痛薬で対症療法
・症状が強い場合もしくは経過が長い場合:ステロイドの内服(0.4mg/kg/日)(20~30mg/日)投与のタイミングの明確な基準がない
消炎鎮痛薬で症状が改善した場合は施行するまでに至らないため。確定診断されないまま治癒する
予後:
・再発例あり(3~4%)
・SLEに移行することがある(約3%)
:108人のうち15年間で2人が発症
:108人のうち5年間で3人が発症
↓
再発の過程で抗核抗体が陽性化することがある
注意すべき併発疾患
・SLE
・無菌性髄膜炎
・成人スティル病
・多発性筋炎
・抗リン脂質抗体症候群
・甲状腺炎
・自己免疫性肝炎
一発セオリー:
若年成人で発熱、圧痛・自発痛を伴う後頸部リンパ節の腫脹、白血球減少、LDH上昇をみたら・・・
亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)
これは数例経験がある。症状が軽度で外来治療で軽快した症例もあった。整形外科クリニックの看護師さんが、当院の内科外来を2回受診して、その都度鎮痛薬などが処方されたが、症状が続いた。以前当院に勤務していた先生だったので、常勤医が診察するよう電話が来て、話を聞いただけでわかるくらい症状が典型的だった。入院後に外科リンパ節生検してもらった症例もある。全例女性で、症例が少ないのでその後にSLEを発症したというのは経験していない。