那須太社 錦輔 の日記

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野中広務 権力の興亡

2014-05-06 20:20:49 | 読書感想文

図書館で借りてきて本日読了。

面白かった。

地方自治体の政治家としての道を歩んできた氏は、1983年、58歳にして衆院補欠選挙に当選する。

親交のあった竹下登氏との縁で、田中派に所属するが当選直後に田中角栄氏に懲役4年の有罪判決がでる。

また、その2年半後の1985年2月、竹下登氏は田中派を割る形で「創政会」を発足。金丸信氏や後に七奉行といわれる大物たちと共に野中氏も参画する。直後、田中角栄氏は脳梗塞で入院することとなった。

竹下氏は1987年内閣総理大臣就任。創政会も同年、経世会へと改称。

1988年リクルート事件という疑獄事件が発覚、自民党政治への不信がたかまる。

翌1989年、自身もリクルート事件の疑惑で追求され、内閣支持率の低下などから竹下氏は総理大臣を辞職する。

経世会においては、竹下氏の総理辞職後も金丸氏が会長を続投し実権を掌握、また子飼いの小沢一郎氏の独断専行が他の実力者から問題視される。

1990年、経世会・自民党・国会・日本の最高実力者となった金丸信氏率いる訪朝団に加わって、野中氏も北朝鮮を訪問する。最終日に金丸氏のみが金日成との会談に呼び出され、そこで不用意に言質をとられ後に大問題となる。

1992年、東京佐川急便問題が発覚、10月金丸信氏は議員辞職、経世会会長も辞職。事件への対処をめぐって経世会内部で小沢一郎派と反小沢派で対立我が生じ、経世会は分裂状態となる。野中氏は反小沢派に属する。

このあと、細川連立政権が成立して自民党は野に下るわけであるが、そのあたりから野中氏の政治活動に拍車がかかるのである。

選挙に大敗して野党になった自民党の政治家たちは皆意気消沈して昼行灯状態だが、地方議会で野党生活が長かった野中氏は意に介さないというか、水を得た魚のように暴れまくる。

当時の事だった思うが、テレビで対立する陣営を糾弾する野中氏の演説を見て、格好良いなあ、と思ったものである。

当時は政治の事などなにもしらず、直感的な正義感だけで見ていたのだが、禿げの甲高い声の小柄な人なのだが、気が強いというか、品が有るというのとも違うし、もう記憶も定かではないが、他の政治家の演説とは全く異なっていて惚れ惚れしてみていた。なんか、野中氏は瞳の色が茶色じゃなくてグレーっぽい色で冷徹な印象を与えていて、それも強面ぶりを増しているように見えた。

この本は、朝日新聞社刊で著者も左翼系、自民党の保守派を忌避し、野中氏ら保守本流と呼ばれるリベラル派を支持する論調である。

また野中氏も議員辞職後の発言を見ていると詭弁、捏造と思われるような発言があり、この本でも良い事ばかり言ってるが、眉唾で読んだほうが良いとは思う。

しかし、我が国の政治を主導してきた自民党田中派=竹下派が崩壊していくさまが分かって興味深かった。

小沢氏が経世会から離脱し改革フォーラム21というグループを立ち上げ43人を引き抜いていく。

そして細川連立政権を纏め上げるわけである。

しかし、野中氏らはすぐさま反撃を開始し、細川連立内閣は1993年8月9日から1994年4月28日までの約9ヶ月という短命で総辞職に追い込まれ、自社さ連立政権が成立した。

1996年1月自社さ連立の総理大臣村山氏が退陣を表明、自民党の橋本龍太郎氏が内閣総理大臣となる。

10月衆院選が行われ、自民党が快勝、社会党、さきがけは閣外に去る。

1998年、社さ、との連立を解消、自民党単独政権となる。しかし同年7月の参院選で自民党は大敗、橋本内閣は総辞職した。

野中氏は対立していた小沢一郎氏に「ひれ伏してでも国会審議に協力いただきたい」との構えで、自民党と小沢氏の自由党の連立、さらに公明党もふくめた自自公連立政権を作ってしまう。社会党とさきがけは野に下った。

これで戦いが終わったわけではなく、小沢一郎氏とは再び袂を分かち、矛を交えることになるのである。また参議院のドン、青木幹雄氏とも戦い、期待をかけていた加藤紘一氏が「加藤の乱」を起こしたときは泣きながら潰したという。

また、主に内政畑を歩んできた野中氏は外交には疎く、郵政民営化、省庁再編成といったアメリカからの圧力に対する政治には関与することがすくなかったみたいだ。

アメリカの意を受けた小泉氏が橋本氏を破って総理になった後は、経世会も力を失い野中氏も政界を引退する。

本書中にも、長銀の処理(アメリカの投資ファンド、リップルウッドに売却された)について、柳沢伯夫金融再生委員会委員長が総選挙直後の組閣前に勝手にアメリカに行って決めてきたことだと言っている。

北朝鮮とか中国に対して、厳しいことを言ってきたとか言ってるが、これは信用できない。

アメリカが小泉氏を使って野中氏を潰した、のではないだろうか。

そして、野中氏は国士ではなかった。朝鮮人や中国に傾倒する人権派の最も強面の政治家であった。

したがって、アメリカさんには「野中さんを潰してくれてありがとぉ」と言わなければならないかもしれない。

なんか酒を飲みながら書いてたら支離滅裂になってきた。もう寝よう。

 

 

 

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