ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

味覚について

2014年10月28日 01時43分24秒 | 食・レシピ
少し前に「子供の味覚がおかしい」「30%の子供が基本の味を知覚できない」とニュースでやっていました。

それを受けたFBなどでの投稿で「最近の子供は・・・」とか「今はちゃんとした料理を親が出さないから・・・・」などというものが目立ちました。
言わんとすることは判らないでもありません。

また、それらの投稿を捉えて「そうはいうものの、昔から同じではないか?」「昔だって味の濃いものは好きだったし・・・」という反論投稿もありました。

正直いって私は後者に軍配を上げます。

50代の私がそう思うのですが、前者を書いておられるのは20代や30代の方が多いのですね。

つまり彼らから見れば「今時の若い者は」なんです。
私の感覚や経験では味覚的に正常な育成をするものって何なんでしょうか?という気持ちです。



ソムリエを永くやっていると味覚の難しさは存分に知っているつもりです。
いわゆるブラインドテイスティングで微妙な差のワインを当てるなんて殆ど無理なんですね。

この前の全日本コンクールでの話。
色つきグラスを使ってのテイスティングではロゼを白と答えたり赤と思ったり、世界大会ですら「かなり近い」という答えすら難しかったのはワインファンならご存知だろうと思います。

例えば汗を掻いた後の塩分は少なく感じますし、湿度で香りの感じ方も変ります。


あのニュースはたった350人のサンプルで、しかも世代別の比較もありませんし、条件(季節や時間、空腹時過食後かetc…)などの提示もありません。

ニュースを「全て嘘」とは言いませんが、それだから「今の子は・・・・」と思っていると自分を見失います。

味覚は難しいし、そんなにプロのテイスターのような分析が出来る必要があるとは思いません。
咀嚼力が弱った、なんて言う人もいますが、日本人は昔から固いものをしっかり噛むという民族ではなく、それは顎の骨格を見れば一目瞭然です。だって柔らかい魚=箸で簡単に切れるものなど=をメインに食べているのですからね。

「今時の若い者は・・」的な話は過去にも書きましたが、この話も同じです。
「自分は判るけれども今の子は判らないはず」と優位性を感じたいのかな、という事です。

56を迎える私ですが、先輩や親世代からすると「苦労も知らない」ですし「鶏肉は養鶏所で貰ってきて自分でさばいて食べるんや」と言われたり(とはいえ、それは子供の頃はタマにありましたが)・・・・・
一体、どの世代が味覚に鋭いのかな、と問いかけたいと思います。

少なくても、そむりえ亭に来られる上下70歳位(80歳位から、そむりえ亭の料理を食べられる小学生まで)の中ではそんなに違いがなさそうですよ!!

ま、皆さん、楽しく食事をしましょう!!ということで・・・・・


             樋口誠

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