[恥を感じやすい人間こそ、善行のあらゆる掟を実行する人である。]
◇日本人を分析した名著「菊と刀」の一節だ。
我々日本人は、世間に対する「恥」を一番の行動原理に置いている。
また、日本が「恥」の文化なら、キリスト教圏であるアメリカは、
「罪」の文化だ。
◇しかし最近の日本では、世間なんて存在しないような振る舞いが目につく。
世間に対して「恥ずかしい」なんて感じている人間は、老若男女を問わず、
ほとんどいないかのようだ。
また、自分に対しての恥ずかしさすら持ち合わせていないような人間も
数多くいるようになった。なんと寂しいことだろう。
◇私たちは、「恥」を感じやすいという美点をもう一度取り戻すことだ。
シャイとは違う、「恥ずかしい」という感覚をもう一度思い出すことだ。
そうしなければ、社会の中で毅然とした態度なんて
取れない人間ばかりになってしまう。
そんな日本ではいけないはずだ。