東西圧縮回流記

仙台青春風の旅 ブーメランのように 

5.上砂川の落下塔 無重力夢の途中や夏の旅

2021-07-06 | 旅・趣味・自転車ほか




夏草や兵どもが夢の跡 芭蕉

無重力夢の途中や夏の旅 ・・・ 歳歳(オソマツ!)

写真は北海道上砂川町の無重力実験施設だ。滝川市に近い。名称は日本無重力センター(Japan Microgravity Center: JAMIC) で石炭掘りの立坑を利用したもので、垂直の落下距離は700mほどある。この立坑に重さ5トンのカプセルを自由落下させるのだから凄い。得られる微小重力の時間は約10秒。約30年前に開設された。開所式に管理職が出席するように指示があった。暇そうなボクにも白羽の矢が立ち、セレモニーに出席した。

無重力実験を開始したのが30年ほど前のことだ。同期の優秀な人が上司の指示で会社内に高さ10mほどの落下塔を作った。彼は宇宙関連の部門へ移動し、落下塔の施設はボクが引き継いだ。宇宙用の推薬タンクの液体移送や気泡分離の実験を行った。宇宙の微小重力の環境では重力がほとんどないため、表面張力や電界などの小さな力が支配的になる。

推薬タンクの気液分離に関して会社内の落下塔施設のほか、米国NASAのKC135旅客機や三菱重工のMU2型機、それに上砂川のJAMICを使って微小重力条件下の実験を行った。

この一連の実験を始めたころ、ボクのもとに修士終了の優秀な新入社員が配属された。そこで同じく優秀な博士卒の人と組み合わせて米国の基地でのKC135実験に送り出した。
後日談だが、上司はボクが米国で直接実験を行うことを期待していたそうだ。ボクはとっさの判断で、こんなに優秀なら準備を手伝わせるよりは全部任せたほうが良いと判断し実行した。彼は短期間に博士論文をまとめて学位を取得し、その後、担当した2人は大学教授として迎えられ、現在も活躍していることを見るとうれしいものです。会社としては惜しい人材を手放しましたが社会貢献と考えればいいのかも知れません。
 

KC135旅客機 無重力実験

今井ほか ベーン型表面張力タンク


三菱MU2 無重力実験


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 越えて行け 利尻富士 | トップ | エスカロップ根室名物 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

旅・趣味・自転車ほか」カテゴリの最新記事