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ホタルと、門限

2022年07月08日 | 【海外校 アメリカ地区】

 こんにちは。駿台ミシガンです。

 夜になるとホタルが飛び交わしています。庭や道路脇の植え込みなどが、数秒おきに、ぽぅ、ぽぅ、と、ほの明るくなるので、ホタルがいるのだとわかります。日本のホタルというと水辺にいるという感がありますが、当地のホタルは種類が違うのでしょうね。

 「夏は夜 月のころはさらなり。 やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。 また、 ただ一つ二つな ど、ほのかにうち光りて行くもをかし。(「枕草子」清少納言)」

 千年前から、ホタルは夏の定番でした。「源氏物語」にも「蛍」という巻がありますし、「伊勢物語」では 

「行く蛍 雲の上まで 住ぬべくは 秋風吹くと 雁に告げこせ」

 という和歌が詠まれています。最近では「螢川」(宮本輝)や「火垂るの墓」(野坂昭如)などが有名です。

 ミシガンはこの時期、夜になってもなかなか暗くならず、とっぷりと暮れるのは夜の9時過ぎです。ですから、ホタルが見られるのも、かなり遅くなってからです。

 私が幼い頃に住んでいたところでは、夕刻になると防災無線から「ゆうやけこやけ」が流れて来ました。外で遊んでいる子どもたちは、みなそれを合図に友だちと別れて、自分の家に戻っていきました。私はそうした「門限」を守らなかったために、ひどく叱られたという記憶があります。

 ところが、ここミシガンではなかなか日が暮れないからなのか、日本的「門限」の観念からすると驚くような時間まで、子どもたちが外で遊んでいます。こんなところにも、文化の違いが見られます。否、こうしたことは日米の違いではないのかもしれません。日本でも最近は夜中のファミリーレストランに子連れの家族いるのを目にしますから。

 ホタルを話題にすると、ミシガン校の小学生などは在米期間が長い子であっても、自分の家の庭にホタルが舞っているというのに、そのことを知らなかった、ということも少なくないようです。ミシガンの生徒たちの心には、夕方になると「ゆうやけこやけ」が鳴っているのかもしれません。でも、ホタルが飛ぶ夜の景色を見られないのはもったいないな、とも思うのです。

  駿台ミシガン国際学院 S.T


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