文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

丸紅、豪で路面電車…日本経済新聞 6月10日(金)9面より

2011年06月10日 17時18分51秒 | 日記
丸紅はオーストラリアのゴールドコーストで新型路面電車(LRT)の建設・運営事業に乗り出す。

フランスや豪州の有力企業と連合を組み、全長13キロメートル、16駅からなる鉄道を敷設。2014年に開業し、共同で運行と保守を手がける。総事業費は10億豪ドル(約850億円)。
丸紅は豪州での実績を基に、アジアなど新興国で鉄道事業の受注拡大を狙う。

ゴールドコースト市が官民パートナーシップ(PPP)方式で発注した鉄道事業を請け負う。

プロジェクトには丸紅のほか、仏国鉄グループのケオリス、加ボンバルディアグループ、豪建設大手のマッコーネル・ダウエルなどが参加。共同出資で鉄道の建設と運営を担う事業会社を設立する。

丸紅は事業会社に約20億円を出資し、26・67%の持ち株を取得。筆頭株主として事業を主導する。

鉄道と各駅の建設、車両の配備に総額700億円を投資する計画で、企業連合は欧州の大手銀行団から300億円強を調達。豪州政府も300億円強を拠出する。

日本企業が海外の鉄道PPPに本格参加するのは初めて。

私の履歴書 山下 洋輔…日本経済新聞 6月10日(金)より

2011年06月10日 16時13分34秒 | 日記
翌年、1966年に貞夫さんから声がかかりバンドに参加できることになる。24歳で大学5年生(!)の時だった。

在学中の学生が渡辺貞夫と演奏をするとなったら今のぼくの立場でもびっくりするが、実は今、国立音大でまたそれが起きている。

ビッグバンドのニュータイド・ジャズ・オーケストラが一昨年の夏に「ヤマノ・ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト」で優勝して、ご褒美に貞夫さんと共演ができた。

その後味が良かったのか昨年末のプロジュクトにも呼ばれた。そのうちにピアノの兼松衆とドラムの小田桐和寛が抜てきされてカルテットでラジオ番組の収録に参加した。

一方で貞夫さんは、今年から招聘教授として月に1度国立音大で授業をしてくれている。
このようなことになるとは予想もできない45年前、ぼくはどきどきして新宿「ピットイン」に出かけた。

ドラムスの富樫雅彦、ベースの原田政長という名人2人がそろっていた。

貞夫さんはファースト・セットでバリバリのビバップを、セカンド・セットではフルートも使ってボサノヴァを演奏するというプランだった。

日本でボサノヴァが本格的に演奏されたのはこれが初めてではないかと思う。

毎週末、会場は超満員になった。このグループでは「ジャズギャラリー8」でもやり、ある時は四谷にあった「サテン・ドール」という店にも出た。

この時は、演奏旅行で来日していたベースのリチャード・デイヴィスが貞夫さんに会いに来て弾いて行った。

この「サテン・ドール」では忘れられない思い出かおる。ある日、東京公演に来ていたデュータ・エリントン一行が仕事のあとやって来た。

待機していた富樫、原田、山下が、何とその目の前で「サテン・ドール」を演奏したのだ。弾き終るやいなや、山下はトイレに逃げ込んでそのまま出てこなかった。恥ずかしいという以上に非常に無礼な行為だったと今は反省している。

下手でもなんでもちゃんと挨拶をすべきだった。向こうは何かを言ってくれるはずで、それをきっかけに会話を続け、連絡先を交換して「アメリカに行ったら連絡させてください」、と言っても怒られはしないだろう。

こうして「東京で目の前でサテン・ドールを弾いて、エリントンを感心させた日本の若者」という伝説を作ることができたかもしれないのだ。それがただトイレに閉じこもるだけとは。

本当に若く未経験というのは仕方の無いものだ。今のぼくがそこにいたら、このヤマシタをトイレから引きずり出してエリントン様にご挨拶させるのだが。

やがて、原田さんがピアノの鍵盤を丁寧に拭いてから、にこにことエリントンを誘う動作をした。

するとエリントンが上機嫌でピアノの前に座って、何も言わずに「テイク・ジ・Aトレイン」を弾きはじめた。

それも3拍子でだ。富樫、原田の力量が分かって何をやってもついて来ると判断したにちがいない。

サビから4拍子になったが、2人は今まで何度もやっていたようにさっとついて行く。

素晴らしい演奏が終わると、すぐに今度は「キャラバン」が始まった。

何という豪華な出来事だったのだろうか。1966年の東京四谷の狭いライブハウスにはその夜黄金の時間か流れていたのだ。

(ジャズピアニスト)

近代主権国家を操縦する条件

2011年06月10日 15時24分50秒 | 日記
それにもう一つ、日本の政治過程とアメリカの政治過程とを比較するうえで重大なことがある。アメリカにおいて異常で矮小な人物が権力を握っていてはならないアメリカ人は、かかる人物が権力の座にあることを許さない。

何としてでも引きずり下ろそうとする。このことである。この点、どんな異常な人にでも、どんな阿呆にでも、権力を預けても平然としている日本人とは根本的に違う。

アメリカ人は、このことをまた、次のようにも説明する。「大統領は核兵器の発射ボタンを握っている。少しでも異常の気のある人物に、それを任せられるか」と。それもある。が、より本質的には、アメリカ人は近代国家権力というものを、よぐ理解しているからである。

近代主権国家における権力は絶対である。前近代的専制国家における権力が、伝統主義的制約を受けているのとは違う。
近代国家の権力は旧約聖書に描かれたリヴァイアサン。ゴジラよりも恐ろしい怪物である。

その怪物を操縦する者は、まず第一に、正常でなければならない。精神のバランスを失した異常な人物に政治権力を委ねることは、グデングデンの酔っぱらいに自動車の運転をさせるよりも危険なのである。

次に、偉大でなければならない。近代主権国家の操縦は、高度の政治力(徳 virtue)を必要とする。ゆえに、偉大でない人物に政治権力を委ねることは、狼に飛行機の操縦を任せるよりも危険である。

日本国民に告ぐ,小室直樹,ワック出版,P114-115より抜粋

日本の「失われた20年」を作ったのも、今の惨状を作ったのも、彼等…。

2011年06月10日 13時25分08秒 | 日記

案ずるより フジマキに聞け、藤巻健史 週刊朝日6月17日号から。 文中黒字化と*は私。

菅政権の二つの失敗

…前略。

菅さんの失敗の第一は、公約に掲げた「政治主導」がうまくいかず、それでも「政治主導」を印象づけるための「パフォーマンス」が過ぎたことだろう。本来の「政治主導」とは「日本の将来」に対するビジョンを明確にし、それを達成する細かい戦術は官僚に任せることだと思う。
 
しかしながら民主党は思想が異なる人々の集団で、党として明確なビジョンが打ち出せなかった。これでは「政治主導」などできっこない。
 
第二の失敗は、今回のような危機の際に最も重要なリーダーシップが発揮されなかったことだ。
 
外資系企業は、トップによって業績が大いに変わると、以前この欄に書いた。トップダウン方式で意思決定がなされるからだ。
 
ただ、それがうまくいくには条件がある。外銀時代の私の上司は「彼が私の上司なのは当たり前」と思う実力者ばかり。私よりも明らかに頭脳明晰、経験も能力もある人たちだった。その組織でいぢばん知識も経験も実力もある人がトップに座るからこそ部下がついていく。それゆえリーダーシップが発揮され、業績を向上させることができる。つまり、菅内閣の布陣ではどだい無理な話だった。

*民主党には居たのである。3年前、初めての政権交代をほぼ手中に収め、明治以来続いた中央集権国家の弊害を正すと公言した元代表である。

官僚の間に残った戦前以来の伝統…小室直樹「日本国民に告ぐ」より…が、彼に対して権力をふるった。その反民主主義そのものの横暴に、同様に、戦前以来の伝統を残したままのマスコミが同調し、この当代最高の識見を持った政治家を「悪い奴」に、一緒に仕立て上げた。

日本の「失われた20年」を作ったのも、今の惨状を作ったのも、彼等…官・言複合体…なのである。彼等の論法とは常に「悪魔の三段論法」…或る者は、サンデルの正義論を枕詞として、或る者は現首相夫人を持ち上げて…それぞれ何の話かと思えば、彼を悪人に仕立てるための話だった。

戦争に導いたのも彼等、今を作って居るのも彼らなのである。これほどに悪辣で愚かな彼らに誘導され続ける国民の知能指数を、我々は、考えるべき時に来ているのだ。


財政破綻まぢかなうえに大震災が起きた日本は、いま強力なリーダーシップを持った「救国内閣」を必要としている。
 
だとすれば、きちんと将来のビジョンを語る総理のもとに、その道の最高級のプロを大臣としてずらっとそろえるべきだ。危機の際は、総理大臣はともかく、大臣がすべて政治家である必要はまったくない。最高級のプロがトップになれば、自負心のある官僚も言うことを聞く。まさに政治主導で国難に対処できる。
 
米国では、ハーバード大学の教授だったサマーズ氏や、ゴールドマンーサックスの共同経営者で金融に精通していたルーピン氏やポールソン氏というプロ中のプロが、政治家ではないのに財務長官になった。そして配下のプロ集団を采配した。だからこそ、金融危機を早期に収拾できたと思い出すべき時なのだ。


農地に流れ込むマネー…日本経済新聞6月10日(金)7面から

2011年06月10日 11時49分39秒 | 日記
米穀倉地帯イリノイ州中部のペソタム。農家のマイクーローゼンバーガー氏(60)に5月、地元の農業信用組合から電話が入った。「1エーカー(約4千平方び)8千ドル(約65万円)強で農地の出物があるが、興味かおるか」。返事はノー。「そんな高値で農業の採算が合うとは思えない」

8千ドルといえば10年前の2倍強だ。確かに足元のトウモロコシ相場は1ブッシェル7ドル超に高騰し、自分も潤ってはいるか、商品相場は水物との思いがある。ほんの6年前は2ドル前後たった。高値が続く保証はない。今の土地取引は「私にいわせれば、正気と思えない」。
 
中西部で急速に広がる農地の高騰。その背景にあるのがウォール街のマネーだ。5月2日、ニューヨークのウォルドルフ・アストリア。歴代大統領が利用する高級ホテルで催した農業投資のカンファレンスには、スーツ姿のウォール街の金融マンや投資家ら500人強が集まり、立ち見まで出る盛況となった。
  
「農地の賃料収入と作物の収穫で、安定した利回りを稼げる魅力的な投資対象だ」。ウォール街のバンカーを辞め、1998年に農地投資家に転身したポールーピットマン氏は話す。現在8千エーカーを保有し、年率10%超の利回りだという。その成功の背中を追うように、年金やヘッジファンドが押し寄せている。

経済協力開発機構(OECD)によると、ファンドや民間企業が農業に投じた投資額は2010年で140億ドル。次の数年間でこの2~3倍が投入される見通しだ。

安定利回り、インフレヘッジ、株式や債券との低い相関関係ー。ウォール街の手により投資商品として仕立て上げられる農地。世界の人口増と新興国の食生活向上で、構造的に食糧が不足するという問題も根底にある。金融危機後に高まる「実物資産」志向に見事にはまっている。

一方で、中西部の古い農家ほど、商品相場の気まぐれさとレバレッジの怖さを知る。親世代の苦労を見ているからだ。70年代は毎年のように出荷価格が上がり、金利も低かった。しかし支払金利が2ケタに上がり、借金して農地を広げた農家ほど苦境に陥り、80年代に手放す例が相次いだ。

食糧不足から農産物高騰は続くかもしれない。ただ、生産地の天候不順など短期要因も多分に影響している。雇用拡大や成長投資に吸収されない緩和マネーが、ゆがんだ形で流れ込んでいる面は否めない。

「次のバブルの候補は農地」。住宅バブルにいち早く警鐘を鳴らしたエール大学のシラー教授の新たな予言だ。 

米国内はまだ生易しい。南米やアフリカの農地の急騰ぶりは著しい。米調査会社によれば、ウルグアイのリオーネグロの農地は過去10年で9倍に跳ね上がった。外国資本による買収が起こす摩擦も伝わる。

先進国の緩和マネーが世界にばらまかれ、農地価格を押し上げる。今は強気で染まる農地投資だが、持続的かつ適正な利潤を前提としたものだったかを問われる場面はどこかでありうる。ローゼンバーガー氏らの親の世代と同じストーリーが、新たな場所で進んでいるかもしれない。

(米州総局編集委員 藤田和明)

海外マネー受託4割増…日本経済新聞6月10日(金)4面より

2011年06月10日 10時46分44秒 | 日記
国内の資産運用会社が海外から受託する日本株運用が急速に回復している。

2010年度末の海外マネーの受託残高は22兆5209億円と前年比4割増えた。
野村アセットマネジメントなどの大手は今年3月の東日本大震災後もアジアの政府系ファンド(SWF)や年金基金から受託。

長期投資の海外マネーが震災後の株価急落で生じた割安感や日本企業の高い技術力に注目し、日本株の見直し買いに動いている。
 
日本証券投資顧開業協会が運用会社の海外顧客からの受託残高(日本の個人向け外国籍投資信託を一部含む)を集計した。

残高の増加は2年連続。海外からの受託の中心は日本株の運用だ。海外マネーの受託は06年度末をピークに欧米の金融危機や日本株相場の低迷で減少傾向にあったが、ここにきて持ち直しが鮮明になっている。

高い経済成長で運用資産が拡大するアジアの投資家から日本株運用を任されるケースが目立つ。
野村アセットは震災後にアジアのSWFなどから10億ドル(約800億円)近い追加運用を受託した。

「日本株に割安感が出る中、銘柄をうまく選別すれば高い運用成果が見込めると判断したようだ」(国際業務部の市村吉也部長)4月以降も海外マネーの受託は続き、DIAMアセットマネジメントはアジアの公的年金から100億円強の運用を受託した。

5月に東南アジアの運用会社から日本株ファンドの運用を託された日興アセットマネジメントは「震災でアジアの人々は日本企業が世界経済に占める重要性を強く意識した」(機関投資家事業本部の大都勝史氏)と指摘する。

「自前で日本株を運用していた海外投資家が、日本株に強い運用会社に任せるケースも出てきた」(大和住銀投信投資顧問の一条俊輔専務)との声もある。同社は10年度中に米国に本部を構える国際機関の年金基金から、日本の中小型株の運用契約を獲得した。

ある大手運用会社は受託した資金の投資先として「自動車や機械など新興国で売り上げを伸ばす企業」を挙げる。「日本のクリーンエネルギー技術に注目する海外投資家も多い」(DIAMアセット)。運用会社の海外マネーの受託拡大は日本株相場の下支え役になっているといえそうだ。

東京証券取引所によると、外国人投資家の日本株売買は5月下旬に30週ぶりに売り越しに転じた。米景気の回復ペースの鈍化や日本の政局の混迷を受け、ヘッジファントなど短期運用が中心の投資マネーが売りを出しているとの見方かおる。

ただ、海外投資家が運用を日本の会社に任せる場合は「外国人買い」として集計されない。

年金など長期投資スタンスの海外勢は「今年度後半の復興需要や株高を見込んで新規の投資資金を預けてきている」(DIAMアセット国際営業推進グループの奥田恵一郎部長)との声が根強い。

世界で最高の建設物をつくる…6月10日(金)朝日新聞9面より

2011年06月10日 10時21分46秒 | 日記
米アップルは、本社があるカリフォルニア州クパチーノの市議会に対し、1万2千人が働く巨大な円形の新社屋を建設する計画を提示した=完成予想図。スティーブージョブズ最高経営責任者は「着陸した宇宙船のような姿」と表現した。

建設予定地は、今の本社のすぐ近くにある約150エーカー(約60万平方メートル)の敷地で、米コンピューター大手ヒューレット・パッカードからすでに購入した。

2012年にも着工し、15年に完成させたい方針。
建物は4階 建てのドーナツ状で、直営小売店「アップルストア」の経験を 生かしてガラスを多用。中庭や周辺に樹木をたくさん植える。

現在の本社は2800人が収容可能だが、iPhone(アイフォーン)などを成功させて急成長を続ける同社には手狭になっている。病気療養中のジョブズ氏は市議会に出向いて説明し「世界で最高の建設物をつくる」と述べた。

(ロサンゼルス=山川一基)