「文明のターンテーブル」初稿以来、…日本の個人資産1,500兆円の1%でも良いんだ、日本の優良企業の株取得に振り向けよ、と、芥川は、何度も指摘した事は、読者の方はご存じの通り。
保有時価2.5兆円
日本企業の株主が変わり始めた。外国人保有比率が3割に上昇し、新興国の政府系ファンドなどが存在感を増している。
株式持ち合いが崩れるなかで、企業は新たな対応を迫られる。
推定保有額は2兆5300億円。「OD05」という名前の株主が、日本株を次々と買っている。
どんな企業に投資しているのだろう。上場企業の株主名簿(2011年3月末)をもとに、保有先をたどってみた。
上位10株主に「OD05」の名かあるのは123社。保有額が多いのはメガバンク、キヤノン、三菱商事など。新日本製鉄などの大株主にも浮上した。有力大企業だけではない。
昨年上場した半導体ベンチャー、テラプローブの9位株主にも登場するなど、投資対象は幅広い。
「OD05」は信託名義で、真の姿はわからない。保有比率が5%以上になれば実名を開示する義務かあるが、巧みに5%未満に抑えている。
株主調査会社ジェイ・ユーラス・アイアールの岩田宜子社長はこう推測する。「OD05の別名はオムニバス・チャイナ。中国の政府系ファンドではないか」。
ちなみに「OD05」は東京電力の第8位株主。東日本大震災の直後、「中国政府系ファンドが東電株を保有」と現地紙が報じている。
潤沢な外貨準備を運用する新興国の政府系ファンドは、着々と日本株を買っている。
シンガポール政府投資公社は三井物産やオリンパスなど15社の大株主。保有時価は推定1500億円だ。サウジアラビア通貨庁 (SAMA)も、50社近い日本企業に投資しているとみられる。
銀行や生命保険が保有株を売り、外国人が買い向かう。これが東京市場の基本的な図式だ。3月末時点で主要300社の外国人持ち株比率は29・9%に上昇し、リーマン・ショツク前の世界景気拡大局面だった08年3月の水準に接近した。
今年5月まで29週間連続で日本株を買い越したのも、外国人パワーを物語る。
問題は投資の「真意」が読みづらいことだ。
原子力発電所の圧力容器部材で世界シェア8割を握る日本製鋼所。福島原発の事故後、急落した株を買い集めたファンドがある。米トレードウィンズ・グローバル・インベスターズ。持ち株比率は10・39%に達し、筆頭株主となった。
今月14日。日本製鋼所はトレードウィンス側の求めでテレビ会議を開いた。「原発事業の先行きをどうみているか」といった質問を受けたものの、経営陣への具体的な注文や増配要求などは一切なかったという。
だが、突然躍り出た大株主に「危機感がないと言えばウソになる」と同社幹部は困惑する。
外国勢の「日本買い」は3局面に分けられる。
1980年代までの成長株投資、90年代のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)などによる議決権行使、そしてスティール・パートナーズなどが企業と衝突した2000年代の「物言う株主」ブームーー。
続々と登場する新興株主は、第4の波を起こそうとしているのかもしれない。