自然エネルギーの普及をアピールし、「脱原発」色を強める菅直人首相が、電力不足がささやかれる夏本番を前に揺れている。原子力政策の見直し機運を政権浮揚につなけようともくろむが、暮らしや経済への影響を考えれば、停止中の原発を再稼働させる「現実路線」も捨て切れないからだ。
「エネルギ政策(見直し)は、原子力事故の有無にかかわらず大変重要だ」22日に首相官邸で開かれた「エネルギー・環境会議」。福島第一原発事故を受けてエネルギー政策の見直しを議論する場だったが、菅首相の発言は慎重であいまいだった。
会議直前、夏の電力不足を懸念する出席者の一人が首相に面会。「運転停止中の原発を再稼働させるため、地元自治体にきちんと説得に回らないといけない」と迫った。首相は会議で「再稼働」にも「脱原発」にも踏み込まず、聞き役に徹し、「短期的には火力しかないんだよな」とつぶやいた。
内閣の支持率が低迷し続ける中、首相は「自然エネルギー」を追い風にしようとしている。
15日には市民団体の集会で再生可能エネルギー特別措置法成立への決意を表明。21日のブログには「自然エネルギーを促進するという過去30年の思いがある」とつづった。
確かに首相は初当選後間もない1982年、衆院科学技術委員会で当時の自民党政権に自然エネルギーの利用姿勢をただしている。だが、その後目立った活動はなく、首相就任後はむしろ原発推進の旗を振ってきた。
昨年10月のベトナム訪問ではトップセールスで原発受注を果たし、「日越両国の戦略的パートナーの象徴だ」と胸を張った。
原発事故後、「脱原発」の世論が高まると、首相はかじを切った。5月には、浜岡原発の全面停止を主導した。
ところが、夏の電力不足が首相の頭を悩ませるようになってきた。
全国54基の原発原子炉のうち、定期点検などで運転停止中なのが福島第一原発を含めて35基。再稼働の道が閉ざされれば経済活動に波及しかねないと考えた海江田万里経済産業相が6月18日、原発立地自治体に再稼働を要請。菅政権の姿勢が問われることになった。
首相は翌日、インターネット番組に出演し、「私も(考え方は)全く同じ」と海江田氏の姿勢を容認した。しかし、「再稼働を明確に支持してしまい、本人は翌日へこんでいた」(首相周辺)という。21日のブログでは「原発推進という過去数十年の路線に戻ったという意味ではない」と釈明せざるを得なかった。
海江田氏は再稼働に消極的な地元首長に直接働きかける方針だが、首相が動く気配はない。
政権内外では、首相が「脱原発」を掲げて衆院解散に踏み切るという見方もささやかれている。それだけに「脱原発」色を薄めたくない。
政務三役の一人は不満を漏らす。「政治のトップが泥をかぶらないといけないのに、首相は海江田さんに任せきりだ」(岡村夏樹)
*星浩は、よくもまあこんないい加減な人間を持ち上げてきたものだ。