弊社専務と話していて、芥私が、例に依っての事だから、と、うっちゃっていたことを、思い出した。
以下文中敬称略
昨夜、テレビ朝日は、あれ程明瞭に、孫正義が、日本は犯罪者であると述べた事を、全く、割愛して、何かポヨヨンとした立派な事を話したかのように、今朝の朝日新聞は、書いていたのである。
戦前から続く朝日の伝統が、敗戦とともに、妙な具合に成って、おうおうにして、「おためごかし」のモラリズムと化し、中国が、韓国が、こう言っている。アメリカがこう言っているetc.の、世界中どこにもない新聞…自分の国の主張、哲学ではなく、他国が正しいとする、度し難い、「おためごかし」のモラリズムが、発露した記事なのだろうが。
孫正義の出自が何であれ、彼が、昨夜、他国で開かれた国際会議で、許せない発言をした事は、キチンと報道されなければならない。
そんな所に、遠慮することが、モラリズムなんかではない。
大体、彼は、何の資格で、日本を犯罪者だ等と定義する立場に居るのか!
これ以上、醜悪な者は、見たことがないと、ほぼ、全国民が思っている人間を、焚きつけて、後、10年でも首相を続けてくれなどと言い、
これまでの…金儲けだけの人生が空しくなった…その様な類の事を、孫正義は、ツイッターにつぶやいていたのだが…
そりゃ、人のふんどしだけで金儲けしている仕事は、男児一生の仕事とは言いかねるだろう。
東北をソーラーベルトに、壊滅的な打撃を受けた街々に、ソーラーパネルを並べよう。
この仕事だ、これこそが、世の為、人の為だ、と浅はかにも思ったのだろうが、
ここから先が、以下にも、彼らしいのである。
ソフトバンクは、多額の投資をするから、発電量は全額、国の威光で、電力会社に高ってもらう。
この法案を通すことこそ、日本が為すべきだ、等と言って。
君は、トロンをつぶしただけでは飽き足らず、愈々、日本国を疲弊させたいと言うのか。
それが君の怨念か…昨日の発言は、正に、君の怨念の発露以外のなにものでもないだろう。
天文学的な多額の金を稼がせてくれた国に対して、言う言葉か!
孫よ、日本が誇るたいじん達が集う、例えば、大商社で働く、国士たちは、そんなことは、これっぽちも考えない。
そんな、弓削の道鏡まがいの事を考える商社マンはいないのだよ。
全ては、経済原則の中で、仕事が流れてゆく、それが、我らが誇る、国士たちの仕事だ。
かれらの仕事ぶりについて、例えば、東南アジアの然るべき、経済人たちに、聞いてみるが良い。
誰一人、彼らをくさす者は、いない。
皆、尊敬の念を語るはずだから。
その仕事ぶりの、誠実、正確さに於いて。
君とは、レベルが違うのだ。本当の日本は。
100億円を寄付するとぶち上げた君に(実行されたのかどうかは知らないが)、今のうちに賛同しておこう、何の為に、言っている事に、一見、大義名分は有るし、ここで恩を売って、政治資金の面倒を見てもらおう、などと考えているのだろう、数10人の、ポリティシャン達が、日本だなどとは、断じて有り得ないのだ、と言う事が、君には、分からず、
首長や、国会議員が、数10人も集まった事に、鼻たかだか、わが世の春の気分で、浮かれているのだろうが、とんでもない話なのだよ。
孫君。
冷し中華愛好会
多士済々、全力おふざけ 酒場で一芝居、狂騒の日々 *文中黒字化、芥川。
モントルーでは、フリージャズの元祖サン・ラのオーケストラと先駆者セシル・テイラーのグループが一緒という、今考えるとすごい一夜だった。我々のリハーサルを聴いていたテイラーは、楽屋裏の廊下ですれ違った時に一言 「イクセレント」と言って去って行った。
これは励みになった。後年この師匠とデュオ・コンサートが実現する第一歩だったと思う。
写真家の市川幸雄やジャズ評論家の池上比沙之、エフエム東京の岡田靖雄たちが日本から応援に来てくれていた。
池上氏が冷し中華を作って皆に振るまったから、このころには「全日本冷し中華愛好会」が発足していたはずだ。命がけの演奏と馬鹿話が同居する時代だったのだ。
市川氏と池上氏はちょうど結果が届いたアントニオ猪木対モハメッド・アリ戦をミュージシャンの控室になっていたバーで実演披露した。猪木役の池上氏が床に寝そべった。
このころ新宿のたまり場は「ジャックの豆の木」という酒場で、そこの壁に冬のある日ぼくは「冷し中華宣言」を張りつけた。「何故冬に冷し中華が食えないのか。
ビールもアイスクリームも冬にもあるではないか。断固抗議する!」という内容で、これに真っ先に反応したのが詩人の奥成達さんだった。
「過激派」の奥成さんは「冬に食わせろと言うだけでは主婦連と同じで駄目だ。革命運動にするにはもっと深い思索が必要だ」という立場で、この組織「全冷中」を牽引していく。
筒井康隆さんや赤塚不二夫さん他多士済々の会員を得て、機関紙を出し、全国からも反応が届くようになった。ある日「田中角栄にも会員になってもらおう」とぼくが言うと、奥成さんは「駄目です。あの人は政治を持ち込みます」。有名美食評論家の名を挙げると「美食をしたその口で冷し中華を語って欲しくない」と一刀両断だった。
こういう人たちが我々の演奏を同じような厳しい目で見続けてくれた時代だった。最初のスタジオ録音アルバム 「ミナのセカンドテーマ」に赤塚不二夫さんの「ペシガエル」のイラストをいただいた時に橋渡ししてもらった長谷邦夫氏、辛口評論とものまねが得意の高信太郎氏、ギターを弾いて歌っていた上村一夫氏、もちろんタモリも現れて、毎日面白い事が起きていた。
ある日、タモリと坂田明がカウンターで並んで飲んでいると、明らかに噂を聞いて見学にきた学生客たちが入ってきた。二人はすぐに芝居を始めた。「大学で仏文をやっていたが、今はドカタだ」と言う坂田が大学教授のタモリにからむ。
タモリは実にキザな口調でこの労働者をからかう。サルトルだボーヴォワールだという言葉が飛び交い、やがて二人はもみあって首を絞めあう。学生たちは何とタモリ教授の味方をして坂田をとり押さえようとした。
やがて二人はもみあいながら外に出ていった。扉にもたれかかって学生たちが出てこないようにしながら大笑いをしたという。
一日行かないともう話題についていけない。まさに魔窟なのだ。息子が来年小学校に上がるという年、この魔窟から逃れようと葉山移住を決意した。
葉山には奥成さんが、逗子には平岡正明さんが居て誘ってくれていた。葉山に住めば連日の新宿の狂乱から離れられると思った。しかし、これは計算違いだった。(ジャズピアニスト)
多士済々、全力おふざけ 酒場で一芝居、狂騒の日々 *文中黒字化、芥川。
モントルーでは、フリージャズの元祖サン・ラのオーケストラと先駆者セシル・テイラーのグループが一緒という、今考えるとすごい一夜だった。我々のリハーサルを聴いていたテイラーは、楽屋裏の廊下ですれ違った時に一言 「イクセレント」と言って去って行った。
これは励みになった。後年この師匠とデュオ・コンサートが実現する第一歩だったと思う。
写真家の市川幸雄やジャズ評論家の池上比沙之、エフエム東京の岡田靖雄たちが日本から応援に来てくれていた。
池上氏が冷し中華を作って皆に振るまったから、このころには「全日本冷し中華愛好会」が発足していたはずだ。命がけの演奏と馬鹿話が同居する時代だったのだ。
市川氏と池上氏はちょうど結果が届いたアントニオ猪木対モハメッド・アリ戦をミュージシャンの控室になっていたバーで実演披露した。猪木役の池上氏が床に寝そべった。
このころ新宿のたまり場は「ジャックの豆の木」という酒場で、そこの壁に冬のある日ぼくは「冷し中華宣言」を張りつけた。「何故冬に冷し中華が食えないのか。
ビールもアイスクリームも冬にもあるではないか。断固抗議する!」という内容で、これに真っ先に反応したのが詩人の奥成達さんだった。
「過激派」の奥成さんは「冬に食わせろと言うだけでは主婦連と同じで駄目だ。革命運動にするにはもっと深い思索が必要だ」という立場で、この組織「全冷中」を牽引していく。
筒井康隆さんや赤塚不二夫さん他多士済々の会員を得て、機関紙を出し、全国からも反応が届くようになった。ある日「田中角栄にも会員になってもらおう」とぼくが言うと、奥成さんは「駄目です。あの人は政治を持ち込みます」。有名美食評論家の名を挙げると「美食をしたその口で冷し中華を語って欲しくない」と一刀両断だった。
こういう人たちが我々の演奏を同じような厳しい目で見続けてくれた時代だった。最初のスタジオ録音アルバム 「ミナのセカンドテーマ」に赤塚不二夫さんの「ペシガエル」のイラストをいただいた時に橋渡ししてもらった長谷邦夫氏、辛口評論とものまねが得意の高信太郎氏、ギターを弾いて歌っていた上村一夫氏、もちろんタモリも現れて、毎日面白い事が起きていた。
ある日、タモリと坂田明がカウンターで並んで飲んでいると、明らかに噂を聞いて見学にきた学生客たちが入ってきた。二人はすぐに芝居を始めた。「大学で仏文をやっていたが、今はドカタだ」と言う坂田が大学教授のタモリにからむ。
タモリは実にキザな口調でこの労働者をからかう。サルトルだボーヴォワールだという言葉が飛び交い、やがて二人はもみあって首を絞めあう。学生たちは何とタモリ教授の味方をして坂田をとり押さえようとした。
やがて二人はもみあいながら外に出ていった。扉にもたれかかって学生たちが出てこないようにしながら大笑いをしたという。
一日行かないともう話題についていけない。まさに魔窟なのだ。息子が来年小学校に上がるという年、この魔窟から逃れようと葉山移住を決意した。
葉山には奥成さんが、逗子には平岡正明さんが居て誘ってくれていた。葉山に住めば連日の新宿の狂乱から離れられると思った。しかし、これは計算違いだった。(ジャズピアニスト)
【北京=島田学】中国外務省の洪磊副報道局長は20日、リビア反体制派を束ねる「国民評議会」のマハムード・ジェブリル氏が21、22両日に訪中すると発表した。
反体制派幹部の訪中は中国が公表している限りでは初めて。
中国はリビア政府と反体制派の双方の幹部と接触し、停戦に向けた働きかけを活発にしている。現地で進める大型プロジェクトなどの権益保護が狙いとの見方もある。
国民評議会はすでに、ジェブリル氏を将来のリビア暫定内閣の「首相」に指名している。
反体制派幹部の訪中は中国が公表している限りでは初めて。
中国はリビア政府と反体制派の双方の幹部と接触し、停戦に向けた働きかけを活発にしている。現地で進める大型プロジェクトなどの権益保護が狙いとの見方もある。
国民評議会はすでに、ジェブリル氏を将来のリビア暫定内閣の「首相」に指名している。
中国、申請の書式示さず
【北京=森安健】中国政府が日本産食品の輸入再開に向けて規制緩和を発表する一方で、受け付ける申請書類の書式を示さず、事実上は日本からの輸出の道が閉ざされたままであることが分かった。
在北京の日本大使館は「書式が示されなければ輸出は再開できない。繰り返し要請しているが
中国側から回答はない」。としている。
国家品質監督検査検疫総局はこのほど山形、山梨両県産の食品輸入を解禁すると発表。被災地以外の37道府県に関しては放射性物質の検査証明書がなくても、原則として原産地証明だけで輸入を可能とした。
ところが原産地証明の統一書式を公表していないため、日本政府が発行した証明書は効力がなく、各地の検疫局は受理していない。
中国政府は5月に水産品に限って統一書式を発表し、すし店などの鮮魚輸入に道を開いた。野菜、加工品、日本酒、調味料などに関しては申請の方法が不透明で、輸入は全面的に止まったままだ。
【北京=森安健】中国政府が日本産食品の輸入再開に向けて規制緩和を発表する一方で、受け付ける申請書類の書式を示さず、事実上は日本からの輸出の道が閉ざされたままであることが分かった。
在北京の日本大使館は「書式が示されなければ輸出は再開できない。繰り返し要請しているが
中国側から回答はない」。としている。
国家品質監督検査検疫総局はこのほど山形、山梨両県産の食品輸入を解禁すると発表。被災地以外の37道府県に関しては放射性物質の検査証明書がなくても、原則として原産地証明だけで輸入を可能とした。
ところが原産地証明の統一書式を公表していないため、日本政府が発行した証明書は効力がなく、各地の検疫局は受理していない。
中国政府は5月に水産品に限って統一書式を発表し、すし店などの鮮魚輸入に道を開いた。野菜、加工品、日本酒、調味料などに関しては申請の方法が不透明で、輸入は全面的に止まったままだ。
資源外交に不信
国際社会へ貢献促す
中国の胡錦濤国家主席は20日、ロシアなど旧ソ連3力国への歴訪を終えた。
中央アジアからウラン燃料の新規供給や天然ガスのパイプライン増強め確約を得るなど、資源外交で成果をあげたが、各国では実利を追求する中国への警戒感が強まっている。
胡主席はカザフスタンで開いた上海協力機構(SCO)首脳会議で「経済の一体化を進め、ともに発展しよう」と強調した。
しかし、現地では冷めた反応が目立った。
カザフの元外交官は「中国は外交に露骨な利害関係を持ち出すので信用できない。資源がなくなればそれまでの関係だろう」と指摘する。
カザフ市民からも「このままでは資源を根こそぎ中国に持って行かれる」との懸念の声が聞かれた。
胡主席はロシア北部のサンクトペテルブルグで開いた国際経済フォーラムでの講演では「新興国や発展途上国の代表権と発言権を増すべきだ」と強調。自国利益の追求ばかりではないとでも言うように、新興国の立場を代弁して見せた。
ここでも出席者は批判的だった。「中国が今すべきことは、国際社会の安定にどんな貢献ができるかを語ることだ」(北京=島田学)
国際社会へ貢献促す
中国の胡錦濤国家主席は20日、ロシアなど旧ソ連3力国への歴訪を終えた。
中央アジアからウラン燃料の新規供給や天然ガスのパイプライン増強め確約を得るなど、資源外交で成果をあげたが、各国では実利を追求する中国への警戒感が強まっている。
胡主席はカザフスタンで開いた上海協力機構(SCO)首脳会議で「経済の一体化を進め、ともに発展しよう」と強調した。
しかし、現地では冷めた反応が目立った。
カザフの元外交官は「中国は外交に露骨な利害関係を持ち出すので信用できない。資源がなくなればそれまでの関係だろう」と指摘する。
カザフ市民からも「このままでは資源を根こそぎ中国に持って行かれる」との懸念の声が聞かれた。
胡主席はロシア北部のサンクトペテルブルグで開いた国際経済フォーラムでの講演では「新興国や発展途上国の代表権と発言権を増すべきだ」と強調。自国利益の追求ばかりではないとでも言うように、新興国の立場を代弁して見せた。
ここでも出席者は批判的だった。「中国が今すべきことは、国際社会の安定にどんな貢献ができるかを語ることだ」(北京=島田学)
【香港=共同】中国広東省深圳市にある中国軍の香港駐留部隊の後方支援基地で18日、部隊の現役・退役軍人の家族約100人が「基地の住宅を軍幹部が不当に占拠している」と訴えて周辺をデモ行進した。香港紙、明報が20日までに伝えた。
明報によると、デモ行進したのは1990年代前半に深洲に進駐した部隊の家族。
当時、住宅を提供すると軍に約束されていたのに、軍幹部が規定の割り当て数より多くの部屋を使用しているため、軍人ら約200人が入居できずにいると訴えている。
一方、部隊側は明報に対し「住宅を約束したことはなく、幹部が部屋を占拠しているというのも事実ではない」と否定している。
明報によると、デモ行進したのは1990年代前半に深洲に進駐した部隊の家族。
当時、住宅を提供すると軍に約束されていたのに、軍幹部が規定の割り当て数より多くの部屋を使用しているため、軍人ら約200人が入居できずにいると訴えている。
一方、部隊側は明報に対し「住宅を約束したことはなく、幹部が部屋を占拠しているというのも事実ではない」と否定している。
足を踏み入れると言葉を失った。「DECK6 (デッキ・シックス)」と呼ばれる米国議会図書館アダムズ館の6階。迷路のような無数の書架群は、江戸時代からの古典や歴史書、雑誌、最新のマンガまで110万点超に及ぶ日本関連の蔵書が埋めつくす。
ひときわ奥まった特別室に眠るのは、江戸初期の「絵入り源氏物語」や明治維新期などの貴重書の数々。鉄製の柵で厳重にロックされ、入室権限を持つのは3人しかいない。
「宝の山と言っても過言ではない」。日本人司書の中原まり博士は言う。
第1次世界大戦後のワシントン会議に関わる旧日本陸軍の機密文書などの大量発見に続き、今でも日本占領期にGHQ(連合国軍総司令部)が押収した膨大な極秘未公開資料が全米から続々到着している。
キャピトルヒル(米議会)の”金鉱脈”を前に、世界中の日本研究者らが新史実の発掘でしのぎを削る。
その壮麗な日本コレクションの「中興の祖」として最近、2人の日本人を再評価する声が高まっている。1人は1930年に同図書館初の日本人司書となった坂西志保氏。
米ミシガン大院を卒業後、英語教師などを経て同図書館に勤務。精力的な収集でコレクションを大きく増やした。
ところが、41年12月、真珠湾攻撃で日米開戦するや否や、連邦秘密警察は「敵国の最も有能なスパイ」として坂西氏を拘束。翌年、横浜に強制送還された。
米の厳しい仕打ちを受け失意のどん底に沈んだ。それでも同氏が情熱を傾けたコレクションは
戦時を乗り切った。「日本文化を米に伝えた功績は比類がなく、文化大使ともいえる存在」。
同図書館副館長のマーカム博士はたたえる。もう1人は、坂西氏を支え続けた斎藤博元駐米大使。英詩人の翻訳なども手掛け、米誌タイムの表紙も飾った異色外交官だ。
日本関連の優良図書収集への貢献も大きく、同図書館に「斎藤記念室」を作る構想が浮上したほど。藤崎一郎現駐米大使は「厳しい試練の時期に個人の力量で勝負した外交官の巨人の一人」と語る。
だが、その斎藤氏も病に倒れ、大使在任中の39年2月にワシントンで息を引き取った。対日感情が急激に悪化する中でも当時のルーズベルト大統領は、斎藤氏の遺骸を米巡洋艦で日本に返還。
遺族は感謝のしるしとして米に石塔を寄贈した。アナポリスにある海軍士官学校の海に面した一角には、その巨大な石塔が今もそびえる。
実は、藤崎現大使の実父は斎藤氏が死去した際にワシントンの日本大使館に勤務しており、葬儀で同氏のひつぎを担いだ。
しかも、日米開戦で米を追われた坂西氏が一時身を寄せ、心の傷を癒やしたのは藤崎大使の祖父宅だったという。
斎藤、坂西両氏の無念の死と帰国からおよそ70年を経た今年3月。日本は未曽有の大震災に襲われた。見えない歴史上の線で2人とつながる藤崎大使が、ワシントンで日米協力の要として陣頭指揮する。因果な巡り合わせといえよう。
議会図書館は今年9月、日本の国会図書館の協力要請を受け、東北地方などに支援チーむを派遣する準備を進めている。被災地で甚大な被害を受けた図書館や、貴重資料の修復などを助けるためだ。
多くの関係者の犠牲によって苦難を乗り切ってきた日米の絆が、こんな地道な分野でもしっかりと息づいている。そのことを知っておいてもいい。
(ワシントン=矢沢俊樹)
ひときわ奥まった特別室に眠るのは、江戸初期の「絵入り源氏物語」や明治維新期などの貴重書の数々。鉄製の柵で厳重にロックされ、入室権限を持つのは3人しかいない。
「宝の山と言っても過言ではない」。日本人司書の中原まり博士は言う。
第1次世界大戦後のワシントン会議に関わる旧日本陸軍の機密文書などの大量発見に続き、今でも日本占領期にGHQ(連合国軍総司令部)が押収した膨大な極秘未公開資料が全米から続々到着している。
キャピトルヒル(米議会)の”金鉱脈”を前に、世界中の日本研究者らが新史実の発掘でしのぎを削る。
その壮麗な日本コレクションの「中興の祖」として最近、2人の日本人を再評価する声が高まっている。1人は1930年に同図書館初の日本人司書となった坂西志保氏。
米ミシガン大院を卒業後、英語教師などを経て同図書館に勤務。精力的な収集でコレクションを大きく増やした。
ところが、41年12月、真珠湾攻撃で日米開戦するや否や、連邦秘密警察は「敵国の最も有能なスパイ」として坂西氏を拘束。翌年、横浜に強制送還された。
米の厳しい仕打ちを受け失意のどん底に沈んだ。それでも同氏が情熱を傾けたコレクションは
戦時を乗り切った。「日本文化を米に伝えた功績は比類がなく、文化大使ともいえる存在」。
同図書館副館長のマーカム博士はたたえる。もう1人は、坂西氏を支え続けた斎藤博元駐米大使。英詩人の翻訳なども手掛け、米誌タイムの表紙も飾った異色外交官だ。
日本関連の優良図書収集への貢献も大きく、同図書館に「斎藤記念室」を作る構想が浮上したほど。藤崎一郎現駐米大使は「厳しい試練の時期に個人の力量で勝負した外交官の巨人の一人」と語る。
だが、その斎藤氏も病に倒れ、大使在任中の39年2月にワシントンで息を引き取った。対日感情が急激に悪化する中でも当時のルーズベルト大統領は、斎藤氏の遺骸を米巡洋艦で日本に返還。
遺族は感謝のしるしとして米に石塔を寄贈した。アナポリスにある海軍士官学校の海に面した一角には、その巨大な石塔が今もそびえる。
実は、藤崎現大使の実父は斎藤氏が死去した際にワシントンの日本大使館に勤務しており、葬儀で同氏のひつぎを担いだ。
しかも、日米開戦で米を追われた坂西氏が一時身を寄せ、心の傷を癒やしたのは藤崎大使の祖父宅だったという。
斎藤、坂西両氏の無念の死と帰国からおよそ70年を経た今年3月。日本は未曽有の大震災に襲われた。見えない歴史上の線で2人とつながる藤崎大使が、ワシントンで日米協力の要として陣頭指揮する。因果な巡り合わせといえよう。
議会図書館は今年9月、日本の国会図書館の協力要請を受け、東北地方などに支援チーむを派遣する準備を進めている。被災地で甚大な被害を受けた図書館や、貴重資料の修復などを助けるためだ。
多くの関係者の犠牲によって苦難を乗り切ってきた日米の絆が、こんな地道な分野でもしっかりと息づいている。そのことを知っておいてもいい。
(ワシントン=矢沢俊樹)
東京電力福島第一原発の事故を受けて、世界中で脱原発の動きが加速している。スイスやドイツが原発の全閉鎖を決定、イタリアの国民投票も94%もの高率で原発を否定した。
日本ではエネルギー基本政策の見直しで、原子力発電への依存を現状以下に留める方向で検討が進んでいるほか、停止中の原発の再稼働も各自治体が難色を示している。
電力網が各国とつながり、不足分をフランスなどから調達できるドイツやイタリアと違い、電力を輸入するわけにはいかない日本において、脱原発は現実的な選択肢ではない。
再生可能エネルギーも含めた、バランスのとれたエネルギー供給体制の早期構築が不可欠である。
日本では、停止した原発を再稼働できないとなると、いきなり電力不足に直面する。対応するための節電の動きを頭から否定するつもりはないが、懸念されるのは、製造コストをはじめとする企業の運営コストの増である。
昨今の日本企業は、為替問題や法人税、関税問題など、韓国や中国の企業に対して二重苦、三重苦を抱えてグローバル競争を戦っている。
電力料金アップという苦難が加われば、トヨタ自動車の経営幹部の言う「もう日本での生産継続は限界」の言葉が現実のものになってしまう可能性もある。
そうした事態を避けるためには、原子力への依存を徐々に減らし、自然エネルギーへの転換を進めるとともに、国民一人ひとりが真剣に無駄なエネルギー消費を減らし、「エコロジー」と「エコノミー」が両立できる新しい国づくりに向け、戦略的な青写真の作成が急務だ。
つまらない政局に時間を浪費している時間はないと思うのだが……。(H)
日本ではエネルギー基本政策の見直しで、原子力発電への依存を現状以下に留める方向で検討が進んでいるほか、停止中の原発の再稼働も各自治体が難色を示している。
電力網が各国とつながり、不足分をフランスなどから調達できるドイツやイタリアと違い、電力を輸入するわけにはいかない日本において、脱原発は現実的な選択肢ではない。
再生可能エネルギーも含めた、バランスのとれたエネルギー供給体制の早期構築が不可欠である。
日本では、停止した原発を再稼働できないとなると、いきなり電力不足に直面する。対応するための節電の動きを頭から否定するつもりはないが、懸念されるのは、製造コストをはじめとする企業の運営コストの増である。
昨今の日本企業は、為替問題や法人税、関税問題など、韓国や中国の企業に対して二重苦、三重苦を抱えてグローバル競争を戦っている。
電力料金アップという苦難が加われば、トヨタ自動車の経営幹部の言う「もう日本での生産継続は限界」の言葉が現実のものになってしまう可能性もある。
そうした事態を避けるためには、原子力への依存を徐々に減らし、自然エネルギーへの転換を進めるとともに、国民一人ひとりが真剣に無駄なエネルギー消費を減らし、「エコロジー」と「エコノミー」が両立できる新しい国づくりに向け、戦略的な青写真の作成が急務だ。
つまらない政局に時間を浪費している時間はないと思うのだが……。(H)
日東電工 ノルウェー社と開発へ
日東電工は海水と淡水の濃度差を利用した発電システムを、ノルウェーの国営電力会社と共同開発することで合意した。
日東電工は水質浄化などに使う逆浸透膜の大手で、海水と淡水を仕切る特殊な膜を供給する。原子力発電に逆風が吹くなか、世界初の実用化を目指す。2015年に出力2千キロワット級の実証プラントを稼働させる計画だ。
開発するのは、淡水と海水の濃度差によって生じる浸透現象で電力を生み出す「浸透膜電」。塩分を通さず水だけを通す半透膜で海水と淡水を仕切ると、淡水が海水側に取り込まれる。その際に生じる圧力でタービンを回す。ノルウェーの電力大手スタットクラフトが研究を進めてきた。
海水と淡水を仕切る膜は同発電システムのカギを握る重要な部材で、実用化には高度な技術が必要。日東電工は提携を機に技術開発を加速し、スタットクラフトに独占的供給する。
同システムは天候や時間帯を問わず安定して発電できるのが強み。数万世帯の電力をまかなう2万5千キロワット級の発電所の場合、建設候補地は世界で30力所以上にのぽるという。
周囲を海に囲まれ河川も多い日本も有力な候補地になるとみられる。
日東電工は海水と淡水の濃度差を利用した発電システムを、ノルウェーの国営電力会社と共同開発することで合意した。
日東電工は水質浄化などに使う逆浸透膜の大手で、海水と淡水を仕切る特殊な膜を供給する。原子力発電に逆風が吹くなか、世界初の実用化を目指す。2015年に出力2千キロワット級の実証プラントを稼働させる計画だ。
開発するのは、淡水と海水の濃度差によって生じる浸透現象で電力を生み出す「浸透膜電」。塩分を通さず水だけを通す半透膜で海水と淡水を仕切ると、淡水が海水側に取り込まれる。その際に生じる圧力でタービンを回す。ノルウェーの電力大手スタットクラフトが研究を進めてきた。
海水と淡水を仕切る膜は同発電システムのカギを握る重要な部材で、実用化には高度な技術が必要。日東電工は提携を機に技術開発を加速し、スタットクラフトに独占的供給する。
同システムは天候や時間帯を問わず安定して発電できるのが強み。数万世帯の電力をまかなう2万5千キロワット級の発電所の場合、建設候補地は世界で30力所以上にのぽるという。
周囲を海に囲まれ河川も多い日本も有力な候補地になるとみられる。
インドの格安航空「ゴーエア」がこのほど、欧州エアバスから「A320neo」を72機購入すると明らかにした。総額は70億ドル(約5600億円)。
同国では同じく格安航空の「インディゴ」が1月に、同機を180機(総額推定156億ドル)発注し民間航空史上最大となった。旅客需要の拡大が続く新興国の格安航空は、航空機メーカーの大口顧客に育っていきそうだ。
ゴーエアは旅客サービスのほか、不動産、小売り、自動車部品も手掛ける印中堅財閥ワディア・グループの一社。
購入する新型機は、2015年から毎年十数機ずつ就航させる予定。リース機の販売や新株発行などで機体の購入資金を賄う。
インドの航空旅客数は2010年度(10年4月~11年3月)で6700万人と、前年度比18%増加した。うち8割を占める国内線でのシェアはインディゴが20%で3位、ゴーエアが6%で7位。過去1年間で両社のシェアはそれぞれ5ポイント、1ポイント上昇した。
相次ぐ新型機の大量購入は2ケタ増が続くインドの旅客需要の旺盛さに加え、シェアを高める格安航空の台頭も印象づけた。(ムンバイ=黒沼勇史)
同国では同じく格安航空の「インディゴ」が1月に、同機を180機(総額推定156億ドル)発注し民間航空史上最大となった。旅客需要の拡大が続く新興国の格安航空は、航空機メーカーの大口顧客に育っていきそうだ。
ゴーエアは旅客サービスのほか、不動産、小売り、自動車部品も手掛ける印中堅財閥ワディア・グループの一社。
購入する新型機は、2015年から毎年十数機ずつ就航させる予定。リース機の販売や新株発行などで機体の購入資金を賄う。
インドの航空旅客数は2010年度(10年4月~11年3月)で6700万人と、前年度比18%増加した。うち8割を占める国内線でのシェアはインディゴが20%で3位、ゴーエアが6%で7位。過去1年間で両社のシェアはそれぞれ5ポイント、1ポイント上昇した。
相次ぐ新型機の大量購入は2ケタ増が続くインドの旅客需要の旺盛さに加え、シェアを高める格安航空の台頭も印象づけた。(ムンバイ=黒沼勇史)
「ハイブリッド券」活用手段を多様化
サントリーホールディングスは、資本と負債の中間的な性格を持つ「ハイブリッド証券」と呼ばれる社債で200億円強を調達する。
国内外でのM&A(合併・買収)に中期的に3000億円を使う方針だが、非上場のため資金調達手段が銀行借り入れや普通社債(SB)などに限られていた。
財務の健全性の確保が見込める同証券により、資金調達手段を多様化する。
同証券は会計上はSB同様、負債として計上されるが、格付け会社からは50%の資本性を認められる。会社の格付けを下支えし、資金調達コストの低減につながる効果も期待できる。
償還期限は仕組み上、60年だが、5年後から償還可能で、期限前の償還を前提としている。
発行条件は21日にも決定する予定で、SBでの調達金利に1%程度を上乗せした利率となる見通し。
保険会社や地方銀行など約20の機関投資家が引き受ける見込み。サントリーは同証券を新たな資金調達手段として定着させる考えだ。
サントリーホールディングスは、資本と負債の中間的な性格を持つ「ハイブリッド証券」と呼ばれる社債で200億円強を調達する。
国内外でのM&A(合併・買収)に中期的に3000億円を使う方針だが、非上場のため資金調達手段が銀行借り入れや普通社債(SB)などに限られていた。
財務の健全性の確保が見込める同証券により、資金調達手段を多様化する。
同証券は会計上はSB同様、負債として計上されるが、格付け会社からは50%の資本性を認められる。会社の格付けを下支えし、資金調達コストの低減につながる効果も期待できる。
償還期限は仕組み上、60年だが、5年後から償還可能で、期限前の償還を前提としている。
発行条件は21日にも決定する予定で、SBでの調達金利に1%程度を上乗せした利率となる見通し。
保険会社や地方銀行など約20の機関投資家が引き受ける見込み。サントリーは同証券を新たな資金調達手段として定着させる考えだ。
航空機向け炭素繊維
欧州で複合材供給
東レは航空機向け炭素繊維複合材料で世界大手のオランダ企業と提携する。両社で生産性の高い特殊な複合材料を原料から一貫して生産、欧州航空機大手エアバスなどへ供給する。
軽くて強い炭素繊維は航空機の燃費向上に役立つため普及が加速する見通し。小型部材に使う炭素繊維で高いシェアを握る企業と手を組んで、航空機向け炭素繊維事業を拡大する。
提携するのはオランダに本社を置くロイヤル・テン・カーテ。熱を加えると溶けて冷えると固まる「熱可塑性樹脂」と炭素繊維を混ぜた複合材料を、航空機メーカーにほぼ独占的に供給している。年間売上局は10億ユーロ (約1100億円)。
東レはロイヤル社に炭素繊維を供給、ロイヤル社が複合材料にして、両社でエアバスや米ボーイングに採用の拡大を働き掛ける。
熱可塑性樹脂を使った炭素繊維複合材料は生産性が高いため、主翼の補強材など大量に使う小型部材で金属の代わりに普及する見通し。
2社が組むことで原料から複合材料まで一貫体制が整い、新たな需要を掘り起こせるとみている。
欧州で複合材供給
東レは航空機向け炭素繊維複合材料で世界大手のオランダ企業と提携する。両社で生産性の高い特殊な複合材料を原料から一貫して生産、欧州航空機大手エアバスなどへ供給する。
軽くて強い炭素繊維は航空機の燃費向上に役立つため普及が加速する見通し。小型部材に使う炭素繊維で高いシェアを握る企業と手を組んで、航空機向け炭素繊維事業を拡大する。
提携するのはオランダに本社を置くロイヤル・テン・カーテ。熱を加えると溶けて冷えると固まる「熱可塑性樹脂」と炭素繊維を混ぜた複合材料を、航空機メーカーにほぼ独占的に供給している。年間売上局は10億ユーロ (約1100億円)。
東レはロイヤル社に炭素繊維を供給、ロイヤル社が複合材料にして、両社でエアバスや米ボーイングに採用の拡大を働き掛ける。
熱可塑性樹脂を使った炭素繊維複合材料は生産性が高いため、主翼の補強材など大量に使う小型部材で金属の代わりに普及する見通し。
2社が組むことで原料から複合材料まで一貫体制が整い、新たな需要を掘り起こせるとみている。
新興国中心に受注回復
…前文略。
ボーイングは米航空機リース会社ALCから、新中型旅客機「787」(250席)を含む最大33機の受注で合意したと発表した。
787は機体に炭素繊維素材を採用し、燃費を改善しているのが特徴で機体の35%を三菱重工業や川崎重工業、富士重工業の3社が生産している。
…中略。
16年から引き渡しが始まる予定のA320neoは、新型エンジンを搭載して燃費性能を15%高めた。今後15年で4000機の受注を見込む量販機種で、エンジンの国際共同開発にはIHI、三菱重工業、川崎重工業の3社も参加する方針だ。
…中略。
航空機需要の回復は部品や工具を生産する日本企業にも追い風だ。パリ航空ショーには航空機用ネジや軸受けを生産するミネベアのほか、三菱マテリアルやスギノマシンといった日本の工具、工作機械メーカーが出展。独自の技術をアピールする姿も目立った。
…後略。
…前文略。
ボーイングは米航空機リース会社ALCから、新中型旅客機「787」(250席)を含む最大33機の受注で合意したと発表した。
787は機体に炭素繊維素材を採用し、燃費を改善しているのが特徴で機体の35%を三菱重工業や川崎重工業、富士重工業の3社が生産している。
…中略。
16年から引き渡しが始まる予定のA320neoは、新型エンジンを搭載して燃費性能を15%高めた。今後15年で4000機の受注を見込む量販機種で、エンジンの国際共同開発にはIHI、三菱重工業、川崎重工業の3社も参加する方針だ。
…中略。
航空機需要の回復は部品や工具を生産する日本企業にも追い風だ。パリ航空ショーには航空機用ネジや軸受けを生産するミネベアのほか、三菱マテリアルやスギノマシンといった日本の工具、工作機械メーカーが出展。独自の技術をアピールする姿も目立った。
…後略。
*黒字化は芥川。
写真を収めたSDカード。丹羽宇一郎・駐中国大使に同行した山東省のホテルの部屋に置き忘れた。
チェックアウトから3日後に気づいた。電話したら保管されており、翌日には北京に届いた。
日本の技術を導入した農場を訪ねた大使が、イチゴをほおばるコマもあった。丁寧な対応は「要人」に同行していたからか。中身をつぶさに見られたかも……。
感謝しつつも、どこか素直に喜べない。
これに対して、広東省深 のホテルから戻ってきた化粧ポーチには、格別の思いがある。口紅などと一緒に愛用のペンダントやピアスも入れていた。とてもうれしくて、捜してくれた客室係の携帯電話に「届きました。謝謝」とメッセージを送った。
すぐに返事が来た。「多くの落とし物を送ったが、お礼が返ってきたのは初めて。大震災でみたように、日本人は本当に礼儀正しい。レベルが高い。感激したよ」
感激したのは私のほうだ。彼が素直に喜んでくれたこと。そして、被災地で頑張る人たちが、どれほど日本のイメージを引き上げてくれているか、ということに。
(吉岡桂子)
写真を収めたSDカード。丹羽宇一郎・駐中国大使に同行した山東省のホテルの部屋に置き忘れた。
チェックアウトから3日後に気づいた。電話したら保管されており、翌日には北京に届いた。
日本の技術を導入した農場を訪ねた大使が、イチゴをほおばるコマもあった。丁寧な対応は「要人」に同行していたからか。中身をつぶさに見られたかも……。
感謝しつつも、どこか素直に喜べない。
これに対して、広東省深 のホテルから戻ってきた化粧ポーチには、格別の思いがある。口紅などと一緒に愛用のペンダントやピアスも入れていた。とてもうれしくて、捜してくれた客室係の携帯電話に「届きました。謝謝」とメッセージを送った。
すぐに返事が来た。「多くの落とし物を送ったが、お礼が返ってきたのは初めて。大震災でみたように、日本人は本当に礼儀正しい。レベルが高い。感激したよ」
感激したのは私のほうだ。彼が素直に喜んでくれたこと。そして、被災地で頑張る人たちが、どれほど日本のイメージを引き上げてくれているか、ということに。
(吉岡桂子)
日本の新幹線の輸出第1号、台湾高速鉄道(台湾新幹線)が地盤沈下の脅威にさらされてる。「余命10年」といい、対応策が検討されている。
沈下が深刻なのは中部の彰化県、雲林県で、新幹線の台中ー嘉義間にあたる。この地域は雨が少ない秋から冬にかけ、農業、工業とも地下水に頼っている。
建設中の2003年時点で地盤沈下が見つかり、開業が遅れる一因となった。このため行政院の経済部水利署は新幹線の線路から3キロ以内の地下水くみ上げを禁止し、これまでに無許可で設置された2千ヵ所以上の井戸を取り締まった。
それでもなお、最大で年6・4センチ沈下している。行政院公共工程委員会の李鴻源主任委員が先週、「おそらく10年もたない」と警告した。
新幹線を監督する行政院交通部は「現時点で安全に問題はない」としているが、高架橋のうち78力所は補強が必要という。新幹線の運営会社は補強工事の終了目標を20年としていたのを前倒しして進めている。(台北=村上太輝夫)
沈下が深刻なのは中部の彰化県、雲林県で、新幹線の台中ー嘉義間にあたる。この地域は雨が少ない秋から冬にかけ、農業、工業とも地下水に頼っている。
建設中の2003年時点で地盤沈下が見つかり、開業が遅れる一因となった。このため行政院の経済部水利署は新幹線の線路から3キロ以内の地下水くみ上げを禁止し、これまでに無許可で設置された2千ヵ所以上の井戸を取り締まった。
それでもなお、最大で年6・4センチ沈下している。行政院公共工程委員会の李鴻源主任委員が先週、「おそらく10年もたない」と警告した。
新幹線を監督する行政院交通部は「現時点で安全に問題はない」としているが、高架橋のうち78力所は補強が必要という。新幹線の運営会社は補強工事の終了目標を20年としていたのを前倒しして進めている。(台北=村上太輝夫)