米ヒューレット・パッカード(HP)は日本向けに販売するノート型パソコンの生産を中国から東京都内の工場に全面移管する。1人当たり人件費は高いが、生産効率の向上と納期短縮によって採算を確保しながら販売台数が増やせると判断した。
多くの国内メーカーが価格競争の激しいパソコンの生産をアジアに移転しているなかで、国内に移す動きは珍しい。
国内向けにデスクトップ型を生産する昭島事業所(東京都昭島市)の生産ラインを増強。従業員も1.5倍の450人に増やす。
8月から日本で販売する法人向けノート型の8割を昭島で生産し、最終的に全量を国内生産に切り替える方針だ。
当面の年間生産台数は1・5倍の140万台強に増える。
昭島の従業員1人当たりの人件費は中国の約4倍。同じラインでデスク型とノート型を生産し稼働率を高めるほか、世界市場で首位の調達力を生かして部品コストを圧縮、製品価格は据え置く。
中国・上海での委託生産に比べて、納期は5営業日と半減。短納期を求める法人の需要を掘り起こす。自社工場の強みを生かし顧客からの細かな仕様変更要望にも対応し、顧客満足度を高める。
HPは2010年の世界市場で首位(19%)だが、国内は約152万台の5位(10%)。
デスクトップ型では「メード・イン・トーキョー」を売り物にしてシェアを伸ばしており、ノート型でも同様の戦略でシェア向上を狙う。
調査会社のIDCジャパン(東京・千代田)によると10年の国内のパソコン出荷台数は過去最高の約1578万台。