この号(先週号)ではオバマ大統領の大特集も組んでいるのだが、その中からの抜粋。 文中黒字化と*は芥川。
環境のオバマが環境でコケる
政策 グリーンエネルギー推進を掲げてきたが期待された雇用創出効果はほとんどなく
助成金バラマキはさまざまな弊害を生んでいる
…前略。
莫大な金額の予算が性急に投人されたせいで、州政府や地方自治体、さらにはリフォーム業者の多くが準備不足だった。「これほどの規模の予算を動かす準備が整っていなかったことは明らかだ。州政府レベルでは、特にそうだった」と、エネルギー省のある高官も認めている。
政治家の懐は潤ったが
オバマ政権のグリーンエネルギー政策に対する批判が高まっている。最もやり玉に挙がっているのは、政府から5億ドル以上の融資を受けていた太陽光発電パネルメーカー、ソリンドラが8月に破綻した事件だ。オバマ政権はソリンドラと太陽光発電業界全般の財務状態に関するキャリア官僚の警告を無視して、慌ただしく融資を決めていた。
問題はほかにもある。最近公開された労働省の内部報告書によると、グリーンエネルギー関連の職に就くための労働者の再訓練事業には、数十億ドルの予算がつぎ込まれているが、8万人を職に就けるという目標の10%しか達成できていない。
オバマ政権は、グリーンエネルギー関連の雇用を拡大するという約束のごく一部しか果たせていない。野党・共和党系の多くの試算によると、政府の奨励措置は、グリーンエネルギー関連の雇用を1つ生み出すために100万ドル以上の予算を費やしているという(ただし「グリーンエネルギー関連の雇用」の数を正確に割り出すことは非常に難しい)。
計画が順調に進んでいないことはホワイトハウスも認めているが、恩恵はもっと先に表れるはずだと弁解している。「一連の投資は目先の雇用を増やすことだけでなく、将来を見据えて経済の核を成す産業の競争力と健全性を高めることも目的としている」と、ヘザー・ザイカル大統領次席補佐官(エネルギー・気候変動担当)は言う。
「グリーン革命」の最も大きな恩恵をすぐにも受ける層といえば、政治家かもしれない。現政権発足以降、グリーンエネルギー関連の助成金受給額上位50社の幹部が連邦レベルの選挙運動に献金した金額は、200万ドルを上回る。業界全体の献金額は500万ドルを超す。
与党・民主党幹部のハリー・リード上院院内総務は、地元ネバダ州に発電施設の建設を望むグリーンエネルギー関連企業の少なくとも8人の幹部から選挙資金の献金を受けている(リードの事務所はコメントを拒否)。
共和党のジョン・ベイナー下院議長は、地元オハイオ州の原子刀発電関連施設にグリーンエネルギー助成金を支給するよう政府に強く働き掛けた。その企業の幹部から献金を受けた3ヵ月後のことだ。
政治とカネに関する無党派の調査機関マップライト・ドットオルグによれば、ベイナーは原子刀発電推進派から多額の献金を9回にわたり受け取っているという(ベイナーが原子力発電を支援していることに不適切な点はないと、広報担当者はコメントしている)。
*日本なら、マスメディアが毎日大騒ぎしているんじゃないか。
オバマ政権が環境政策で目立った成果を挙げていないわけではない。オバマが大統領に就任して以降、アメリカの再生可能エネルギーの発電量は2倍に増加。アメリカは、ハイブリッド車・電気自動車向けの高性能バッテリーの研究と生産で世界のトップに立った。
環境保護派を裏切った?
2025年までに自動車の燃費基準を2倍に引き上げることで政府が自動車産業と合意に達したことは、政権発足から数年での成果としては「望みようもないくらい素晴らしい」と、天然資源保護協議会のフランセス・バイネキ理事長は言う。
…後略。