世界の経済成長に再びブレーキがかかりつつある中で、高率の成長が見込まれる国が世界にはある。その一つがイラクだ。国際通貨基金(IMF)によると、2010年にO・8%だったイラクの実質国内総生産(GDP)成長率は、11年に9・6%に跳ね上がり、12年には12・6%と2ケタ成長に向かう見通し。
国内のテロは完全に鎮まったわけではないが、治安状態はかなり良くなった。駐留米軍は予定通り年内に撤退し、イラク側の訓練などにあたるごく一部が残るだけになる。
経済を支える原油の生産量は日量260万~270万バレルの水準まで回復してきた。イラク原油の価格は1バレル100ドル以上で推移しており、高値圏での増産効果は大きい。
国際入札によって参入した外国石油会社による資源開発は、これから本格化する。日本が供与した円借款などをもとに原油積み出し施設を整備し、輸出能力拡大も進める。イラク石油省は14年に日量650万バレルまで生産量を引き上げる目標を掲げた。
国際エネルギー機関(IEA)も中長期的に石油生産が最も増える国はイラクだと指摘する。一方で停電や断水が続き、産油国でありながら製油所の能力が不十分でガソリンなどの石油製品も足りない。
電力や水関連などのインフラ復旧・拡充プロジェクトは目白押しだ。製油所の改良や火力発電所の改修・新設、上下水道の整備などで、日本の協力への期待は大きい。
日本は03年に米国の200億ドルに次ぐ総額50億ドル(無償15億ドル、有償35億ドル)規模のイラク支援を約束した。「米国のイラク向け援助のほとんどが治安対策に費えたのに対し、日本の援助は国づくり、人づくりの面で重要な役割を担っている」と国際協力機構(JICA)は説明する。
日本企業関係者のイラク訪問も徐々に増え、JICAは治安状態のいいタルト地域のエルビルに続いて首都バグダッドにも事務所を開設した。ただし、官民連携でイラクへの食い込みを強める米国や欧州諸国、韓国、中国、トルコなどと比べると、日本企業の現地での存在感は薄い。
20日に来日するマリキ・イラク首相は、日本企業にもっと進出してほしいと呼びかけるはずだ。成長市場に変貌する国で商機をつかみ、エネルギー安全保障にも役立てるために、日本の官民は一段の取り組み強化が必要になる。(花山裏)
国内のテロは完全に鎮まったわけではないが、治安状態はかなり良くなった。駐留米軍は予定通り年内に撤退し、イラク側の訓練などにあたるごく一部が残るだけになる。
経済を支える原油の生産量は日量260万~270万バレルの水準まで回復してきた。イラク原油の価格は1バレル100ドル以上で推移しており、高値圏での増産効果は大きい。
国際入札によって参入した外国石油会社による資源開発は、これから本格化する。日本が供与した円借款などをもとに原油積み出し施設を整備し、輸出能力拡大も進める。イラク石油省は14年に日量650万バレルまで生産量を引き上げる目標を掲げた。
国際エネルギー機関(IEA)も中長期的に石油生産が最も増える国はイラクだと指摘する。一方で停電や断水が続き、産油国でありながら製油所の能力が不十分でガソリンなどの石油製品も足りない。
電力や水関連などのインフラ復旧・拡充プロジェクトは目白押しだ。製油所の改良や火力発電所の改修・新設、上下水道の整備などで、日本の協力への期待は大きい。
日本は03年に米国の200億ドルに次ぐ総額50億ドル(無償15億ドル、有償35億ドル)規模のイラク支援を約束した。「米国のイラク向け援助のほとんどが治安対策に費えたのに対し、日本の援助は国づくり、人づくりの面で重要な役割を担っている」と国際協力機構(JICA)は説明する。
日本企業関係者のイラク訪問も徐々に増え、JICAは治安状態のいいタルト地域のエルビルに続いて首都バグダッドにも事務所を開設した。ただし、官民連携でイラクへの食い込みを強める米国や欧州諸国、韓国、中国、トルコなどと比べると、日本企業の現地での存在感は薄い。
20日に来日するマリキ・イラク首相は、日本企業にもっと進出してほしいと呼びかけるはずだ。成長市場に変貌する国で商機をつかみ、エネルギー安全保障にも役立てるために、日本の官民は一段の取り組み強化が必要になる。(花山裏)