見始めちゃったからには^^; 結末?まで見届けよう、と鑑賞中の米連続ドラマ、『フリンジ』 ───。
関空KWとしての「旬」は過ぎたので1年前に削除しちまいましたが、今や本国じゃ第4シーズンの中盤に突入しております。そのKWでも書きましたが、このドラマ・・・シーズンを経るごとに筋書きがごちゃごちゃ錯綜し、途中から見始める「あらたなファン」を獲得することは不可能に等しい展開になっております。
今まで知りませんでしたが、この『フリンジ』制作周辺の話題をずっと追っかけてくれている日本のSFブログがありました。この記事をざっと読む限り、「『フリンジ』は赤字放映の状態で、いつ打ち切られても不思議ではない」、制作サイドは「次のシーズンがあるなら、カンペキな結末譚で花道を飾る自信があるが、今シーズン限りなら拙速なフィナーレにせざるを得ない」、さらには「最悪、シーズン途中で打ち切られたら、地上波以外のチャネルで(つきあってくれたファンに)申しワケの立つ結末をご覧いただきたい」・・・そういったことのようです。
・その他のニュースソース : 海外ドラマNAVI
『フリンジ』は、コアなSFフリークをも魅了する似非科学満載のミステリーですが、その分、シーズン2以降の視聴率はジリ貧続き。もう打ち切りだろう、という大方の観測をヨソに、まさかのシーズン3入り、驚異のシーズン4入り!?を果たしてきました。この作品だけが「そんなゴリ押し」を通し果(おお)せている理由は、大まかにいって3点。
1)独創的な内容が経営陣の個人嗜好レベルで「好かれて」いる。
2)金曜夜の番組は(週末のかたづけ仕事や飲み会etc.で視聴者らの帰宅が遅かったり、裏番組を観るのと同時に)録画されて「あとから観る」ケースが多い。つまり、視聴者数は調査値に出ないところで稼げているハズ^^; ・・・という「言い逃れ」がある程度、通用する。
3)もともと制作費は切り詰めて、損が大赤字に拡がらぬよう必死にやっている。
という辺りかと推察します。
今回はこれらの要因から、3番目の「経費カット策」について(あまり話題にしてる人がいらっしゃらないので)書きたいと思います。
初回エピソードに投じられた製作費が巨額に及んだため、多くの人は「『フリンジ』ってスゴぃカネがかかってるよなあ」と思われるかもしれませんが、製作費の一番はナンといっても「人的な固定費」。つまり、役者のギャラとロケ撮り経費で占められます。(番組スタート当時は)なるべくメジャーでない俳優を揃えて、多少余裕が出てきたら大物をチョイ出しさせる・・・というキャスティング・ダイエットは、今や(ドラマのサバイバル術として)常識でございましょう。『フリンジ』とて例外ではありません。
さらに『フリンジ』は、エピソード毎の舞台がアメリカ全土にまたがって東奔西走いたします。
ひどいときはワン・エピソードのなかで、事件の現場が次々に(3ヵ所も4ヵ所も)乱れ飛ぶことがある。ホテルの手配と天候待ちに費やす時間だけ考えたって^^;こんなの、いちいち役者&ロケ隊が大移動して撮って回れるワケがない!!んであります。そこで本作では、ストーリー上の舞台切り替えを、各地の(実際にその土地土地で撮りためてあった)遠景や空撮映像に「空中浮遊する立体ロゴ」を合成させて刷り込む・・・という手法※ を採用することにしました。まず文字と実写パノラマでどど~ん!っと観る者の視界を覆い、(その場所に来たのだ、と)威圧半分に錯覚させてしまおう、というワケなんですねえ。現代風に巧みにアレンジし直した「歌舞伎」仕掛け、と言えるかもしれません。
※[補註] ── この「街に浮き出る立体ロゴ」という視覚効果の元祖は、デビッド・フィンチャー監督( 2002年『パニックルーム』のオープニング・シークエンスにおいて初導入)だと言われています。十年後の今では、全然珍しくなくなってますが。
で。
実はそこから先は、ごく一部の例外を除いて(設定がニューヨークだろうとボストンだろうとイリノイ州の片田舎だろうと)全部、バンクーバーとその周辺のみ!で撮影されています。バンクーバーは、海に面した高層ビル街から2~3キロ走るだけで閑静な住宅街に。さらに数キロ行けば大自然に囲まれる・・・といった「コンパクトな」地方都市。ゆーなれば、アメリカ的景観のすべてがぎゅぎゅっ、と詰まった「実寸大スタジオ」としての借用が可能な世界、なのです。
日本でも最近、だだっ広い空間の確保に困ると中国まで出かけていって巨大セットを組む・・・ということがよくありますが、逆に、あちこち出かけるのが面倒なので一都市に籠りきりになる・・・という発想はなかったんじゃないでしょうか。そういう意味なら、日本列島自体がもともと「ミニ国家パッケージ」と言われてしまいそう^^; な狭~い空間でしかありませんし。
まあ、そんなワケで。『フリンジ』撮影班は、(冬季五輪特需の前後の)お値打ちな宿泊施設を長期に渡って借り切り、今も低コストでいい仕事を続けてくれています^^。コスト削減の徹底、という意味ではもうひとつ。劇中で使われる車両も毎シーズン、自動車メーカーを「支援願い」に詣でて回り、スポンサーを獲ります。調達できる車両は全車、そこから供給を受けて出費を減らすんですねえ。
ちなみに、シーズン3まで面倒みてくれてたのはフォードだったんですが、現行シーズンでは日産に交代。
要所で映されるメイン車両だけでなく、ダナム捜査官のマイカーも「ピカピカに磨かれた」アルマーダへ・・・と替わりました。前後の脈略を考えると、出てくるクルマが同時点から揃って日産車になるのは「キワめて不自然」なんですが^^; ・・・「すべてはドラマ存続のためだ。細かいコトはいちいち気にせんでいい!」という了見で通しているのでしょう。誠にイサギよく、根幹の目的に適ったマネジメントなのではないでしょうか。
関空KWとしての「旬」は過ぎたので1年前に削除しちまいましたが、今や本国じゃ第4シーズンの中盤に突入しております。そのKWでも書きましたが、このドラマ・・・シーズンを経るごとに筋書きがごちゃごちゃ錯綜し、途中から見始める「あらたなファン」を獲得することは不可能に等しい展開になっております。
今まで知りませんでしたが、この『フリンジ』制作周辺の話題をずっと追っかけてくれている日本のSFブログがありました。この記事をざっと読む限り、「『フリンジ』は赤字放映の状態で、いつ打ち切られても不思議ではない」、制作サイドは「次のシーズンがあるなら、カンペキな結末譚で花道を飾る自信があるが、今シーズン限りなら拙速なフィナーレにせざるを得ない」、さらには「最悪、シーズン途中で打ち切られたら、地上波以外のチャネルで(つきあってくれたファンに)申しワケの立つ結末をご覧いただきたい」・・・そういったことのようです。
・その他のニュースソース : 海外ドラマNAVI
『フリンジ』は、コアなSFフリークをも魅了する似非科学満載のミステリーですが、その分、シーズン2以降の視聴率はジリ貧続き。もう打ち切りだろう、という大方の観測をヨソに、まさかのシーズン3入り、驚異のシーズン4入り!?を果たしてきました。この作品だけが「そんなゴリ押し」を通し果(おお)せている理由は、大まかにいって3点。
1)独創的な内容が経営陣の個人嗜好レベルで「好かれて」いる。
2)金曜夜の番組は(週末のかたづけ仕事や飲み会etc.で視聴者らの帰宅が遅かったり、裏番組を観るのと同時に)録画されて「あとから観る」ケースが多い。つまり、視聴者数は調査値に出ないところで稼げているハズ^^; ・・・という「言い逃れ」がある程度、通用する。
3)もともと制作費は切り詰めて、損が大赤字に拡がらぬよう必死にやっている。
という辺りかと推察します。
今回はこれらの要因から、3番目の「経費カット策」について(あまり話題にしてる人がいらっしゃらないので)書きたいと思います。
初回エピソードに投じられた製作費が巨額に及んだため、多くの人は「『フリンジ』ってスゴぃカネがかかってるよなあ」と思われるかもしれませんが、製作費の一番はナンといっても「人的な固定費」。つまり、役者のギャラとロケ撮り経費で占められます。(番組スタート当時は)なるべくメジャーでない俳優を揃えて、多少余裕が出てきたら大物をチョイ出しさせる・・・というキャスティング・ダイエットは、今や(ドラマのサバイバル術として)常識でございましょう。『フリンジ』とて例外ではありません。
さらに『フリンジ』は、エピソード毎の舞台がアメリカ全土にまたがって東奔西走いたします。
ひどいときはワン・エピソードのなかで、事件の現場が次々に(3ヵ所も4ヵ所も)乱れ飛ぶことがある。ホテルの手配と天候待ちに費やす時間だけ考えたって^^;こんなの、いちいち役者&ロケ隊が大移動して撮って回れるワケがない!!んであります。そこで本作では、ストーリー上の舞台切り替えを、各地の(実際にその土地土地で撮りためてあった)遠景や空撮映像に「空中浮遊する立体ロゴ」を合成させて刷り込む・・・という手法※ を採用することにしました。まず文字と実写パノラマでどど~ん!っと観る者の視界を覆い、(その場所に来たのだ、と)威圧半分に錯覚させてしまおう、というワケなんですねえ。現代風に巧みにアレンジし直した「歌舞伎」仕掛け、と言えるかもしれません。
※[補註] ── この「街に浮き出る立体ロゴ」という視覚効果の元祖は、デビッド・フィンチャー監督( 2002年『パニックルーム』のオープニング・シークエンスにおいて初導入)だと言われています。十年後の今では、全然珍しくなくなってますが。
で。
実はそこから先は、ごく一部の例外を除いて(設定がニューヨークだろうとボストンだろうとイリノイ州の片田舎だろうと)全部、バンクーバーとその周辺のみ!で撮影されています。バンクーバーは、海に面した高層ビル街から2~3キロ走るだけで閑静な住宅街に。さらに数キロ行けば大自然に囲まれる・・・といった「コンパクトな」地方都市。ゆーなれば、アメリカ的景観のすべてがぎゅぎゅっ、と詰まった「実寸大スタジオ」としての借用が可能な世界、なのです。
日本でも最近、だだっ広い空間の確保に困ると中国まで出かけていって巨大セットを組む・・・ということがよくありますが、逆に、あちこち出かけるのが面倒なので一都市に籠りきりになる・・・という発想はなかったんじゃないでしょうか。そういう意味なら、日本列島自体がもともと「ミニ国家パッケージ」と言われてしまいそう^^; な狭~い空間でしかありませんし。
まあ、そんなワケで。『フリンジ』撮影班は、(冬季五輪特需の前後の)お値打ちな宿泊施設を長期に渡って借り切り、今も低コストでいい仕事を続けてくれています^^。コスト削減の徹底、という意味ではもうひとつ。劇中で使われる車両も毎シーズン、自動車メーカーを「支援願い」に詣でて回り、スポンサーを獲ります。調達できる車両は全車、そこから供給を受けて出費を減らすんですねえ。
ちなみに、シーズン3まで面倒みてくれてたのはフォードだったんですが、現行シーズンでは日産に交代。
要所で映されるメイン車両だけでなく、ダナム捜査官のマイカーも「ピカピカに磨かれた」アルマーダへ・・・と替わりました。前後の脈略を考えると、出てくるクルマが同時点から揃って日産車になるのは「キワめて不自然」なんですが^^; ・・・「すべてはドラマ存続のためだ。細かいコトはいちいち気にせんでいい!」という了見で通しているのでしょう。誠にイサギよく、根幹の目的に適ったマネジメントなのではないでしょうか。