古来より60歳を「還暦=人生ひと回り」とは良く言ったモノで、人間……運よく60歳まで死なずに済んだなら、あらためて「過去の体験をなぞる」のも面白い。
たとえば、多感な中高生や新社会人の頃に読んだ小説、観た映画をふたたび、読んだり観たりする。
人間の記憶なんてもんは、40年も跨(また)ぐと合間の細かい情報を忘れ去って、相当にイイ加減💧である。あらためて読んだり観たりしながら「そういえばそうだった❕」と鮮明に思い出すこともあれば、「全然っ記憶から脱落してた。そうだったなんて新鮮🎵」っつこともある。
今回、1977年全米公開のSF大作『カプリコン・1』を45年ぶりに観た自分にしても、その後者=忘れ切ってた部分が何カ所もあって💧
大きな再発見だと、ふたりのキャストかな。日本公開時は気にも止めてなかった。
作品は、人類初の火星着陸を目指すNASA宇宙飛行士3名が、ロケット発射直前に降ろされ(政府の黒幕=副大統領の一味によって)砂漠の隔離施設に拉致される。無人のロケットは予定通り打ち上げられ、地上管制で火星を目指す。船内の生命維持装置に重大トラブルが発覚し、急きょ3人は施設内の特設スタジオで火星着陸を演じる、という陰謀への加担を強要されるのだ・・・・って話。
その飛行士3名のうち、ひとりが黒人。演じてるのがナンと「若々しい❕ フットボール引退から間もないO・J・シンプソン」その人では ないか。
まったく失念してた。
彼がプロ生活を辞めて映画俳優に転身、いったんは成功したのち犯罪者に堕ちてったことは知ってた。けど、俳優としての最初は「まじめキャラ」役が中心だったとは思いもせず。とかく黒人俳優と言うと(エディ・マーフィみたく)コメディ役者という偏見があったのと、事実、O・Jが80年代に『裸のガンを持つ男』で爆笑演技を繰り出してる印象ばかりが脳裏に染みついてた💧
まさか、こんなシリアスなサスペンスで宇宙飛行士役❕❔ だとはねえ。※ただし、中盤からの逃走シーンで「一番先に殺されて」しまう。
二人目のオドロきが、国家の陰謀を嗅ぎつけて取材に奔走する報道記者の、その上司(つまり編集長)役だ。
…おんやあ❔❔ これまた、誰が見たって懐かしの「ボスレー所長代理」ぢゃないかww
ちょうど米国で始まってた人気TVドラマ『チャーリーズ・エンジェル』と掛け持ちで、彼ことデビッド・ドイルは本作でも(似たような役回りを)演じてたのだった。ただ、本作ではチャリエンみたく「おちゃめな中年」なんて一面は微塵にも見せない。部下イビリに饒舌ぶりを全開にする、憎たらしい管理職を"好演"してる。
当時まだ日本では元祖『チャーリーズ・エンジェル』未放映だったから良かったが、そっちのイメージが付いてから「このキャラ」観てたら違和感ありまくり💧だったろう。
この「ボスレー」という配役を巡っては、チョイ前の米国の芸能ニュースにもなったね。
チャリエンのオリジナル・シリーズは「白人の物語」だった。私立探偵を演じる「3人のエンジェル」も全員白人なら、チャーリーはもちろん直属上長のボスレーも白人。
それが(シリーズ終了後)初映画化となって、初めてエンジェルのひとりがアジア人(演:ルーシー・リュー)に置き換わった。そのルーシーに(新ボスレー役の)ビル・マーレイが撮影の合間、越権行為で彼女のセリフを勝手に加えた台本にスリ替えたり、嫌がらせとも取れる高圧的な言動を取り続けて内部問題に。続編では黒人俳優に「交代させられる」アクシデントが起きた。
以来、エンジェル役では非白人が「ひとりは常任」となり、ボスレー役を白人男性が任されることは無くなった。
さて、『カプリコン・1』キャストに関するあらたな発見の他に、画質でも気づかされたことがある。
それは砂漠の極秘スタジオに建造された「火星地表面」のセット。
本作は1976年に火星に降りたバイキング1&2号の映像が参考にされた。だから公開当時は「バイキングも火星に行ってないんじゃないか❔」という都市伝説とペアになって話題を呼んでた。バイキングの送ってきた撮影画像は当時、かなり赤茶けた地表面として解析され、彩色されてた。
だから劇場公開時、そのスタジオの"人造"地表も赤っぽく、空はオレンジがかってたように記憶してる。ところが、Blu-ray媒体としてもリマスタリングされた『最新のカプリコン・1』では、そのドぎつめだった赤やオレンジが抑えられ、より現実の火星に似せられてたのだ…❕
↑ 映画の中の「火星のスタジオセット」 / ↓ 探査機が撮った現実の火星
まあ当然、監督の同意を得た「補正編集」なのだろうと推察するが、ある意味「あと出しジャンケン」みたいなインチキだな💧 と思えなくもない(苦笑)
ちなみに、本作の監督とはピーター・ハイアムズ氏。
1977年『カプリコン・1』
1984年『2010年』
1994年『タイムコップ』
1999年『エンド・オブ・デイズ』
2009年『ユニバーサル・ソルジャー』
1984年『2010年』
1994年『タイムコップ』
1999年『エンド・オブ・デイズ』
2009年『ユニバーサル・ソルジャー』
…等々、かつてアナログ特撮の全盛時はSF大作やアクション大作を数多(あまた)、世に送り出されていた御仁である。
=了=
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