おっちーの鉛筆カミカミ

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『祈るチカラ』

2007年08月14日 23時06分17秒 | 文章塾
「地震が起きませんように、火事になりませんように、世界が平和でありますように」
 毎日この言葉を仏壇に10回唱えるのが僕の日課だ。
 でも小さな声でお願いするので、お母さんやお父さんは僕が何を拝んでいるのか知らない。

 さて、明日はみんなで海水浴に行く。
「津波が襲ってきませんように」
 今日は、仏様にお願いすることが1つ増えた。拝んでる途中、今何回唱えたのか判らなくなる。
 今6回目!
 勝手に決めて、後を続ける。

 昨日、テレビで津波の事をやっていた。
「怖いね~」と僕
「そうだな」とお父さん。
「あさって地震が起きて、津波があったらどうしよう?逃げられる?」
「じゃあ行くのやめて家にいるか?」
「それは嫌だ~」
 お父さんは笑って「家にいるのが一番安全だ」
「でも火事が起きたらどうするの?」
「お父さんもお母さんもいるから大丈夫だよ」
「そうかな~」
 テレビで見た感じではそうは思えない。安全な場所なんてあるのかな?
「そういう時はね、仏様にお願いするんだよ」
 今度はおばあちゃん
「やってるよ」
「へえ偉いね、力」とお母さん。
「なら大丈夫だ。おじいちゃんが守ってくれる」おばあちゃん
「うん」

 その日の夜
 僕はタオルケットを被って眠ろうとする。
 目をつぶる。
 暑いので手足を布団から出そうとする。
 …ダメダメ!手足を引っ込める。顔以外そとに出さない。
 だって出してたらそこをドラキュラに噛まれて血を吸われる。
 汗だくになりながら、僕はいつしか眠りに落ちた。
 その時、頭を噛まれる事はいっさい考えなかった。。。

 明日は海。楽しみだ。
「…津波にあいませんように!」
 僕は仏様に10回お願いする。
「そんなに怖いの。行くの止めにしようか、本当に?」お母さん
「ううん、もう大丈夫、だって神様にお願いしたもん!」
「神様?」
「あっ仏様かな、ご先祖様?…とにかく10回も祈ったんだから大丈夫!」
 その時の僕には、怖いものなんか何にも無かったんだ。
 みんなは心配していたけど、本当だよ。



 文章塾投稿作品『祈るチカラ』