おっちーの鉛筆カミカミ

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たいむりぃNEWS用連載原稿第7話

2010年12月04日 23時45分06秒 | 小説・短編つれづれ
お題:『「首輪」「ラーメン丼」「フライパン」「アンドロイド」「特殊部隊」「片道チケット」「ビーム」……以上すべての言葉を使って学園物の小説を書きなさい。』~第7話~(おっちー作)

「あなた、お名前は?」
 ハヤ美はその少女に訊いた。
「なんであんたに名乗らなきゃならないの」
「あなたこの学園の生徒でしょう? 今日から仲間になりました、ハヤ美と申します。あなたは?」
 少女はひとしきり考えをめぐらせたあと、言葉を発した。
「ウチはみすりる」
「あなた、みすりるって言うんだ。よろしくね」
「よろしく~」
「私のコトは「ハヤ美」って呼んでいいから。一緒のクラスになるといいね」
「えっ?」
「どうしたの?」
「この学園、クラス分けなんてないよ」
「そうなんだ、全員合同で訓練するんだね。じゃあ仲間、仲間」
「訓練っていうか……地獄よ」
「はっ?」
 今度はハヤ美が訊き返す番だった。
「明日になれば分かるよ。あなた、死なないでね」
 物騒な事を言って、みすりるは去って行った。
 死ぬとか死なないとか、事前に聞いてはいたけど、この学園ではどんな訓練をやるのだろう。
 不安な思いを抱きながら、ハヤ美は寝床についた。
 ハヤ美が眠りにつこうとしている時……窓の外を、蛍が飛んでいた。黄緑色の光をともしながら、何度か窓ガラスに、コン、コン、とぶつかっている。ハヤ美はその音には気付かず、すでに深い眠りに落ちていた。するといつの間にか、蛍の姿はなくなっていた。

 翌日、ハヤ美は知った。
 この学園の「訓練」は訓練と呼べるような生易しいものではなかった。
 ハヤ美が見たのは戦場の、それも最前線と見紛うかの激しい兵士同士の闘いだった。それが、学園内の野外訓練場全体で、犬一匹紛れ込むスキ間も無い密度で行われていたのである。
(つづく)