「めがさめる、どこもいたくない、かゆいところもない、からだ
はしずかだ、だがこころはうごく」
このひらがな文字だけの詩は詩人の谷川俊太郎氏の「ベージュ」
に収められた「あさ」の一節である、ベージュ=米寿、谷川氏が
88歳米寿を迎えたときの作品である、少し足がおぼつかなくな
ってきて外に出るのが億劫になってきたが家にいて詩を書くのが
楽しくなってきたという。
もうひとり同じ米寿を迎えた哲学者の山折哲夫氏、孤独とむきあ
うことでより豊かな生を得ることができると言う持論を展開「ひ
とりの哲学」のなかで、こんなフレーズがある、「夜9時を過ぎ
るころになればひとり酒も終焉を迎える、さあ、これから死ぬか、
と掛け声をかけそのままベッドに転がりこむ」これから死ぬかと
いうものの、私にはこれからも生きていくぞという心の叫びに思
えてならない。
老年になると人生が円熟して人生のすべてがはっきり見えるよう
な年代を私自身長い間想像してた、しかし人生は年齢を重ねるに
つれ生きづらく理不尽になっていく、決して輝かしい老後なんて
ない、そんな老いの時間を迎えた人間の心境を素直に表現してる
お二人の言葉はなぜか心に響くものがある。