読書日記

いろいろな本のレビュー

[仮面の騎士」橋下徹  木原敬介他  講談社

2011-11-06 17:38:59 | Weblog
 著者は堺市長選で敗れた木原敬介氏、吹田市長戦で維新の会候補に敗れた坂口善雄氏の他、元大阪市助役の土崎敏夫氏、元大阪府副理事の本郷孝雄氏、編集者の南出家年氏など。吹田市は坂口市長の時、学力テストの結果非公表など、橋下知事の施策にことごとく反対していたことから、復讐された可能性が大きい。ことほど左様に橋下知事は執念深い。腰巻には「大阪、そして日本を破滅に導く恐怖専制の実態を決意の実名告発!閉塞ニッポンを救う男の実像は、傲慢、気紛れ、無責任。連戦連勝の選挙戦の蔭で露になるなる暴君の素顔を、部下たちがついに明かす!」とある。タレント弁護士から転身して、今日に至るまでの橋下氏の施策・言動を批判したものだ。私の直感だが、この人物は人の上に立つべきではないと思う。話し方、その内容、どれをとっても浅薄で聞いていて落ち着かない。「改革するには独裁、今の日本には独裁が必要だ」と滔々と喋っていたのをテレビで見たが、ホントに厭な感じだった。この厭な感じは、最近暴力団との付き合いが明るみに出て引退した島田紳介に通じるものがある。彼もテレビで偉そうにしていたが、最近人相が特に悪いなと思っていた矢先のスキャンダル発覚だった。この時私は、天の神様はやはりちゃんと見ておられると大いに喜んだ。世の中捨てたものではないと。実際、橋下氏はこの紳介と親しく、彼の番組に出たお陰で顔が売れたのだ。紳介も橋下を知事にしたのは俺やとうそぶいていたらしい。
 この矢先、大阪都構想を掲げて維新の会を盾に大阪市長選に撃って出た橋下氏に対するネガティブキャンペーンが打たれた。本書以外に、月刊誌『新潮45』で「最も危険な政治家橋下徹研究」と題して、氏の出自と高校・弁護士時代の人望の無さ等、人格に問題ありという特集が組まれ、その一週間後に『週刊新潮』で同様の記事を大衆向けにリライトしたものが発売されどちらも完売し、『新潮45』は大阪で5000部増刷された。『週刊文春』も同様の記事を特集した。これだけのネガティブカンペーンは最近お目にかかれない。橋下氏は自身のブログで、公人のプライバシーに対するチェックがメディアでなされる必要があると述べて、子どもに罪はないと苦悩をにじませていた。この怒りを選挙にぶつけると意気軒昂なところを見せていたので、世間の同情を買って票が増える可能性もある。自己の出自と少年時代の苦労に対するルサンチマンが、成功した自身の現在のありように大きく影響していることは確かだろう。この人物を大阪市民はどう評価するのか。民度が試されるときが刻刻と迫っている。