副題は「悲しき反日プリンセス」だ。朴槿恵は故朴正熙大統領の娘で、就任当時は親日政策を実行するのかと期待されたが、今まで以上に反日的で日本人を落胆させた。父母は暗殺され、本人も暗殺未遂を経験し悲劇のプリンセスというイメージが強い。本人のはかなげな微笑もそれを助長している感がある。それにしても韓国はなぜ「過去清算」と「反日」にこだわるのか。歴代の大統領ははなぜその桎梏から逃れられないのか。この問題に関しては従来からいろんなアプローチが試みられてきた。儒教的・朱子学的リゴリズムによる事大主義と小国主義等々。本書はその社会原理を心理学的に探った所に特徴がある。
著者は産経新聞お抱えの右派の論客だと認識するが、韓国を離れ日本に帰化するまでの事情を斟酌すると発言にはそれなりの真実が含まれており、傾聴すべきものが多い。特に漢字を廃止してハングル一辺倒にしてしまった文化政策に対する批判は正鵠を得ていたと思う。最近の慰安婦少女像をアメリカのあちこちに建設する運動とか、日本国内で韓国人によって盗まれた仏像を、これはもともと韓国渡来のものゆえ返還できないとか、さらに太平洋戦争以前の親日派を暴きだして財産を没収する等々、理解に苦しむ対応が我々を不安にさせる。この点、まだ中国の方がわかりやすい。中国は近代以前の王朝的帝国主義なのだから。
著者によると、反日行為を担なっているのは、「代償的擬似健常者」的心理だと言う。この言葉は精神医学者中井久夫氏が著書で述べているのだが、「正常・健常者」と言われる人のなかには、病気からほど遠い余裕のある人だけではなく、「他者に依存したり他者や社会を攻撃すること」によって、自らの精神衛生を維持している人達が多数いるということらしい。これは韓国にキリスト教徒が多いということの説明にもなっている。即ち神の民ユダヤ人、神の子イエスがそうだったように、我々はどんな罪もない善なる民族なのに、私はどんな罪もない正しい人間なのに、なぜ迫害されなくてはならなのか。そのように思いを向けるところに、韓国人の多くがキリスト教に惹かれる大きな理由がある。「恨」の文化がキリスト教と結びついたのだ。この「恨」は「火病」(フアッピョン)を引き起こしていると著者は言う、「火病」とは「韓国人にだけ現れる珍しい現象で、不安・うつ病・身体異常などが複合的に現れる怒り症候群」だと。個人が精神的疾患を患うことはふつうにあることだが、民族がある病を患うと言うのはなかなか理解が難しい。しかし激情に駆られて行動する人々の姿を見ると、長い抑圧の歴史の中で芽生えた病理であるのかもしれない。
朴槿恵大統領はこのような国民情緒を軸に国家を運営する指導者であると著者は断言している。この国民情緒はグローバリズムとは相いれず、外交のかじ取りは困難を極める。韓国の近代化は遠いと言わねばならない。
著者は産経新聞お抱えの右派の論客だと認識するが、韓国を離れ日本に帰化するまでの事情を斟酌すると発言にはそれなりの真実が含まれており、傾聴すべきものが多い。特に漢字を廃止してハングル一辺倒にしてしまった文化政策に対する批判は正鵠を得ていたと思う。最近の慰安婦少女像をアメリカのあちこちに建設する運動とか、日本国内で韓国人によって盗まれた仏像を、これはもともと韓国渡来のものゆえ返還できないとか、さらに太平洋戦争以前の親日派を暴きだして財産を没収する等々、理解に苦しむ対応が我々を不安にさせる。この点、まだ中国の方がわかりやすい。中国は近代以前の王朝的帝国主義なのだから。
著者によると、反日行為を担なっているのは、「代償的擬似健常者」的心理だと言う。この言葉は精神医学者中井久夫氏が著書で述べているのだが、「正常・健常者」と言われる人のなかには、病気からほど遠い余裕のある人だけではなく、「他者に依存したり他者や社会を攻撃すること」によって、自らの精神衛生を維持している人達が多数いるということらしい。これは韓国にキリスト教徒が多いということの説明にもなっている。即ち神の民ユダヤ人、神の子イエスがそうだったように、我々はどんな罪もない善なる民族なのに、私はどんな罪もない正しい人間なのに、なぜ迫害されなくてはならなのか。そのように思いを向けるところに、韓国人の多くがキリスト教に惹かれる大きな理由がある。「恨」の文化がキリスト教と結びついたのだ。この「恨」は「火病」(フアッピョン)を引き起こしていると著者は言う、「火病」とは「韓国人にだけ現れる珍しい現象で、不安・うつ病・身体異常などが複合的に現れる怒り症候群」だと。個人が精神的疾患を患うことはふつうにあることだが、民族がある病を患うと言うのはなかなか理解が難しい。しかし激情に駆られて行動する人々の姿を見ると、長い抑圧の歴史の中で芽生えた病理であるのかもしれない。
朴槿恵大統領はこのような国民情緒を軸に国家を運営する指導者であると著者は断言している。この国民情緒はグローバリズムとは相いれず、外交のかじ取りは困難を極める。韓国の近代化は遠いと言わねばならない。