「太陽にほえろ!」当直室 仮設日誌 PART2

6年半ご愛顧いただいた『太陽にほえろ!当直室』(since2002年5月)復活ブログ、引っ越しました。(2014年7月)

蒸発

2011-03-22 22:07:25 | ファミ劇日誌
『♯57 蒸発』 昭和48年8月17日放送

主演:松田優作(柴田純)露口茂(山村精一)
出演:石原裕次郎(藤堂俊介)竜雷太(石塚誠)下川辰平(野崎太郎)小野寺昭(島公之)平田昭彦(西山隆行)青木英美(永井久美)菅井きん(柴田たき)北川陽一郎(高田鑑識員)

長内美那子(江原邦子)山本耕一(江原行夫)松本朝夫(小阪)仙波和之(石岡輝次)鮎川浩(タレコミ屋)木村博人(倉田)川野耕司、都家歌六(管理人)石川隆昭(警官)常陸雅史 ※ノンクレジット 大宮幸悦 小坂生男(寺林組の刺客)

プロデューサー:岡田晋吉 清水欣也(日本テレビ)梅浦洋一(東宝)
企画:魔久平  脚本:鴨井達比古
撮影:田端金重 美術:小汲明 照明:隠田紀一 録音:大庭弘
音楽:大野克夫 演奏・井上堯之バンド 編集:神島帰美 整音:坂田通俊
助監督:渡辺拓也 擬斗:宇仁貫三 制作担当者:原雄次郎 現像:東洋製作所 アシスタントプロデューサー:梶山仗祐 
協力:国際放映 企画協力:ジャックプロダクション 
監督:斉藤光正
制作:東宝株式会社

覆面車:クラウン(70-26)セリカ(57-63)


この作品って一口じゃ言えない特徴がある「名作」であります。


*ジーパンが捜査四係を滅茶苦茶にした話

暴れ熊同士の物凄い試合。
確か当時83万円したセットを気持ちよく(^_^;)崩壊させるのですが、ガラスはさすがに本物を使うわけにはいかなかった...
しかし、あそこまでの泥試合って刑事モノ史上でもトップだと思います。
他の番組はガラスを割ることで迫力出してますが。

でも、怪しい奴をすんなり3人侵入させることを許す七曲署もどうかと思いますが(^_^;)

*まるで昼ドラのような江原家の人々の話

蒸発して死んだとされていた男が生きていた・・・。
新しい「夫」を迎える準備が出来上がっていた矢先に降ってわいた話。
妻は無論新しい夫の方に気が向くのは当然として、ボケヤスこと江原の男的な心理は解らないでもない・・・・
男って未練の動物ですからね(^_^;)
事件を目撃していなければ、蒸発というフタはあるものの、この家族は案外平和な生活を送っていたものと思いますが、フタはフタ、開けてしまえば出てくる出てくる状態。
江原の気持ちというのは、山頭火にちょっと反映されていますが、山さんもそう思ったのか、男ならだれでも思うことのあるシガラミの無い世界への憧れというのは、シガラミが無い分、一人は独り。
孤独に耐え抜く事が出来るのか?江原は・・・。

う~ん・・・考えちゃいますね。

*肩入れする話

ジーパンは今の江原一家に、山さんはある意味江原に、肩入れする部分が見えます。
でも、ジーパンは至極正論な部分に偏っていますが、刑事としてはその邦子達の幸せというのは関係ない部分なんですよね。
そのことで事件に影響を及ぼすという危惧を、山さんは早く感じていたようです。
病院での江原襲撃後、山さんがジーパンへ叱咤した部分がちょっと浮いているように感じるのは、この作品でジーパン目線で観るか、山さん目線で観るかでかなり変わってきます。
私はジーパン目線で観ていたので、なんであそこで・・・と思いましたが、最近は山さん目線で観ていたので、ジーパンが多少冷静さを欠いているのが目立ちます。
山さんはあくまでも事件の範囲内で目撃者としての江原に接する姿勢をとるのですが、もしかするとその辺りは山さん自ら自制していたのかもしれません。

*山さんが「食う」話

滅多に食事シーンが無い山さん。
今回はパンに三角パックの牛乳にストロー、それにレンゲでチャーハンなど。

*扇風機の話

とり合いです(^_^;)
さらに聞き込み先の番場でボスに「め~ぇ!」と電話している時、室内から誰かに持ってもらって涼しい風に当たっていた山さんって(^_^;)

*個性的な面々の話

ボケヤスにしても、パチンコ屋のタレコミ屋にしても、アパートの管理人にしても、暴れ熊・倉田にしても、飛びぬけて個性的な面々が集まっています。
それにつられてか否か、ジーパンまでゆるゆるな感じですし・・・。

久美ちゃんが保母さんというのも笑ってしまいますが、ジーパンのようなデカイ園児がいるのはイヤです。。。
それにしてもあのファーストシーンは緩すぎ(^_^;)

西山が署長として初めて顔を出したと思ったら、ボスまで緩いし(^_^;)
ラストはまるでコントの見本のような締めくくり。

こういうのも好きですね。

*斎藤光正監督の手腕

本来であれば結構暗くハードな題材なのですが、斎藤監督の独特な劇的演出と各人の緩さと一所懸命さとの上下差で独特な世界観を醸し出しています。
笑えるけど切なく、それでいて迫力のある構図というのは。なかなかお目にかかれません。

・・・・

というわけで、この作品は何も考えずに何の用意もしないで、ただただ単純に観た方が愉しめるかもしれません。


=ロケ地=

多摩川沿い砂利採掘場。

江原邸は三鷹市に改装されつつ現存。

歌舞伎町界隈

新宿2丁目

中華・春楽は国際放映前にかつて存在した。

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