脚長き少女に馬鈴薯(じやがいも)蹴散らさる 中尾和夫
ありそうな景ではあるが
一昔まえであれば顰蹙ものであったろう
脚長き少女 戦後の復興の結果そのものを暗示させる
馬鈴薯を蹴散らす
作者は少女を非難するのではなく
この様をみながら現在の飽食の時代をしみじみおと感じているのだろう
(小林たけし)
【馬鈴薯】 じゃがいも
◇「じやがたらいも」 ◇「馬鈴薯」(ばれいしょ)
南米原産で16世紀末に渡来。地下に生じた多数の塊茎を料理や澱粉の原料に使う。栽培が容易であることから、世界に広まった。
例句 作者
じゃがいもころころホラ吹き男爵もいる 普川洋
わが馬鈴薯うまれた土にごろごろと 和知喜八
バター溶けて男爵薯の崩壊感 吉川葭夫
万有引力あり馬鈴薯にくぼみあり 奧坂まや
寄宿舎の馬鈴薯三個で学問す 宮本修伍
掘り上げしじやがいも大地の力瘤 岡本晴美
田の母よぼくはじゃがいもを煮ています 清水哲男