
うしろ手に閉めし障子の内と外 中村苑子
最近の住宅に少なくなった障子のある和室
独立した部屋でありながら外の気配を感じられる
外からもその室内をうかがえそうだ
掲句はなかなか深い味わいがある
うしろ手でしめた作者はまだ立っている
その手は障子にかかってもいるようだ
今までの喧騒、雑駁、きのすすまない会話など
障子を閉めたことで
すっぱりと遮断した
内と外とはそういうことか?
(小林たけし)
【障子】 しょうじ(シヤウジ)
◇「冬障子」 ◇「明り障子」
日本座敷を仕切る障屏具。新年を前に張り替えることが多いため冬の季語とされる。襖障子、唐紙障子、明かり障子など多種。主として明かり障子のこと。
例句 作者
あの人にかぎってという白障子 河西志帆
いのちなが白い障子に囲まれて 黛執
しづかなるいちにちなりし障子かな 長谷川素逝
ふりむけば障子の桟に夜の深さ 長谷川素逝
ふるさとや障子にしみて繭の尿(しと) 阿波野青畝
まぶしさは予定なき日の白障子 小池溢
むつかしく思わず障子開けに立つ 花谷和子
あの人にかぎってという白障子 河西志帆
いのちなが白い障子に囲まれて 黛執
しづかなるいちにちなりし障子かな 長谷川素逝
ふりむけば障子の桟に夜の深さ 長谷川素逝
ふるさとや障子にしみて繭の尿(しと) 阿波野青畝
まぶしさは予定なき日の白障子 小池溢
むつかしく思わず障子開けに立つ 花谷和子