寡黙な人(2021.10.12日作)
物事の本質を知る者は
言葉を失い
寡黙になるものだ
安易 安直に
言葉を口にする人間には
得てして「夜郎の本箱」ー物知り顔でいても 本質を理解していない人間ー的
人間が多い
世の中は 愚者の絡まり合い で
成立している その中で 自己は
どのようにして 真摯に 誠実に
この世を生きられるか
そこが 問題だ
大木(いぼく)は デンと構えて
蚊帳の外
山百合の 香り懐かし 奥信濃
榛名湖の 湖畔に一人 秋深く
陽炎の 燃え立つ海辺 夏の村
コスモスの 揺れるその中
君の顔 あれは幻
還らぬ日
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十三枚の絵(4)
わたし達はしばらく、夜の中にものの動きを探るように黙っていた。
二頭の猟犬の吠える声は激しさを増しこそすれ、鎮まる気配はなかった。
森本は不審気な顔で席を立った。
ガラス戸を開けて縁側に出ると、一枚の雨戸を繰った。
「誰だ !」
外の闇に向かって怒鳴った。
森本の声の鎮まった夜の闇の中に返事はなかった。
猟犬たちは森本の声を聞いて吠え立てるのをやめた。
「あじょうした ?」
森本の不審気な様子の背中を見て辰っあんが声を掛けた。
「誰かいる」
森本は言った。
「結城さんじゃないのか ?」
一呼吸置いてからわたしは言った。
辰つあんが腰を上げた。
わたしも辰っあんに続いた。
わたし達は縁側から踏み石に降りると下駄を突っ掛け外へ出た。
闇の中を庭を抜け、門の近くへ来ると御影石の門柱に因り掛かるようにして、蹲っている人の黒い影が見えた。
傍へ行ってみると、やはり結城さんだった。結城さんが衰弱し切った体でそこに崩折れていた。
「結城さん ! 結城さん !」
森本は抱え起こして声を掛けた。
結城さんは森本の声に反応したが、答えるだけの力はなかった。
猟銃は持っていなかった。
森本は結城さんを背負うと座敷へ運んだ。
頭髪が半分以上も白くなっていた。
顔中に深い皴が刻まれ、一夜のうちに歳を取ってしまった、としか思えなかった。
結城さんの意識は朦朧としていた。
森本は好江さんを呼ぶと、床を取らせた。
わたし達が居た座敷に結城さんを寝かせた。
「最上医院に電話をして、すぐに来て貰った方がいいかも知れないな」
結城さんの血の気の失せた顔を見て森本が言った。
「最上は年寄りだがら、こんな夜中には来ねがっぺえ」
辰っあんが言った。
「今、何時 ?」
森本が好江さんに聞いた。
「もう、十時過ぎよ」
好江さんが言った。
「一応、電話をしてみてくれないか。急病人だから、なんとかして来てくれって。車で迎えに行くからって」
" 医師(せんせい)は寝てしまったから、明日にして欲しい "
電話に出た医院の者は言った。
森本は電話を代わると、強引に頼み込んで医師の来る事を承諾させた。
森本が車で迎えに行き、二十分程すると最上医師が来た。
品の良い、穏やかな感じの老人だった。パジャマの上に白衣を着ていた。
夜中にも係わらず、薄くなった銀髪をきれいに七三に分けていた。
「応急処置として、注射ば一本打っておぐけっど、こりぁ、大きな病院でよぐ検査ばして貰わねえど駄目だ」
医師は老人のせいか、まだるっこい程、落ち着いていた。
眼鏡の上側からわたし達を見て話しをした。
注射の後、血の気の失せた結城さんの顔に幾分かの生気が戻った。
「何かあったんですかね。たった一晩のうちに、十歳も歳を取ったみたいになってしまった」
森本が言った。
「内臓が大分、傷んでる。胃も悪いし、肝臓もいげねえ」
最上医師は、洗面器の水で手を洗いながら言った。
「明日もまた、来て貰えますか」
森本は言った。
「うん、来てんべえ」
翌日、十時頃、医師は来た。
「このまま、そっと寝かせでおいで、体力の回復ば待づこったね。消化のいい、栄養になるもんば食べさせでな。そっで、体力が回復したら、町の病院さ入れで精密検査ばして貰わねえど駄目だ」
わたしはその日の午後、東京へ帰った。
結城さんは暫くは森本の所で世話をする事になった。
結城さんが死んだ、という森本からの電話が入ったのは、五十二日目の事だった。胃に穴が開き、吐血した血を喉に詰まらせての窒息死だった。
自分の家での事だった。
結城さんは五日目に、まだ、体力の回復もないままに自分の家へ帰った。森本が 引き止めるのも聞かなかった。
その後、結城さんはなんとか体力を回復したが、なぜか、山で起こった事に付いては詳しい話しをしなかった。日没近くにキジを撃って、そのキジを追っているうちに方角を見失い、迫り来る闇の中で何も分からなくなるのと共に、気を失っていたという事だった。
森本は結城さんが自分の家へ帰ってからも、一日に一度は結城さんを見舞った。
「最上医師(せんせい)が、精密検査を受けなければ駄目だって言ってましたよ」
何度勧めても結城さんは、
「なあに、もう、大丈夫ですよ」
と言って、森本の言葉を受け入れようとはしなかった。
そんな結城さんだったが、森本が何時行ってもカンバスに向かい、絵を描いていた。写生に出る事はなくて、家にこもったきりだった。森本はその姿を見て、自分が思っている以上に結城さんは体力を回復しているのかも知れない、と思った。事実、カンバスに向かっている時の結城さんの気迫には圧倒されるものがあって、何度も声を掛けるのをためらった事があった、と森本は言った。
「やせ細ってはいたが、カンバスを見詰める眼だけはギラギラしていて、怖いぐらいだったよ」
森本の知らせを受けて、仕事も放り出してわたしが掛け付けた時には午後四時を過ぎていた。辰っあんも来ていた。
結城さんの妹だという、四十歳がらみの、細面のきれいな女性がいた。眼を真っ赤に泣き腫らしていたが、取り乱たところはなくて、しっかりした人のように見えた。
わたしは結城さんの死が喀血による窒息死だと聞かされて、凄惨な遺体の状態を想像していたが、森本が白い布を取って見せてくれた結城さんの死顔は、穏やかで綺麗なものだった。
「明日、遺体を町の病院へ運んで解剖する」
森本はわたしの耳元で言った。
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桂蓮差様
何時も応援 有難う御座います
新作がなく 過去の作品を逍遥してるうちに
グランビーの初秋 写真 出会いました
一度 拝見した記憶がありますが 改めて
この環境 羨ましく思います 人嫌いの傾向のある
わたくしには憧憬の環境です
自意識の強弱
寒い時に熱くなる事を願わず
熱い時に寒くなる事を願わない
季節が移ってゆく 気流にのって
ただ その気流を眺め
その気流に乗ってゆくだけの事
いい言葉です ここに人の生きる道の
基本があります また これは禅の世界
あるがままに受け容れる
有って良し 無くて良し 悟る
そういう事です 坐禅の世界
それにしてもグランビーの人口
なんとまあ わたくしに取っては
夢見る世界です 羨ましい世界です
何時も有難う御座います
感謝致します
takeziisan様
何時も詰まらない文章にお眼をお通し戴き
有難う御座います
今回もブログ拝見 楽しい時間を過ごさせて
戴きました
ブログ歴 やる事があるのは良い事ですね
それにしても毎回 充実した内容を創るのは
大変な御苦労だと想像致します
野菜畑が羨ましい 好みのままに作れる野菜
いいですね 収穫時が楽しいのではないでしょうか
名人 栃錦 懐かしい名前
時の過ぎ行くままに MJQ これも懐かしい
MJQ アートブレイキー モンク ソニーロリンズ
いろいろ レコード持ってます
随分 詩を書いてますね お若い頃 何か
文芸誌などに係わりましたか ?
曽野綾子 クリスチャンですね
神の教えは禅の教えと似た部分があります
いずれにしても 人間は何かに頼らなければ
生きてゆけない存在でしょうか でも その神が
人間を縛る どう考えたら良いのでしょう
人間 結局は孤独な存在 無の世界を人は
それぞれに生きてゆく それが
わたくしの立場です
不具合ありとの事 わたくしは幸い 不具合は
有りません 血圧の低いのだけが難点です でも 医師は
百歳まで生きられますよ と言ってます
いずれにしても お互い 体に気を付け 何時までも
こうして 元気な御様子が拝見出来たら と思っています
有難う御座います
次回が待ち遠しいです。
この1週間、パソコン開けないで
やりたいことだけに集中してました。
アクセス確認とか
お礼にブログ訪問してくれた人たちにアクセス後残すのも
何だか気が向かなかったので、
ブログも放置してました。
去年まではブログ更新しないと
何だかイライラしてきて
やるべきことをしない罪意識みたいな気分で落ち込みましたけど、
今年に入って
何を書いても
昔のような『鬼気』になれないですねー
何を書いても、あまり気分がのらないまま
体験談綴りみたいな
安易な文になりますねー
だから、文頭の文が
叱りのように思えてきますう。
(勝手な思い)
まあー叱ってくれる人もいなくなったから
新鮮でもありますけどねー
ところで、この前の土曜
バレエのレッスンでは
また、私一人でした。
で、そんな時は
先生はもうなんでもかんでも
私の姿勢ややり方に文句(いや指導)つけてくるのです。
これがちがう、あれもちがう、
もうNO、NOばかりで
レッスンがなかなか進まないです。
私は正しくバレエを習うことを肝要に思っていますが、
さすがに、指摘が多すぎて
またかよおー
今度は何が違うのかよ、とはあーとしてきます。
でもまあ、あんな指摘があると
私は必ず直すので
先生も私に期待してしまうかもしれませんしー
まあ、ここで書くことは
その先生が100%読まない(ロシア人で日本語完璧に知らないので)ので、
鬱憤晴らしにもなりますねー
今は足を蹴り上げる(バットマン●ジェッテ)はやっと90度以上になりました。
上げる足と支えている足が180度になるのが目標なので、
やっと半分超えた感じです。
いつか、バレエの体を作れたら
写真付きで記事アップする目標です。
今年中にできるのかしらー
続きを 楽しみにしております。