金蔵は処方箋調剤薬局の中で所在無げに待っていた。そこにブリジットバルドー似の女がいるのに気づき視線を女の尻に向けた。彼はにんまりし、念力で秋波を送った。だが女はそれに気づかずすぐ調剤室の中に消えていった。
途端に彼の表情は曇った。スケベそうな柔和な目が一変、今度は獲物を物色する刺のある視線に変わった。
周囲をしきりに見まわす彼のその様子は、まさに挙動不審者そのものだった。
そんな中、突然体の動きが止まった。彼の燃えたぎる目はある一点に注がれていた。『のび~るフィット「ライフリー」』
金蔵の斜め前の棚にそれは置いてあった。
おじいちゃんの愛用品、添え書きにお出かけパンツとある。
それは109で若いねーちゃんに教えてもらったパンツとはえらい違う代物だった。
「阿仁野さん」「阿仁野金蔵さん」「金蔵さん」何度も呼び出す声に彼は気が付かない。
「漏れ防止薬一年間分で~すよ」
それを聞いて我に返った彼は、「はいはいはい。阿仁野ですが」
「それと申し訳ないんですが、うちには漏れ防止薬はありましたが、ひごずいきは置いてないんです」
周りの好奇な視線が彼に注がれた。
おぼえてる。ブリジットバルドー
昔の美女。
フランスかイタリアの女優さんでしょ?
あとね、ソフイアローレンという女優さんもいた。
おもいだすーー、。、。
わたしは何歳?(笑)
阿仁野金蔵という人のことを書いていたんだね?
ボクはてっきり自分のことかと心配していたんだよ。
だって、ふだんはアニキって呼ばれているからね。
「ん?ちょっとニュアンスが似てないか?」と思っていたんだ。
全然関係ないんだあ・・・良かった(^^♪
ということは、やはり、この老人はキミか?
名前は違うが、この独特の臭みが、どうしてもキミを連想させてしまう。
そう、昔、連想ゲームというのがあった。
ぐー→屁→ブォ!→臭い→漏れる→おでかけパンツ→ぐー
見事に元にもどる。
キミは天才だ!
また逢おう!!!
今日日なかなかいません。まだ元気なのでしょうかね?
ソフイアローレンもいたね。ひまわりね。
元気でしたか・?
ところで君は、兄の金蔵は自分のことだと思ってたらしいね。
今回は全くの別人阿仁野金蔵なんだけど、この金蔵さんは、君の奨励するお出かけパンツを身につけてる。
ライフリーと君は縁がないだろう?
ならば堂々としてなさい。
そろそろ暑気払いが近づいてきた。たまには、一杯やりますか?どうなの?
もう眠い。今日はやけに眠い。
これから風呂入って、睡眠モードに入るでよ。