マイク・シーゲルなるドイツ人の映画史家が製作したサム・ペキンパーの生涯を描いたドキュメンタリー。ペキンパーゆかりの人々へのインタビューと映画のメーキングシーンや名場面を中心に構成されている。
まずは「ペキンパーを語る男たち」
『ワイルドバンチ』(69)『コンボイ』(78)のアーネスト・ボーグナイン。笑顔が素晴らしい好々爺になっていた。『ダンディー少佐』(65)『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』(73)『戦争のはらわた』(77)のジェームズ・コバーン。カッコいい、渋過ぎるぜ。『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』『コンボイ』のクリス・クリストファーソン。ギターの弾き語も披露。もともと歌手だものね。
続いて「ペキンパー組の脇役たち」
『昼下りの決斗』(62)『ダンディー少佐』『ワイルドバンチ』『砂漠の流れ者』(70)『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』のL・Q・ジョーンズ、『昼下りの決斗』『ダンディー少佐』『砂漠の流れ者』『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』のR・G・アームストロング、『ワイルドバンチ』『ゲッタウエイ』(72)『キラー・エリート』(75)のボー・ホプキンス。
『ダンディー少佐』はこれまでチャールトン・ヘストンのわがままぶりばかりが語られてきたが、今回はL・QとR・Gがそろってヘストンの男気あふれるエピソードについて証言していた。強面のL・Qの背後に監督作『少年と犬』(75)のポスターが貼ってあったのがほほ笑ましかった。ホプキンスは『ゲッタウェイ』共演時のスティーブ・マックィーンの物まねを披露してくれる。彼らにとって、ペキンパーを語ることは俳優である己の誇りについて語ることにつもながるのだろう。
「意外と女にも好かれるペキンパー」
『ゲッタウエイ』『コンボイ』のアリ・マッグロー、『ダンディー少佐』『戦争のはらわた』のセンタ・バーガー。お久しぶり。二人とも年の割にはまだまだ十分にお美しい。『ガルシアの首』(74)のイセラ・ベガはきっぷのいいメキシコのおばちゃんに変身していた。
「外国人の方がペキンパーを理解する?」
『ダンディー少佐』のドイツ人マリオ・アドルフ、『砂漠の流れ者』『わらの犬』(71)『戦争のはらわた』のイギリス人デビッド・ワーナー、そしてペキンパーの盟友のメキシコ人チャロ・ゴンザレスがいい味を出していた。
こうして、さまざまな証言からあらためてペキンパーの人生を振り返ると、確かに彼には不遇な部分もあったが、好き勝手に生き、自滅していった感もある。それでもいまだにこうして多くの人から慕われ、語られるとは、たいした幸せ者だと言えるのではないか、と思えてくる。ジュリアン・レノンの「ヴァロッテ」のMVがペキンパーの監督作でしかも遺作だったことを、このドキュメンタリーで初めて知り、ちょっと切なくなった。
親父のジョンにそっくり。ジュリアン・レノンの「ヴァロッテ」↓
https://www.youtube.com/watch?v=NP4YHXnft1w