田宮二郎主演の『犬シリーズ』の第8作。田宮演じる主人公は風来坊の流しでガンマニアの鴨井大介。ぼろアパートに住みながらスタイリッシュなしゃれ者というギャップがいい。
村野鐵太郎監督らしい切れのいいアクションと脚本藤本義一による関西弁の掛け合い漫才のようなせりふのおかしさが相まって、独特の面白さを生んでいる。
鴨井の相棒役の藤岡琢也、アパートの隣に住む夫婦の小沢昭一と坂本スミ子、敵対する暴力団幹部の成田三樹夫とその情婦の江波杏子、鴨井と意気投合する“しょぼくれ刑事”の天知茂、謎のおかまの財津一郎、
そして伊達三郎、早川雄三、北城寿太郎、夏木章ら大映の脇役も含めて、田宮と他の俳優たちとのアンサンブルも見ものだ。
個人的には、旧型の池上線や山手線をはじめ、昭和40年代のなじみのある懐かしき五反田の風景が映ったのもうれしかった。