神のいたずらが積極的な人生を
この映画の主人公は、定年間際の窓際刑事バート(ダブニー・コールマン)です。彼は無事に年金を手にするために安全第一がモットーの男。危ない捜査があれば、何かと理由をつけて回避します。ところが、保険に加入するための健康診断を受けたところ、医師から「難病に侵されているのであと2週間の命だ」と宣告されてしまいます。原題の「Short Time」はここから付けられています。
死を覚悟したバートは自らの人生を見詰め直し、元妻(テリー・ガー)とまだ幼い子供のために何が残せるかを考え、派手に殉職して多額の保険金を得ることを思いつきます。かくして、一転、危険な事件に進んで乗り出すバートでしたが、皮肉なことに殉職するどころか次々と手柄を立ててしまいます。
優れたコメディの多くは、当事者は真剣なのに他人から見れば喜劇に映るというギャップから生まれますが、この映画はその最たる物。実はバートは難病ではないのですが、誤診という神のいたずらが、逆に積極的な人生をもたらし幸せを運んでくる様子を描いたハートウォーミングなコメディになっています。カーチェイスなどのアクションシーンに手を抜いていないところも高ポイント。バート役のコールマンが実にいい味を出しています。