これならシャーロキアンも満足か
探偵を引退後、93歳となったシャーロック・ホームズ(イアン・マッケラン)が、老いと闘いながら、引退の原因となった事件を回顧する。アーサー・コナン・ドイル原作の「名探偵シャーロック・ホームズ」のパスティーシュ(作風模倣)映画。監督は『ドリームガールズ』(06)などのビル・コンドン、脚本はジェフリー・ハッチャー。
ワトソンら、友は皆亡くなり、一人生き残った老人の孤独と後悔の日々に一筋の光を差す少年との交流、ヒッチコックの『めまい』(58)を思わせる、過去の切ない事件の回想などが、英国ミステリー独特の深い味わいの中に描かれる。
マッケランはもとより、ホームズの世話をする親子を演じたローラ・リニーとマイロ・パーカーが好演を見せる。『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』(85)で若き日のホームズを演じたニコラス・ロウが、劇中映画でホームズを演じるサービスもある。また、真田広之が登場する日本でのエピソードは静岡県の大井川鉄道や千葉県の佐原でロケが行われたという。
これならシャーロキアン(ホームズの熱狂的なファン)も満足かという出来栄えだ。