田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ジョン・デロリアン』

2019-10-29 15:45:52 | 新作映画を見てみた
 
 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでタイムマシンに改造されて登場し、世界的に有名になったデロリアン。この伝説的な車を作った男ジョン・デロリアン(リー・ペイス)の物語を、実話を基に映画化した。果たしてデロリアンは詐欺師だったのか、それとも天才だったのか…。
 
 監督のニック・ハムと脚本のコリン・ペイトマンは「複雑なデロリアンの人生の一部、一定の時間だけに焦点を合わせて伝記映画を作ろうと考えた」という。そして、舞台を1977年前後のカリフォルニアに絞って、実業家、ペテン師、FBI、麻薬ディーラーが入り乱れる、一種のブラックコメディに仕立て上げた。 
 
 加えて、この映画のユニークな点は、デロリアン本人ではなく、彼の隣人でFBIの情報提供者だったジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)との関わりを中心に描いているところ。だから、サダイキスが「この映画は、デロリアンとホフマンのラブストーリーともとれる」と語るように、2人の不思議な友情物語として見ることもできるのだ。
 
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八千草薫さんが亡くなった…

2019-10-29 10:31:50 | 映画いろいろ
 
 映画では、稲垣浩監督『宮本武蔵』三部作のお通、本多猪四郎監督『ガス人間第一号』(60)の日本舞踊の家元、篠田正浩監督『美しさと哀しみと』(65)の弟子(加賀まりこ)と同性愛関係にある日本画家など、着物の似合う和風美人役が印象に残る。その意味では、山田洋次監督『男はつらいよ 寅次郎夢枕』(72)の、寅(渥美清)に惚れる美容師役は異色か。
 
 また、自分にとってのリアルタイムでは、鎌田敏夫脚本「俺たちの旅」(75)のオメダ(田中健)の母、倉本聰脚本「うちのホンカン」の駐在さん(大滝秀治)の妻、山田太一脚本「岸辺のアルバム」(77)の浮気する主婦、向田邦子脚本「阿修羅のごとく」(79)の四姉妹の次女、そして山田太一脚本「シャツの店」(86)の横暴な夫(鶴田浩二)からの自立を考える妻など、テレビドラマでのさまざまな主婦役が印象深い。当時、こうしたドラマを見ながら、倉本聰や山田太一は、同年代の憧れの人の魅力をどう引き出すか、と考えて脚本を書いたのではないかと思ったものだ。
 
 八千草さんは、純粋無垢なかわいらしい女性、控え目な日本女性、成熟した色っぽい女性など、さまざまなキャラクターを演じたが、どれも“きれいな人”だったという点で共通する。自分の親と同世代の人だが、とてもそうは思えなかった。
 
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