「そういえば、その頃、雫って、たしか・・・天沢君と付き合ってたよね。」
「うん。あっ。そうだ! 今度は、私の事も聴いてもらっていい?」
「おっ。なになに。いいわよ。なんでもこい!」
夕子の表情が明るくなった。
「昨日ね。その天沢君にあったの。」
「えっ! どこで? 彼ってたしか海外じゃあ・・・」
「彼のお爺さんが亡くなってね。その葬儀に私も参列したの。そしたら、天沢君も来ていて、会っていろいろ話をしたのね。」
「うん。うん。」
「でね・・・」私は天沢君への持て余している感情を思いのまま告白した。夕子は真剣に私の話に耳を傾けてくれていて、私が話し終わると、顔の前で両手を組んで事件を探る探偵のように話し出した。
「そういうことがあったのね・・・。それじゃあ一つ聞くけれど、雫は天沢君とはどこまで深く付き合ったの?」
「えっと、それはつまり・・・。」
「そう。何処まで男と女の関係をもったかってこと。」
「えっと・・・。手をつないで、文通して・・・。」
「なに。中学生止まり?」
「うん。そう言うことになるかなぁ。彼はずっと海外だったしねぇ。」
「じゃあ、もう少し彼と話しをしてみたら?」
「ううん・・・。」
「二人とも大人でしょ。」
「そうだけど・・・。それで、やっぱりこの人でなければ駄目と思ったら、苦しくってしようがなくなるじゃない。そしたら・・・そしたら・・・。」
「雫。ひょっとして今でも天沢君の事が好きなの?」
「それが・・・、よくわからないんだ。」
「もし、仮によ。彼とよりを戻すことになったら、私みたいな思いをする人が出来るってことになるんだよ。それでもあなたは天沢君に気持ちを伝える勇気がある? いばらの道を歩む覚悟がある?」
「・・・ない。」
「じゃあ、もう答えは出てるよね。」
「・・・確かに。」
「人を好きになる気持ちって大切だと思うし、それを好きな相手に伝えたら、相手にも気持ちに応えてほしいと願う。それは誰でもそう思うものよ。でも、それで誰かが不幸になったら、それでも本当に幸せと呼べるかしら。私は浮気された側だからそう思うのかもしれないけれどね。」
夕子の考え方は間違ってないと思う。同じ人を好きになり、私だけが上手くいったら彼を好きだった人はきっと悲しむだろうし、その逆の立場なら私も落ち込んでしまうだろう。誰かを傷つけずにいようとしたらどちらかが身を引くしかない。でも好きと言う気持ちはそんなにたやすく諦めきれるものだろうか。でも、自分の本心を心の奥に沈めることで、おとずれる幸せもあるのかもしれないとも思った。
「うん。あっ。そうだ! 今度は、私の事も聴いてもらっていい?」
「おっ。なになに。いいわよ。なんでもこい!」
夕子の表情が明るくなった。
「昨日ね。その天沢君にあったの。」
「えっ! どこで? 彼ってたしか海外じゃあ・・・」
「彼のお爺さんが亡くなってね。その葬儀に私も参列したの。そしたら、天沢君も来ていて、会っていろいろ話をしたのね。」
「うん。うん。」
「でね・・・」私は天沢君への持て余している感情を思いのまま告白した。夕子は真剣に私の話に耳を傾けてくれていて、私が話し終わると、顔の前で両手を組んで事件を探る探偵のように話し出した。
「そういうことがあったのね・・・。それじゃあ一つ聞くけれど、雫は天沢君とはどこまで深く付き合ったの?」
「えっと、それはつまり・・・。」
「そう。何処まで男と女の関係をもったかってこと。」
「えっと・・・。手をつないで、文通して・・・。」
「なに。中学生止まり?」
「うん。そう言うことになるかなぁ。彼はずっと海外だったしねぇ。」
「じゃあ、もう少し彼と話しをしてみたら?」
「ううん・・・。」
「二人とも大人でしょ。」
「そうだけど・・・。それで、やっぱりこの人でなければ駄目と思ったら、苦しくってしようがなくなるじゃない。そしたら・・・そしたら・・・。」
「雫。ひょっとして今でも天沢君の事が好きなの?」
「それが・・・、よくわからないんだ。」
「もし、仮によ。彼とよりを戻すことになったら、私みたいな思いをする人が出来るってことになるんだよ。それでもあなたは天沢君に気持ちを伝える勇気がある? いばらの道を歩む覚悟がある?」
「・・・ない。」
「じゃあ、もう答えは出てるよね。」
「・・・確かに。」
「人を好きになる気持ちって大切だと思うし、それを好きな相手に伝えたら、相手にも気持ちに応えてほしいと願う。それは誰でもそう思うものよ。でも、それで誰かが不幸になったら、それでも本当に幸せと呼べるかしら。私は浮気された側だからそう思うのかもしれないけれどね。」
夕子の考え方は間違ってないと思う。同じ人を好きになり、私だけが上手くいったら彼を好きだった人はきっと悲しむだろうし、その逆の立場なら私も落ち込んでしまうだろう。誰かを傷つけずにいようとしたらどちらかが身を引くしかない。でも好きと言う気持ちはそんなにたやすく諦めきれるものだろうか。でも、自分の本心を心の奥に沈めることで、おとずれる幸せもあるのかもしれないとも思った。