目が覚めて、時計を見ると午前11時になろうとしていた。頭痛はしっかり取れていて体もシャキッとしていた。内心ホッとしつつ追悼ミサに行く準備に取り掛かった。
シャワーを浴び、着替えをして、鏡の前に立つ。いつもは軽いメイクで済ませるのだけれど、ルージュの色はどうしようとかチークはどうしようとか柄にもなく考える。でも、慣れていないからまとまりがつくはずがない。
「やめた。いつもの私でいい!」と、心に決め軽いメイクで済ませる。時計を見ると12時を少し回っていた。家を出るにはまだ少し早いけれど、何処でもたつくか分からないから早めに家を出ることにした。
コートを手に取り袖を通したらこの間の情景を思い出し胸がきゅっとした。そして、メールでは平穏を装ったけれど、やっぱり天沢君が迎えに来てこれなくなった事をとても残念に感じた。
「ぐずぐずするな!私!」と、自身に気合を入れ直しコートを羽織って外に飛び出した。
日中だと云うのに外は薄暗くどんよりとした灰色の雲が空一面を覆っていた。空気も冷たく吐く息が白くなるほどだった。朝の天気予報でお昼から雨か雪になると言っていたのを思い出し、慌てて折りたたみ傘を取りに戻った。
私は慌てると色々な事を忘れてしてしまう癖がある。それが短所の一つである事を自覚しているから、何度も治そうと試みるのだけれど、慌ててしまうと治そうと思ってる事も忘れてしまうので、なかなか修正には至らない。だから家を出る前に、もう一度忘れ物がないかゆっくりと確認してから家を出て駅へと向かった。
電車に乗り、一駅先の河原駅で降りて教会に向けて歩いてゆく。平日の昼過ぎだから人も車もまばらで、街は静かな午後を迎えようとしていた。
教会に着くと駐車場にはもうすでに何台か車が駐車されていた。教会の扉をゆっくりと開けると、数人の人が手際良く追悼ミサの準備を進めている姿が見えた。
私は登志子さんやおばさまに挨拶しようと辺りを見回したが、おばさまのご長男である久貢さんやそのお子さん夫婦は見つける事が出来たけれど、お二人の姿を見つける事が出来なかった。久貢さんは私と目が合うと手を止めて会釈をしてくれたので、私もお辞儀をした。
時計を見るとミサまでまだ一時間半もある。やっぱりちょっと早すぎたかなと思ったけれど、外に出るのもおっくうだったから、椅子に座って時間が来るのを待つことにした。
前に来た時は周りを見る余裕すらなかったけれど、ステンドグラス等のアールヌーヴォー調のデザインが所々にみられ、とても素敵な建物である事に気づいた。
きょろきょろあちこちを見ていると、準備の様子を見ていたスーツ姿の老紳士が此方にやってきて「こんにちは。お早いですね。」と、声をかけてきた。
戸惑いながらも「こんにちは。」と、挨拶して老紳士をよく見ると、葬儀ときに聖餐台から説教をしていた人だった事に気づいた。
シャワーを浴び、着替えをして、鏡の前に立つ。いつもは軽いメイクで済ませるのだけれど、ルージュの色はどうしようとかチークはどうしようとか柄にもなく考える。でも、慣れていないからまとまりがつくはずがない。
「やめた。いつもの私でいい!」と、心に決め軽いメイクで済ませる。時計を見ると12時を少し回っていた。家を出るにはまだ少し早いけれど、何処でもたつくか分からないから早めに家を出ることにした。
コートを手に取り袖を通したらこの間の情景を思い出し胸がきゅっとした。そして、メールでは平穏を装ったけれど、やっぱり天沢君が迎えに来てこれなくなった事をとても残念に感じた。
「ぐずぐずするな!私!」と、自身に気合を入れ直しコートを羽織って外に飛び出した。
日中だと云うのに外は薄暗くどんよりとした灰色の雲が空一面を覆っていた。空気も冷たく吐く息が白くなるほどだった。朝の天気予報でお昼から雨か雪になると言っていたのを思い出し、慌てて折りたたみ傘を取りに戻った。
私は慌てると色々な事を忘れてしてしまう癖がある。それが短所の一つである事を自覚しているから、何度も治そうと試みるのだけれど、慌ててしまうと治そうと思ってる事も忘れてしまうので、なかなか修正には至らない。だから家を出る前に、もう一度忘れ物がないかゆっくりと確認してから家を出て駅へと向かった。
電車に乗り、一駅先の河原駅で降りて教会に向けて歩いてゆく。平日の昼過ぎだから人も車もまばらで、街は静かな午後を迎えようとしていた。
教会に着くと駐車場にはもうすでに何台か車が駐車されていた。教会の扉をゆっくりと開けると、数人の人が手際良く追悼ミサの準備を進めている姿が見えた。
私は登志子さんやおばさまに挨拶しようと辺りを見回したが、おばさまのご長男である久貢さんやそのお子さん夫婦は見つける事が出来たけれど、お二人の姿を見つける事が出来なかった。久貢さんは私と目が合うと手を止めて会釈をしてくれたので、私もお辞儀をした。
時計を見るとミサまでまだ一時間半もある。やっぱりちょっと早すぎたかなと思ったけれど、外に出るのもおっくうだったから、椅子に座って時間が来るのを待つことにした。
前に来た時は周りを見る余裕すらなかったけれど、ステンドグラス等のアールヌーヴォー調のデザインが所々にみられ、とても素敵な建物である事に気づいた。
きょろきょろあちこちを見ていると、準備の様子を見ていたスーツ姿の老紳士が此方にやってきて「こんにちは。お早いですね。」と、声をかけてきた。
戸惑いながらも「こんにちは。」と、挨拶して老紳士をよく見ると、葬儀ときに聖餐台から説教をしていた人だった事に気づいた。