さざんかさざんか咲いた道 焚火だ焚火だ落ち葉焚き あたろうかあたろうよ しもやけお手々がもうかゆい 街角から焚火もなくなってしもやけお手々も消え去ってさざんかだけが残った。そして爺さんばぁさんの胸の内に歌が残った。僕らの子供の頃は学校へ行く道で焚火をしている光景をいくつも見た。ドラム缶に廃材やらをくべて結構大きな火で火の粉なんかが舞っていた。僕らはズックで足先が冷たくて足を火の方へ伸ばして暖めながら学校へ行ったもんだ。足の小指にできたしもやけが温もるにつけて痒くてね。手にはあかぎれ、それでも元気で子供は風の子だったような気がする。猫は炬燵で丸くなり犬と子供は外で遊んでいた。さざんかが咲き誇るころになると鼻の奥に焚火の匂いが戻って来る。荒くたいオッサンの声や子供の声が不思議と思い出されるのだ。あの大らかな日々を懐かしむかのように。
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