

雲間から時おり青空が見える暖かい日だった。錦帯橋とその周辺は観光する人で賑わっていた。ソフトクリームの店先には求める人の列が見られた。乳母車を押す父親の姿を幾組か見かけた。
吉香公園の木々はすっかり落葉。イチョウの根本は黄色の絨毯となっていた。枝は少し軽くなったのか心なしか伸び伸びと揺れていた。松の幹に巻かれた除虫用のコモを背景にシャッターを押される家族もあった。
紅葉谷公園に洞泉寺(とうせんじ)がある。
禅宗、曹洞派のお寺で、室町時代安芸の国新庄に吉川経信によって創建され、吉川氏の岩国入りによって1603年(慶長8年)ここに移されて、洞泉寺なった。江戸時代、吉川氏歴代の菩提寺として筆頭であった。
山門の前には有名な「臥龍の梅」があり、樹齢390年を過ぎているそうだ。早春に開花し、訪れる人を和ませてくれる。県指定文化財の金銅如来像は釈迦如来として信仰を受けている(岩国観光ボランティアのホームページ参照)。
臥龍の梅を見に何度か訪れている。樹高は大人ほどなのに400年の重さを感じさせる。
臥龍の梅の手前に瞑想姿の「石像の子」が建っている。穏やかな顔を見ているだけで気持ちが癒される、そんな石像の子へ赤い毛糸で編んだ帽子と小さな肩掛けの袋が着けられていた。観光途中の方も「まあ可愛い」とシャッターを押されていた。
紅葉谷公園の紅葉は終終わっていたが、道沿いの落葉は秋をなごりおしそうに枝を見上げていた。
(写真は紅葉谷公園)