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こがね色の葉を誇らしげに着飾り秋空にそびえていた銀杏の木。そんな姿を忘れたかのようにひと葉も残さず散らし、どんよりした空に枝を伸ばしている。
こんな裸は「ちょっと寒い」と風に揺れる小枝がそっとささやいた。こうなるのは「来る春の芽ざめの準備」だと少し大きな枝が言って聞かせる。
季節が来たら教わらなくても、昆虫の脱皮のように豪華な衣装を脱ぎ辺りをその色で飾る。ひらりひらりゆらりゆらり、舞いながら落ちてくるこがね色の葉、それをつかもうと、両手をあげてあちらにふらりこちらにふらりと走りまわった。
高いこずえを見上げながら思い出していると「外で遊ぶ子どもがいないから寂しい」そんなひとり言をつぶやく翁のような銀杏。
今日は大寒、1年で寒さが最も厳しいという。大陸の発達した寒気団が南下して来るという予報を受け、今冬1番の寒さを予報士は解説している。銀杏の小枝にはもう少し我慢をしてもらおう。