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北風が少し強く吹く日、川沿いの土手を歩いていると「ガラガラ」というような音が聞こえる。悪い癖で何の音、と見回すが目に付くものはない。よく見ると、川原の枯れススキが擦れ合って出している音とわかった。
枯れススキ、歌謡曲に歌われると物悲しいイメージに連なる。ぎこちないなく擦れ合うたびに聞こえてくる乾いた音にそれはなく哀れさを感じる。
風、その吹き方やそのときの音で風のイメージが変わる。どんな風の音を知っているだろう。ひゅーひゅーという冷たい風、ごうごうという怖い風、ビュービューというとても強い風などはあまり好まれないだろう。
そよそよというやわらかな春の風なら誰もが喜ぶ。大寒を過ぎてピューピューという強くて冷たい風はこれからやってくる。時には勢いよく人も吹き飛ばしそうな風もある。小説だとぶぉーっと表現してある。どの風も人力ではどうしようも出来ない自然のこと。
その昔は「子どもは風の子」と教わった。寒い風、ひゅーひゅー風の吹く冷たい風の中でも子どもうちだけの遊びがあり、外で活発に遊んだ。そういえば、流感で学級や学年閉鎖があっただろうか、思い出せない。子どもは風の子だったからだろう。
(写真:哀れさを感じた風に揺れるススキ)