予測された通り今年の夏の暑さは一昨年に匹敵するものだった。原発が全停止の中で論じられた「節電」、その一部再稼動は伴ったが代替の発電で「電力停止」の難はのがれた。各層での真剣な日々の節電工夫が効をそうした。また、代替発電設備が大きなトラブルに見舞われなかったことも幸いした。
その節電期限が過ぎた。立秋からひと月、待っていたかのように朝夕は秋季を感じさせる。そして今日は二十四節気の一つ白露。「草の葉に白い露が結ぶ」意味。この節気の起源は中国で白といえば雪や冬を連想しますが、「白秋」の言葉通り、中国では白は秋の色を表すそうだ。
先日、S字カーブが連続する県道150号線を下っているとき、色づいて頭をたれた稲穂、澄んだ青空に浮かぶ白い雲が視界に広がった。車から降りて穏かな風景をしばらく眺める。棚段の黄色と緑のグラデーションが麓へ続く。
周りを見渡す。セミの声は聞こえない。そばの柿の木に小さな実がついている。石垣の上から2、3輪のコスモスの花が珍しそうに私を覗いている。はぜ掛け用の長い棒が出番を待っている。このあたりは麓よりひと足速く秋の装いが始まっている。
道路工事用の資材を積んだトラックが現実へ戻してくれた。側溝を気にしながら道幅一杯のすれ違いを数台と交わす。麓の国道は強い陽射しと渋滞で厳しい残暑だった。