大先輩の原口さんのブログを書かせていただきます、シモン役の雨宮大夢です。
書かせていただくのは奈須さんに続いて2回目ですが、たくさんの思い出と愛情が溢れんばかりにあるため、立候補しました!
原口さんの代表作は数え切れないほどありますが、僕にとっては『桜の森の満開の下』ですね。

さてさて、原口さんは福岡県久留米市出身です。
僕も母が福岡県の飯塚出身なので親近感がわきます。
さっそく余談ですが、昨年、原口さんの出身中学校で『走れメロス』の公演がありました。
サプライズで走った先生の衣裳が格好良すぎたり、終盤ほとんどの生徒が拍手していたり、とにかくすごい学校でした。
原口さんは岡山県の音楽大学を卒業した後、上京してNHKアクターズスクールに入りました。
そこで講師をやっていたのが、2019年に亡くなった伊藤克さんだったそうです。
これもまた余談ですが、僕の代(永野・篠原)は克さんから授業で教えを受けた最後の世代で、その点からも原口さんには繋がりを感じます。
その克さんに導かれて東京演劇アンサンブルに入団しました。
入団後すぐ『コーカサスの白墨の輪』のグルシェに抜擢されるなど、数々の主役を演じていき、今では公演活動・劇団活動両方に於いて劇団の中心・屋台骨であり続けています。
最近では研究生・劇団員でソング指導がある場合は原口さんに指導してもらうことが多いです。

とまぁ、ここまで一通りのプロフィールを紹介したので、ここからはもう一つ踏み込んで原口さんを紹介したいと思います。
まず、僕は2011年入団して、2012年に『ラリー 〜僕が言わずにいたこと〜』にキャスティングされました。
その後、2024年『消えた海賊』の大千穐楽までの約12年間、原口さんと同じ旅公演を過ごしました。

『ラリー』では原口さんが、『消えた海賊』では僕が、カーテンコールで観客に対して一言話していました。
劇団では「主役」とか「座長」とかいう言葉は使いません。
ただ、2時間近い公演を観たあとに最後に言う一言がどれだけ重いか、その言葉を軽視してもいけないし、それに引き摺られてもいけないということを原口さんを見て学びました。
さて、皆さんは「原口ステップ」というものをご存知ですか?
普通、カーテンコールで話す座長というのは一歩出て、そのままの位置で挨拶を終えることが多いです。
ところが原口さんは最後の一言のとき、例えば「ありがとうございました!」と言いながら、列に戻り、出演者全員と並んで礼をするのです。
これは他団体の公演や劇団の本公演でもあまりないことです。
なんと格好良いことでしょう!
アンサンブルの演技論がこの一歩に集約されているのです!
この事を発見したとき、出演者仲間で「原口さん、かっこええ!」って飲んだのをよく覚えています。
長くなってきましたが、最後にもう1つだけ俳優としてのエピソードを。
2020年3月公演『揺れる』です。

この作品で僕は「兵士」という役を、原口さんは「女」という役を演じていました。
「兵士」は「女」の子どもを戦場で撃ち殺した、そういう関係性でした。
キャスティングが決まってからずっと、寝ても覚めてもずーっと、僕は自分の役と原口さんの役と芝居の中の子どものことを考えていました。
もはや恋ですよね、ホントに。
ある稽古の日、原口さんの台詞を聞いた途端感情が溢れて泣き出し、嗚咽が止まらなくなった時がありました。
そのまま芝居が進むにつれて、緊張感を持つ人や同じように泣く人など、稽古場の空気がどんどん変わっていきました。
僕は(芝居で)怒鳴ったり泣いたりしましたが、原口さんはずっと凛としていて、僕を受け止めてくれました。
打ち上げの時にその時の事を聞くと、
「あの時、大夢と周りがああなってたから、絶対私は泣くまい、泣いちゃいけないと思ってた。」
って言ってました。
「抑制した演技」なんてよく言いますが、その大前提、土台には踏まえないといけないたくさんのことがあるんだと、原口さんを見て学びました。

そんな原口さんが今回の『白い輪、あるいは祈り』でやる役は
・料理女
・老婆
・陳情者たち
です。
僕はシモンとして料理女と絡むシーンも、地主として老婆と絡むシーンもあるので楽しい毎日です。
歌が上手い原口さんだからこその、普段アンサンブルで歌わないようなソロもあります。
可愛らしい原口さんも、人情味ある原口さんも、情熱的な原口さんも見られる今回の『白い輪、あるいは祈り』
お楽しみに!!

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東京演劇アンサンブル創立70年記念公演Ⅲ
白い輪、あるいは祈り
〜『コーカサスの白墨の輪』(ベルトルト・ブレヒト)より〜
鄭義信/作・演出
2025年
3/19 (水) 19:00
3/20 (木) 14:00/19:00★
3/21 (金) 14:00/19:00
3/22 (土) 14:00/19:00★
3/23 (日) 14:00
※★=Low Price Day
チケット(全席自由)
前売一般/4,300円
前売U30/3,300円
ペア/8,000円
Low Price Day/3,000円
当日/4,800円
お申し込みはこちら
スタッフ
脚本・演出/鄭義信
音楽/久米大作
舞台美術/池田ともゆき
衣裳/木場絵里香
照明/増田隆芳
音響/藤田赤目
振付/広崎うらん
擬闘/栗原直樹
メイク/高村マドカ
歌唱指導/吉村安見子
舞台監督/三木元太
宣伝美術/小田善久 伊波二郎
制作/太田昭 小森明子
出演
アツダク/洪美玉
グルシェ/永野愛理
シモン/雨宮大夢
浅井純彦
菊地柾宏
公家義徳
志賀澤子
鈴木貴絵
竹内茉由架
戸澤萌生
永濱渉
奈須弘子
二宮聡
林亜里子
原口久美子
彦坂紗里奈
福井奏美
細谷巧
町田聡子
真野季節
三木元太
公演HP
書かせていただくのは奈須さんに続いて2回目ですが、たくさんの思い出と愛情が溢れんばかりにあるため、立候補しました!
原口さんの代表作は数え切れないほどありますが、僕にとっては『桜の森の満開の下』ですね。

さてさて、原口さんは福岡県久留米市出身です。
僕も母が福岡県の飯塚出身なので親近感がわきます。
さっそく余談ですが、昨年、原口さんの出身中学校で『走れメロス』の公演がありました。
サプライズで走った先生の衣裳が格好良すぎたり、終盤ほとんどの生徒が拍手していたり、とにかくすごい学校でした。
原口さんは岡山県の音楽大学を卒業した後、上京してNHKアクターズスクールに入りました。
そこで講師をやっていたのが、2019年に亡くなった伊藤克さんだったそうです。
これもまた余談ですが、僕の代(永野・篠原)は克さんから授業で教えを受けた最後の世代で、その点からも原口さんには繋がりを感じます。
その克さんに導かれて東京演劇アンサンブルに入団しました。
入団後すぐ『コーカサスの白墨の輪』のグルシェに抜擢されるなど、数々の主役を演じていき、今では公演活動・劇団活動両方に於いて劇団の中心・屋台骨であり続けています。
最近では研究生・劇団員でソング指導がある場合は原口さんに指導してもらうことが多いです。

とまぁ、ここまで一通りのプロフィールを紹介したので、ここからはもう一つ踏み込んで原口さんを紹介したいと思います。
まず、僕は2011年入団して、2012年に『ラリー 〜僕が言わずにいたこと〜』にキャスティングされました。
その後、2024年『消えた海賊』の大千穐楽までの約12年間、原口さんと同じ旅公演を過ごしました。

『ラリー』では原口さんが、『消えた海賊』では僕が、カーテンコールで観客に対して一言話していました。
劇団では「主役」とか「座長」とかいう言葉は使いません。
ただ、2時間近い公演を観たあとに最後に言う一言がどれだけ重いか、その言葉を軽視してもいけないし、それに引き摺られてもいけないということを原口さんを見て学びました。
さて、皆さんは「原口ステップ」というものをご存知ですか?
普通、カーテンコールで話す座長というのは一歩出て、そのままの位置で挨拶を終えることが多いです。
ところが原口さんは最後の一言のとき、例えば「ありがとうございました!」と言いながら、列に戻り、出演者全員と並んで礼をするのです。
これは他団体の公演や劇団の本公演でもあまりないことです。
なんと格好良いことでしょう!
アンサンブルの演技論がこの一歩に集約されているのです!
この事を発見したとき、出演者仲間で「原口さん、かっこええ!」って飲んだのをよく覚えています。
長くなってきましたが、最後にもう1つだけ俳優としてのエピソードを。
2020年3月公演『揺れる』です。

この作品で僕は「兵士」という役を、原口さんは「女」という役を演じていました。
「兵士」は「女」の子どもを戦場で撃ち殺した、そういう関係性でした。
キャスティングが決まってからずっと、寝ても覚めてもずーっと、僕は自分の役と原口さんの役と芝居の中の子どものことを考えていました。
もはや恋ですよね、ホントに。
ある稽古の日、原口さんの台詞を聞いた途端感情が溢れて泣き出し、嗚咽が止まらなくなった時がありました。
そのまま芝居が進むにつれて、緊張感を持つ人や同じように泣く人など、稽古場の空気がどんどん変わっていきました。
僕は(芝居で)怒鳴ったり泣いたりしましたが、原口さんはずっと凛としていて、僕を受け止めてくれました。
打ち上げの時にその時の事を聞くと、
「あの時、大夢と周りがああなってたから、絶対私は泣くまい、泣いちゃいけないと思ってた。」
って言ってました。
「抑制した演技」なんてよく言いますが、その大前提、土台には踏まえないといけないたくさんのことがあるんだと、原口さんを見て学びました。

そんな原口さんが今回の『白い輪、あるいは祈り』でやる役は
・料理女
・老婆
・陳情者たち
です。
僕はシモンとして料理女と絡むシーンも、地主として老婆と絡むシーンもあるので楽しい毎日です。
歌が上手い原口さんだからこその、普段アンサンブルで歌わないようなソロもあります。
可愛らしい原口さんも、人情味ある原口さんも、情熱的な原口さんも見られる今回の『白い輪、あるいは祈り』
お楽しみに!!

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東京演劇アンサンブル創立70年記念公演Ⅲ
白い輪、あるいは祈り
〜『コーカサスの白墨の輪』(ベルトルト・ブレヒト)より〜
鄭義信/作・演出
2025年
3/19 (水) 19:00
3/20 (木) 14:00/19:00★
3/21 (金) 14:00/19:00
3/22 (土) 14:00/19:00★
3/23 (日) 14:00
※★=Low Price Day
チケット(全席自由)
前売一般/4,300円
前売U30/3,300円
ペア/8,000円
Low Price Day/3,000円
当日/4,800円
お申し込みはこちら
スタッフ
脚本・演出/鄭義信
音楽/久米大作
舞台美術/池田ともゆき
衣裳/木場絵里香
照明/増田隆芳
音響/藤田赤目
振付/広崎うらん
擬闘/栗原直樹
メイク/高村マドカ
歌唱指導/吉村安見子
舞台監督/三木元太
宣伝美術/小田善久 伊波二郎
制作/太田昭 小森明子
出演
アツダク/洪美玉
グルシェ/永野愛理
シモン/雨宮大夢
浅井純彦
菊地柾宏
公家義徳
志賀澤子
鈴木貴絵
竹内茉由架
戸澤萌生
永濱渉
奈須弘子
二宮聡
林亜里子
原口久美子
彦坂紗里奈
福井奏美
細谷巧
町田聡子
真野季節
三木元太
公演HP