a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

『彼女たちの断片』稽古場より1

2022-02-22 20:00:00 | 稽古場ブログ
稽古後に地道に叩いていた舞台装置、粗方建て込みが終わり、立ち稽古に入りました!
近頃シンプルな装置が続いていたので、久しぶりに「木材触ってる~!!」って感じがしております。
まだまだ完成は先ですが。




今回のブログ、天野みちる役を演じます永野愛理がお届けします。
さて、今回の『彼女たちの断片』は、
カナダの支援団体Wowen on Webから取り寄せた経口中絶薬を使って中絶をする大学生と、
その様子を見守る女たちの群像劇です。

昨年12月に日本でも承認申請がなされニュースで話題になった『経口中絶薬』ですが、
みなさんはその存在をどれくらいご存知でしたか?
実は私自身、昨年に作家の石原燃さんから「中絶をテーマにした本を書きたい」と伺うまで、その存在を知らなかったのです。

世界70ヵ国以上で使用され、WHOの必須医薬品にまで指定されているこの薬を、
昨年12月以前に日本に住むどれくらいの人達が認知していたのでしょう?
「何故こんなにも知らなかったんだ?」という疑問を掘り進めていくとぶち当たる
とある壁について、今回の作品の登場人物たちは様々な切り口で語り合います。

中絶を女性自身が選び取れる」権利について話すことは、
同時に「子を持つことを誰にもコントロールされない」権利と同じ地平の話であるはずなのに、
やはり前者にばかりつきまとうタブー感が頭をよぎる時、
女性に課せられたスティグマの根深さを思い知ります。
私の身体は私のもの、こんな当たり前であるはずのことが何故難しいのだろう…。

「妊娠する身体を持った者たち」の物語ですが、彼女たちのことを想うとき、
あらゆる性を持ったすべての人たちの声が聞こえてくるような、そんな作品です。
誰もが当事者で、観ながら自分のことを大切に思う気持ちが皆様の中に芽生えていくような、
そんな芝居になるよう、最後まで稽古に励みます。
まだまだ厳しい状況は続きますが、劇場でお会い出来ることを楽しみにしておりますね。


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TEE 東京演劇アンサンブル公演
  彼女たちの断片 
作/石原燃 演出/小森明子

―公演日程―
2022年3月23日(水)~3月27日(日)

  ★=Low Price Day

—会場—
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール

—チケット—
全席自由/チケット発売順に整理番号発行・整理番号順の入場
料金:前売一般/3800円 
   前売U30/3000円
   ★=Low Price Day/2500円円
   ペアチケット/6000円(2枚セット)
   当日/4500円
 TEE Webチケット

助成:文化庁舞台芸術創造活動活性化事業
協賛:ケンタウルスの会(TEE友の会) 

観劇における新型コロナ感染症対策ご協力のお願い

当日券につきましては、劇団FacebookページTwitterにてお知らせします。

—スタッフ—
音楽/国広和和毅
舞台美術/香坂奈奈
衣裳/稲村朋子
照明/真壁知恵子
音響/川崎理沙・島猛
映像/三木元太
宣伝美術/ Judith Clay・奥秋圭
舞台監督/浅井純彦
演出助手/黒川アンナ
制作/太田昭
制作助手/志賀澤子

—登場人物―
静谷晶(44)グラフィックデザイナー
 洪美玉
天野ゆき(44)グラフィックデザイナー
 原口久美子
高崎涼(35)グラフィックデザイナー
 山﨑智子
静谷葉子(70)日仏翻訳者 晶の母
 志賀澤子
天野みちる(20)大学生 天野の娘娘
 永野愛理
多部真紀(20)大学生 みちるの友だち
 仙石貴久江
水越まゆみ(52)喫茶店店員 葉子の友だち
 奈須弘子

—あらすじ―
大学生の多部が望まない妊娠をしてしまった。
友人みちるに相談して、海外の支援団体から「中絶薬」を送ってもらって中絶することにした。
みちるの母の同僚であるにカードを借りて送金し、薬は届いた。
中絶薬は二種類、2日間かけて飲む。海外では広く普及している薬だが、日本ではやっと承認申請するところだ。(2021/12/22申請)
安全な場所は?と考えた末、やはり母の同僚のに頼んで泊めてもらうことにした。
この物語は2日目の薬を飲む一夜を描く。
みちるの行動に不信を覚えた母・天野が、晶の家に乗り込んでくる。行動的なみちるだが、母親とはあまり口をきかず、わだかまりを抱えていた。みちるの妊娠を疑った天野に、多部が、自分が妊娠したのだと告げる。
一方、晶の母・葉子の友達で、総菜の宅配をしているまゆみも定期便を持参した。
この7人の女たちが、中絶の一夜を過ごすことになる。
中絶薬のこと、日本の医療のこと、生殖をコントロールする国家、その歴史などが語られる一方、7人のそれぞれが抱えてきたこと…妊娠、中絶、性、レイプ、家父長制、優生思想等が、モノローグや一対一の会話、更にみんなとのお喋りのなかで語られる。
多部は、6人の大人たちによって守られるなかで、無事に終えることができた。7人の女たちは、それぞれ、この一夜の経験を持ち帰っていく…。





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