a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

行ったり来たり ~幕開いたり~

2024-03-23 10:00:00 | 稽古場ブログ

こんにちは、永野愛理です。
"行ったり来たり"する主人公、ハヴリチェクを演じます。



いよいよ本番の幕が上がります!
おかげさまで我らが本拠地・野火止RAUM公演は満席となっておりますので、ご予約がお済みでない方はぜひ、3/28からのすみだパークシアター倉まで足をお運び頂ければと思います。

2度目の劇場ですが、思えばちょうど1年前には同じ会場で12歳女児を演じていたのですね…
1年後に50歳男性を演じることになろうとは思ってもおりませんでした…なかなかのギャップではないでしょうか…?笑

とはいえ、おじさんであること、男性であることは、実はあまり意識しておりません。
どうやったって30代女性の私が演じるのですし、私が感じ私の身体を通った言葉をきちんとお届けすることが、私がこの役にチャレンジする意味でもあると、まだまだまだまだ探り続けております。



『法律は法律ですからね。』
『しかしそんな法律は、非人間的じゃないかね——』
『一般的な国家機構のなかで、一個人の運命がすり潰されるなんて、ザラにある話ですよ。』

こんな台詞に「確かにザラにあるわな」と虚しくなる私と、「ザラにあってたまるかよ!!!!」と中指を突き立てたくなる私とを行ったり来たりしながら、“人間的‐非人間的”という言葉について改めて考えます。
「あたし…人間的って何かは分からないけど、非人間的なことが何かは分かるつもり。」
これは『消えた海賊』で私が演じていたマルガリータの台詞です。
法律・ルール・境界線というものがもし何かを守るために存在するならば、その“何か”の内側と外側は何をもって線引かれていくのでしょう。

支え合える家族もおらず、手塩にかけた自分の店はライバル店の出現で潰され、
30年納め続けた税金を生活保護として受け取ることもできず、果ては国を追い出され、
道中に出会った夫婦からは理不尽に八つ当たりされ、辿り着いた隣国でも無碍にされ…
どこにも立つ瀬なく、何者にもなれず、ひとりぼっちでこれでもかという災難続きのハヴリチェク。
なのにどういうわけだかラブレターの伝書鳩になっちゃったり、キレ散らかされた人に同情してみちゃったり、お人好しなようでいて案外すぐにプッツンと頭にきちゃったり、しっちゃかめっちゃかに振り回される大忙しの彼の目を通して、誰かの人間性に触れ、誰かの非‐人間性に触れ、怒り、泣き、笑い、最後まで行ったり来たりを繰り返そうと思います。

非常にバカバカしく、人間の悲喜交々が錯綜する芝居ですので、肩肘張らずふらりと観にいらしてくだされば幸いです。
すみだパークシアター倉にて、お待ちしております!

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東京演劇アンサンブル創立70年記念公演 第一弾
  行ったり来たり

エデン・フォン・ホルヴァート/作
大塚直/訳・ドラマトゥルク
公家義徳/演出

2024
3/23 (土) 14:00★
3/24 (日) 14:00★
 野火止RAUM

3/28 (木) 19:00
3/29 (金) 14:00/19:00
3/30 (土) 14:00/19:00★
3/31 (日) 14:00
 すみだパークシアター倉

全席自由
前売一般/4,300円 
前売U30/3,300円
★=Low Price Day/3,000円
当日/4,800円

Staff
音楽/monje
舞台美術/公家義徳
衣裳/稲村朋子
照明/真壁知恵子
音響/島猛
舞台監督/永濱渉
宣伝美術/本多敬 永野愛理
制作/小森明子 太田昭

Cast
ハヴリチェク/永野愛理
サメク/洪美玉
エーファ/福井奏美
コンスタンティン/雨宮大夢
ムルシツカ/浅井純彦
ハヌシュ夫人/西井裕美(フリー)
X/原口久美子
Y/志賀澤子
個人教育者/二宮聡(フリー)
その妻/鈴木貴絵
レーダ夫人/町田聡子
シュムッグリチンスキー/小田勇輔

公演詳細、チケットのお申し込みはHPにて


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