a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

a letter from 『送りの夏』vol.12

2023-03-14 16:18:28 | 劇団員リレートーク
物悲しいバイオリンの前奏で始まるさだまさしの「精霊流し」は、
「去年のあなたの思い出が〜」と哀調たっぷりに歌が始まるが、
実際の「精霊流し」は全然違う。
15年程前の父の初盆の時に私も久しぶりに経験したが、
初盆の家で、
家人が故人の霊を送るために家族総出でリヤカーに乗せた精霊船を作り
(これも、昔は藁や竹を編んで作っていた覚えがある。今はベニヤや材木で作るのが多いかな)、
提灯に火を灯し果物やお菓子の供物を乗せ、
「ちゃんこんちゃんこん ど〜いどい」と呼ばい 鐘を鳴らし爆竹を空中に投げながら、
家から各地区の海辺の集積所までの数キロを押していく、
かなり騒々しいお祭り的なものだった。
(今では考えられないが、私が子供の頃は藁製の精霊船を海に流していた。
海洋投棄である。
だから最近は集積所に集めるようになったのだ。)

葬式もそうだが、送る・流すのは残された者が、
喪失の哀しみや後悔など自分の心の穴、
どうしようもないものと折り合いをつける為の儀式なのだと思う。
故人のためではなく、残された者のための。

死には2種類あって、一つは肉体の死。
そしてもう一つは家族・親類・知人が故人のことを忘れる・思い出さなくなったとき、
だそうだ。
私も折に触れ、亡くなった両親のことは思い出すが、
新型コロナのこともあって故郷には帰れていない。
コロナもだいぶ落ち着いてきたので、
お盆は無理でも秋頃には帰省してお墓参りに行こうかな、
と 思わせてくれた今回の『送りの夏』です。

と、この文章を書いているのは13日の夕方。
公演のための荷積みも終わり、
ほとんどの人が家路に就き、
静かになった劇団の片隅で書いています。

明日(14日)はお休みでいよいよ明後日(15日)9時から仕込み、
17日から本番が始まる。
出来ることは目一杯やってきたつもりだが、もう少し稽古時間が欲しい、
というのは、いつもの事。
どう受け止めてもらえるか、期待と不安両方ともある。

今日から全国で、マスク着用は自分の判断でということになった。
少しずつコロナ前の日常に戻っていくようだ。
劇場では感染対策もしっかり取りながら、
皆様をお迎えします。
是非おいでください。お待ちしています。



浅井純彦

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東京演劇アンサンブル公演

送りの夏

作=三崎亜記『バスジャック』(集英社文庫刊)より
脚本=西上寛樹
演出=三木元太

2023
3/17 Fri 19:00
3/18 Sat 14:00/19:00★
3/19 Sun 14:00
3/20 Mon 19:00
3/21 Tue 14:00
すみだパークシアター倉

全席自由
前売一般3800円 前売U30 3000円
★=Low Price Day 2500円
当日4500円

staff
音楽/中野亮輔(青年座)
舞台美術/三木元太
振付/明樹由佳
衣裳/清野佳苗
音響/島猛
照明/真壁知恵子
宣伝美術/奥秋圭
舞台監督/雨宮大夢
制作/太田昭 小森明子

cast
徳永麻美/永野愛理
徳永晴美/奈須弘子
徳永康之/和田響き
幸村幸一/永濱渉
辻原弘一/小田勇輔
辻原美智/山﨑智子
種村義一/浅井純彦
山下啓太/雨宮大夢
黒田蒼哲/公家義徳
ご近所1/志賀澤子
ご近所2/真野季節

公演詳細、チケットのお申し込みはHPにて

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