空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

ベルギー下院はブルカ着用を禁じ得る法を通過する

2010-04-30 18:00:00 | Newsメモ
BBC Belgian lawmakers pass burka ban 30 April 2010 01:34 UK

 ベルギー下院は反対票なしで公衆の面前での―公園や通りやでの―ブルカ着用を禁じ得る法を可決。但し祭礼時を除く。罰金は15-25ユーロ,ないし7日までの拘禁。賛成134,棄権2。上院へ回されるが,文面の変更の可能性等で遅延はあり得るものの,原則通過する見込み。

 採用されるとなれば,これはこの種の法としてはヨーロッパ最初のもの。アムネスティとしては「危険な先例」と評価。女性にブルカないしニクァブを禁じるのは,それらを着用することによる信教の自由・思想表明の自由を侵すものであるという。

 ムスリム団体としては,このような法は当該女性を家々に閉じ込める結果をもたらしかねないと批判する。

 議員たちは,治安上の観点からこの法を支持した模様。またある議員たちは,フルフェイスのヴェールは女性への抑圧の象徴であると論じる。成立は早くて6-7月,選挙があればさらに遅れる模様。

 影響を受けるであろうのは,同国50万人ほどのムスリムのうち,約30名ほど。

 
 概算,同国ムスリム女性の0.012%,ムスリム人口の0.006%が直接的影響に晒されるわけである。…計算,間違ってないよね? 治安上の問題というのは,最も典型的には自爆テロに悪用されること,も少し日常的には様々な違法物品の隠匿・輸送に用いられる危険をいうのだろう。

 ―敢えて付言すれば,『全身覆う衣服であることを悪用し,(細身の)男が女装(ブルカ姿)で色々わるいことする』ことを妨げようとしての立法なわけだ。靴も女性用のを履くなど念の入った連中もあることであり,懸念は無根拠ではない。

 過激派イスラミストの向きには,『嗚呼この法は貞節なムスリム女性を公衆の面前で裸(※顔を。)にする権限を警察に与えんとする西欧キリスト教徒の破廉恥極まりない淫謀でありキリスト教徒の品s(ry』とヒートアップするのでないかとも思うのですが,その『ムスリマの貞節高潔』を表す(はずの)衣装を下劣卑劣な自爆虐殺犯の象徴に育て上げたのは誰だったのかと。

 イスラム聖戦士の皆様がたがブルカを政治的に利用すること一度もなければ,このような予防措置は決して積極的に認められることはなかったでしょうに! ―仏教のお坊さんの僧服にせよ,キリスト教の聖職者の衣装にせよ,テロリストが潜むかもしれないからと着用禁止の法令が用意されたり発せられたりしたでしょうか? 私は寡聞にして知らない。

 しかしまあ,思えば過激イスラミストにしてみれば,自爆するのはイスラムの大義を示すためということのはずであるかと思われ―ブルカ姿で爆発するのは,それはムスリマへの絶大なる敬意の現れなのかもしれません。

 イスラエル軍に包囲されたモスクから全身ヴェールで女装して女性の中に紛れて脱出するのも,まあ勇猛無比なイスラム聖戦士としての苛烈な闘争の一形態なんでしょう。
 まあこの辺の感覚を理論的にあるいは熱烈に感情的に広報すると賛同者も出てくるかもしれません。

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