コスタリカで,平和憲法を作ったところ・・
— 岡口基一 (@okaguchik) 2017年11月27日
国家予算の3割を占めた軍事費を国民の教育へと回した結果、中米の教育大国に
周辺国に対話の重要性を訴え,紛争を終結に導くhttps://t.co/1DB6w5JfEE
毎日新聞 「改憲勢力3分の2超」維持したが 世界は9条を欲している 毎日新聞2017年11月27日 東京夕刊
「「コスタリカの警察組織は軍並みに武装しているという話が日本で語られますが、とんでもありません。沿岸警備隊だってボートのような哨戒艇1隻があるだけ。もちろん戦車1両もなく、とても軍と呼べるレベルではありません」」
「伊藤さんの解説が続く。「かつて国家予算の3割を占めた軍事費を国民の教育へと回した結果、コスタリカは中米の教育大国になりました」
そりゃ3割なんて軍事費のほうが悪いよ。
外務省 コスタリカ共和国(Republic of Costa Rica)基礎データ
「2 GDP(名目) 50,415百万ドル(2016年 中銀)」
「(1)治安予算: 約413百万ドル(2016年)」
なので、治安予算はGDPの約1%(0.8%くらい)。穏当なところか。
ちなみに
外務省 大韓民国(Republic of Korea)基礎データ
「2 名目GDP 1兆3,779億ドル(2015年)」
「(ア)予算 40兆3347億ウォン(2017年度)」
我が隣国は1ドル~1000ウォン換算で403億3470万ドルの国防費なので、対名目GDPはざっと3%といったところか。我が国は2017年度国防予算が5.1兆円、2016年度名目GDPは約537兆円? ならば1%に満たない。コスタリカに比べれば「かけすぎ!」と言えるが、韓国の立場からすると「身の程を知ってもっとカネかけろ! 誰が最前線をやっていると思ってるんだ!」と言いたくなるのではないか。
というのも
The Page 「平和主義」コスタリカに本当に軍隊はないのか? 2015.05.25 15:30
「「常に民主主義の側につく」ことを宣言しているため、コスタリカの中立主義は実質的に米国寄りのスタンスを生む」
「コスタリカは「アメリカ大陸の安定」のための協力は否定していないので、米軍と協力することも稀ではありません。1965年に発生したドミニカ内戦では、米州機構(OAS)の平和維持部隊に警察官を送っていますが、この介入はドミニカが「第二のキューバ」になることを恐れた米国の主導による」
「中南米で活動が活発化し、凶悪化する麻薬カルテルを取り締まるため、コスタリカ政府は米軍の駐留を認め、2010年7月には米海軍の艦船がコスタリカに入港」
ということで、米国の巨大なプレゼンスを前提に、コスタリカは”お安く”軽装備でいられる―という側面を無視しきれない。日本としても、東西冷戦の最前線を韓国が担っていてくれた側面を無視しきれない。
「コスタリカ政府は2011年1月、警察の中に国境警備を専門とする特別部隊を新設することを発表。高速艇などを配備することで、常設軍の廃止以来、第二次世界大戦当時の巡視艇などに頼っていた沿岸警備を強化する方針」
「2014年のコスタリカの治安関連予算は4億2000万ドルと、ニカラグアの軍事予算8500万ドルを上回ります(ミリタリー・バランス)。戦闘機などの高性能兵器を持たず、公式には軍隊がないものの、コスタリカの非武装はグレーなものといえる」
とまあ、コスタリカと日本を直接比較すると、日本の重武装っぷりが際立つのだが、いざコスタリカと隣国ニカラグアを比較すると、なんか胡散臭いというかきな臭いというか、平時にあって乱を忘れなさ過ぎるだろうがという感がある。
再度、外務省データを参照すると
外務省 コスタリカ共和国(Republic of Costa Rica)基礎データ
「2 GDP(名目) 50,415百万ドル(2016年 中銀)」
「(1)治安予算: 約413百万ドル(2016年)」
「3 一人当たりGDP 10,877ドル(2015年 中銀)」
「2 人口 約481万人(2015年 世界銀行)」
外務省 ニカラグア共和国(Republic of Nicaragua)基礎データ
「2 GDP(名目) 126.9億米ドル(2015年:世銀)」
「(1)予算 73百万米ドル」
「3 一人当たりGDP 2,087米ドル(2015年:世銀)」
「2 人口 608万人(2016年:世銀)」
警察力/兵力は双方12000人程度の規模らしいのだが。人口比から言えば、コスタリカの治安関係者の存在比率は変ではなさそう(0.25%)。しかし、治安予算=警察予算だけでも、隣国ニカラグアの5倍以上。名目GDPなら4倍ちょい、一人当たりGDPなら5倍ちょい。
…重装備を持たない警察のほうが、たとえ多少人数が多かろうが安く済むはずだという想定からは、コスタリカはなんか結構頑張って予算を張り付けている感が、この単純な数字の比較からはある。なお日本の平成16年度予算関係からは、警察の予算は3兆6376億くらい(第7章 公安委員会制度と警察活動の支え 7 警察の予算)、自衛隊は4兆8764億くらい(平成16年度防衛力整備と予算の概要(案))。人数(定員)は警察のほうが1割増しくらい。
…再掲して、コスタリカの治安関係者の対人口比0.25%は変ではない。我が自衛隊も、警察力も、どうも対人口比0.25%前後くらいに収まるようだ。だからこの点、「コスタリカに見習え」は実力組織の半減を意味するので、うんまあ治安関係費が低くなりますよね、ということにもなる。いずれにしても、対GDP比であれば、日本より潤沢な割合の警察予算をつぎ込んでいることになりそう。
とはいえ、やはり、コスタリカはあえて重武装といえるほどではない。比較的潤沢な予算は、やや仲のよろしくないかもしれない隣国からは脅威の一部と受け入れられそうだが、決定的とまでは言えそうでない。
それにしても、この国の経験を一般化するわけにはいかなさそう、というのは―少なくとも日本の直接のテキストブックにはなりそうもないというのは―状況の違いと言ってしまえそう。
だいたい民主主義で押していける隣国関係、その「親玉」が絶望的に強大なプレゼンスを示している情勢。この「親玉」を掣肘できる存在はない。そのほかの周辺諸国の正規軍の装備も、なんというか、大仰でない。グアテマラ陸軍の戦車って、M41とからしく、原型は朝鮮戦争時代に遡るらしく…。
…歩兵の練度の度合いで対処可能なのじゃないか、この段階って。
そんなわけで
1) 味方たる超巨大な「親玉」がすぐ近くにいること
2) その「親玉」の暴力が当該地域で絶望的に強力であること
3) 我が「警察力」は、近隣の仮想敵国になりそうな国の軍隊と同水準の規模・予算をもつこと
がバランスを崩さず「平和国家」を維持するキーになりそう。
ということで、「コスタリカに学ぶ」場合、自衛隊を解除し、警察予算は韓国の軍事費(対GDP比3%)にあわせて平成29~30年水準で16兆円ほどを予定する、というあたりでどうだろう…ってそれ、平成16年度の3兆6000億の4倍以上の水準。
そうではなく、かっちりコスタリカ風に、治安予算を対GDP比1%以内くらいに抑えろ!というなら、我が国で言えば自衛隊か警察か、どっちかを止めればだいたいその水準になるものと思われる。
軍を止めろ、という文脈なのだから、自衛隊を止める、という選択になるだろう。その場合、近場で問題が起こった場合、お手を煩わせることになるのは頼れる友邦アメリカ合衆国か、歴史的な隣国韓国兄貴になるのだろうか。しかし、これ以上韓国の軍事費負担を増やすのは、流石に韓国国民に悪いんじゃねえかなあ、とも思われる―
…だって、自衛隊一個分の軍事プレゼンスの穴をまるごと韓国一国でふさげという場合、それ、「軍事費、二倍にしろ」って意味になる。対GDP比6%を超えるよ。それ、どうもイスラエルを超えるっぽい。
…まあ、まるのまんま自衛隊一個分でなくとも、それ、流石に韓国経済、窒息してしまわないかな。
そうでなくとも、中国が負担するという手もないではない。しかし航空管制についても、「ぼくできるもん!」と宣言した範囲についても些か足りざるところあり、と先日示されたりしたところであり…。
……国際協調を思うに、やはり止むをえず、相当規模の(まあ現状程度の)自衛隊を維持せざるを得ないというのが穏当なところじゃないかねえ。
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