日経新聞 幸福の国ブータン 揺れる幸せの定義(2015年5月24日 6:35)
「「国民総幸福(GNH=Gross National Happiness)」--。不思議な言葉だが、聞いた途端にその発想の古くて、新しい響きに打たれる。2008年9月、ブータンのティンレイ首相が国連総会の演説で紹介し、世界に「幸福度を測る」という観点での経済、政治、社会などの見直しの機運が広がった。成長至上主義、市場経済万能の発想に対するアンチテーゼとなった。それはヒマラヤに抱かれ、伝統文化を維持する神秘的な国からのメッセージであったからこそ強い説得力を持っていた」
とまあ、えらいことオリエンタリズムまるだしな感じの書き出しですなとか、そんな感想を持ってもいいだろう、うん。
「現地からの映像で印象的だったのは、やはりブータンでも幸せの定義が揺れている様子だった。家族の衣服を洗濯する農村部の主婦は「洗濯機が欲しい」と漏らし、姑が「幸せ度10点満点」と明るく笑う傍らで、「幸せ度5点」と密かに答えていた。伝統的な生活を好みながらも、労働を軽減したいという人間の欲求はヒマラヤの高峰を望む村でも東京やニューヨークと変わらない。年老いた姑自身は数年前に購入した中古のテレビに感激しており、新しいモノへの人間の関心、そこから得られる楽しみを正直に語っていた。そうした人間の根源的な欲求がイノベーションを生み、経済を発展させる原動力になったのも間違いない」
というあたりで、選択肢が示されてしまったからには、その選択肢を選びえないことに対する不幸を感じざるをえない、そんな現実が展開してしまうのであり。
Business Insider パソコンと携帯電話が変える、"幸せな国"ブータンの今(Jul. 27, 2018, 04:00 PM ) By mark abadi
NewsWeek 「幸せの国」ブータンの意外に不都合な真実 2018年5月28日(月)11時55分 テジ・パリク(ジャーナリスト)
「「幸せの国」ブータンが、経済成長に苦しめられている――WHO(世界保健機関)が5月初旬に発表した世界の大気汚染都市ランキングは、その不都合な真実を露呈した。ブータンの工業都市パサカが、スモッグで悪名高いインドの各都市に並ぶ上位にその名を連ねたのだ」
「ブータンの南部に位置するパサカは、同国最大かつ唯一の工業地域だ。インド国境に近いことから原材料の貿易ルートに恵まれているこの町には、ケイ素鉄や鉄鋼の工場が集結。これが汚染の元凶となる一方で、経済の大部分を農業や水力発電、林業に頼っているブータン政府にとっては重要な収益源となってきた」
―だから「必要悪だ」というのは、あまり昨今の西側民主国家群的ではない。
また、高額なビザ料金は外国人の進入を阻むものの、やはり収入を限定するものではある。
くわえてインフラ整備の不足は、道路事情・交通事情のみならず、電力不足と、それを補うための水力発電開発による環境劣化、下流への影響―
―まあその。「みんなしあわせなすてきなくに」というのは、「より幸せな状態」を誰もが知らない状態であればこそであった―というのは一面の真実ではある、という。そんなメモ・。
朝日新聞 「幸せの国」ブータンに異変 スマホ漬けの子どもたち 保科龍朗 2018年8月24日 10時20分
「この知られざる仏教王国の現実を、ある家族に降りかかった問題を通して描き出したドキュメンタリー映画「ゲンボとタシの夢見るブータン」が公開される」
「長男のゲンボは、人生の進路の選択を迫られ、困り果てていた。息子を寺の跡継ぎにしたい父親から、僧院学校に入り、出家するよう懇願されているが、踏んぎりがつけられないのだ。
女子サッカーのナショナルチーム入りを目指しているタシは、心の性別が男性のトランスジェンダーだ。彼女も父親から、女の子らしく、つつましく生きよと諭され、とまどっていた」
―という問題が展開しうる。選択肢が増えることを、基本的には「幸福である」と断じるのが近現代のメインストリームだと思うが、それがブータンの「幸福」を決定的に破壊したわけでもある。では民はこうした状況の下、より不幸になったのか、より幸福になったのか?
【授業資料】
「「国民総幸福(GNH=Gross National Happiness)」--。不思議な言葉だが、聞いた途端にその発想の古くて、新しい響きに打たれる。2008年9月、ブータンのティンレイ首相が国連総会の演説で紹介し、世界に「幸福度を測る」という観点での経済、政治、社会などの見直しの機運が広がった。成長至上主義、市場経済万能の発想に対するアンチテーゼとなった。それはヒマラヤに抱かれ、伝統文化を維持する神秘的な国からのメッセージであったからこそ強い説得力を持っていた」
とまあ、えらいことオリエンタリズムまるだしな感じの書き出しですなとか、そんな感想を持ってもいいだろう、うん。
「現地からの映像で印象的だったのは、やはりブータンでも幸せの定義が揺れている様子だった。家族の衣服を洗濯する農村部の主婦は「洗濯機が欲しい」と漏らし、姑が「幸せ度10点満点」と明るく笑う傍らで、「幸せ度5点」と密かに答えていた。伝統的な生活を好みながらも、労働を軽減したいという人間の欲求はヒマラヤの高峰を望む村でも東京やニューヨークと変わらない。年老いた姑自身は数年前に購入した中古のテレビに感激しており、新しいモノへの人間の関心、そこから得られる楽しみを正直に語っていた。そうした人間の根源的な欲求がイノベーションを生み、経済を発展させる原動力になったのも間違いない」
というあたりで、選択肢が示されてしまったからには、その選択肢を選びえないことに対する不幸を感じざるをえない、そんな現実が展開してしまうのであり。
Business Insider パソコンと携帯電話が変える、"幸せな国"ブータンの今(Jul. 27, 2018, 04:00 PM ) By mark abadi
NewsWeek 「幸せの国」ブータンの意外に不都合な真実 2018年5月28日(月)11時55分 テジ・パリク(ジャーナリスト)
「「幸せの国」ブータンが、経済成長に苦しめられている――WHO(世界保健機関)が5月初旬に発表した世界の大気汚染都市ランキングは、その不都合な真実を露呈した。ブータンの工業都市パサカが、スモッグで悪名高いインドの各都市に並ぶ上位にその名を連ねたのだ」
「ブータンの南部に位置するパサカは、同国最大かつ唯一の工業地域だ。インド国境に近いことから原材料の貿易ルートに恵まれているこの町には、ケイ素鉄や鉄鋼の工場が集結。これが汚染の元凶となる一方で、経済の大部分を農業や水力発電、林業に頼っているブータン政府にとっては重要な収益源となってきた」
―だから「必要悪だ」というのは、あまり昨今の西側民主国家群的ではない。
また、高額なビザ料金は外国人の進入を阻むものの、やはり収入を限定するものではある。
くわえてインフラ整備の不足は、道路事情・交通事情のみならず、電力不足と、それを補うための水力発電開発による環境劣化、下流への影響―
―まあその。「みんなしあわせなすてきなくに」というのは、「より幸せな状態」を誰もが知らない状態であればこそであった―というのは一面の真実ではある、という。そんなメモ・。
朝日新聞 「幸せの国」ブータンに異変 スマホ漬けの子どもたち 保科龍朗 2018年8月24日 10時20分
「この知られざる仏教王国の現実を、ある家族に降りかかった問題を通して描き出したドキュメンタリー映画「ゲンボとタシの夢見るブータン」が公開される」
「長男のゲンボは、人生の進路の選択を迫られ、困り果てていた。息子を寺の跡継ぎにしたい父親から、僧院学校に入り、出家するよう懇願されているが、踏んぎりがつけられないのだ。
女子サッカーのナショナルチーム入りを目指しているタシは、心の性別が男性のトランスジェンダーだ。彼女も父親から、女の子らしく、つつましく生きよと諭され、とまどっていた」
―という問題が展開しうる。選択肢が増えることを、基本的には「幸福である」と断じるのが近現代のメインストリームだと思うが、それがブータンの「幸福」を決定的に破壊したわけでもある。では民はこうした状況の下、より不幸になったのか、より幸福になったのか?
【授業資料】
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