空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

麻生氏,発言を撤回(BBC記事+α)

2013-08-02 04:42:55 | Newsメモ
「前首相の麻生氏は,議論を呼ぶコメントをすることで名高い」との旨のキャプション付。

BBC Japan Deputy PM Taro Aso retracts Nazi comments 1 August 2013 Last updated at 09:17

 麻生氏は,日本はナチスが憲法を改訂したテクニックを学ぶことができると言ったものだ。この発言は,日本が,その軍事力を自衛目的に制限する平和主義的憲法についての議論に湧き立つ中で行われ―韓国と中国とから非難を呼んだ。

 ―で,誤解を呼んだ,ナチスを例に挙げた点を取り消すと声明したという。”私の発言全体からは,私がナチスとワイマール憲法に絡んだ事件について非常に否定的だということが明らかだ”。

 でまあ,取り消し内容及びナチスの行動を非難する意図の確認について言及され,ワイマール憲法がwithout being noticedのうちに改廃されてしまったことについての歴史的事情(国会議事堂放火事件→非常事態宣言→全権委任法)について軽く纏めて,中国と韓国の外交部広報官からの非難のコメントを挙げている。

 曰く―日本側には歴史を考慮することを勧めよう。歴史的関与について責任を果たし,確実な行動を通じてアジアの諸隣国および国際社会の信頼を勝ち得るように! この発言は多くの人々を傷つけた。


※中国と韓国とから非難声明が発せられているが,中国の報道官によれば日本はアジア諸国からの信頼を失ったとの旨,前提されていることに注意してもいい。中国の,その自任する地位が想像されるといっても間違いではないでしょうね。
※”そのように”読めるようにも書いている点,プロパガンダをしようとする人は(それこそ)よくよく手法を学ぶといい。”本当をつく”だけで,一定の方向に人を誘導し得る手法である。

※そういう読みを否定しようという人は,後続箇所を読むといい―曰く―

 安倍首相は―その党は今は両院を支配しているが―日本の軍事的な役割を,アジア太平洋地域の安全上の環境の変化に対応するよう再考したいと示唆している。安倍氏は,彼は軍隊についての厳しい規制を緩めるため,憲法についての議論を”拡大し深化し”たいと表明している。

 中国と韓国は,そうした方向での日本の憲法改定の案には反対である。

※とあって,中国と韓国は麻生氏に反対で,中国と韓国は日本の憲法改定に反対だと書いてある。

 ―さあ。単に事実を書くだけで,少なくとも意識的にニュースを聞こう・読もうとする者にどんな印象を与えるか,感じ取れるのではないか(まるでソ連時代の報道の手法のようではあるが)。

読売新聞 悪しき例としてナチス例示…麻生氏コメント全文 2013年8月1日19時38分

私は、憲法改正については、落ち着いて議論することが極めて重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、同研究会においては喧騒にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである」(部分引用)

 個人的には

 という感じ。

朝日新聞 麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細 2013年8月1日2時18分

私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持であったり、そうしたものが最終的に決めていく」(部分引用)

 なので,市民も議員も「きっちりしようや」という意図であるわけだ。誰も何もせんでも立派に機能する憲法であれ,という意見は無茶なのだと。

偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました」(部分引用)

 この点は自民党讃歌になっているので,自民党支持者の向きは大いに引用して広めるべきところでしょうな(※註:産経新聞「麻生副総理「ナチス憲法発言」の要旨 2013.8.1 14:03」に言及なし)。
 議論を深めていったんだという点では十分民主主義の肯定なので

 最終的には最後の箇所の浮きっぷりがアレなのであって:
いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね」(部分引用)

 …言葉遣いには注意しようか,というお話ですね。たまには厳しく怒られるといいと思います。

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