空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

高等教育無償化:大学に条件をつけるべきなのかどうか

2018-06-02 18:38:58 | ノート
 文科省側の見解がどうなるかは見ものですな。

NHK 高等教育の無償化 学生が通う大学などに“条件” 政府が方針 5月31日 1時33分(2018年)

低所得世帯を対象とする高等教育の無償化をめぐり、政府は、学生の通う大学などで、卒業に必要な単位の1割以上の授業を実務経験のある教員が担当していることなどを支援の要件とする方針を固めました

 またぞろ、「ヤアヤア、学歴コンプレックスの安倍による高等教育破壊プランが」との声が出よう話である。

高等教育の無償化をめぐり、政府は、年収380万円未満の世帯を対象に、所得に応じて段階的に大学などの授業料を減免するほか、生活費についても返済のいらない給付型奨学金を支払うなどの支援を行う方針です

 これははっきりとプラスであると評価したい。
 …いやあの、親には申し訳ないが、学校出してもらったおかげで、給料の額面は親二人分より以上、貰ってるはずだから、私…。だから、大学・大学院教育の成果は、ハマれば、明らかなのだ。
 ともあれこの「ハマれば」、ちゃんと就職にありつければ、というのが大問題。
 そこでまず、学生の学業がきちんと進展すること、スキルが身につくことをきちんとチェックしたい:

学生についても、成績の状況などを毎年確認し、1年間に必要な単位の6割以下しか取得していないときや、成績が下位4分の1に属するときは、大学などから警告を行い、連続して警告を受けた学生への支援は打ち切ると

 さらにそのスキルが、きちんとカネに繋がるようでなければならない―というわけで

卒業に必要な単位の1割以上の授業を実務経験のある教員が担当していることや、理事に産業界など外部の人材を複数任命していることなどを支援の要件とする方針

 こんな風になる。まあ、言いたいことはわかる。ポピュリズムによりすぎだとは思うが。
 実務の現場的には



 ということもある。なおこの際、「我々は学生が四年間で学ぶべきことを徹底的に吟味してカリキュラムを作っているのだ」に対して、『だったら新時代に合わせて考え直せよ』という声が投げつけられるだろうことを考えておきたい。まあその、文科省からがんじがらめにされていたりして、こっち(現場の末端公務員)としては裁量の余地なんてろくろくねえや、という言い方もあろうし(私はそっちにあまり関わらない側である)、まあ観測用アドバルーンだよなこの政府案は、と言う感が。

 なお実務教員と言う概念については



 ということもあり、神職・僧職の籍のあるひとはばっちり実務家教員であり、つうことは僧侶養成大学はもはや政府提案を満たしてるじゃねえかさっさと援助してやれよ、という話にも。



 …これでよくない? という気もだいぶする。大企業から寄付金を募り、「トヨタ自動車記念水素電池研究講座」とか設置し、そうした実務講座の教員の講義を10%以上とること―ということにする。その講座に所属すればほぼ自動的に10%なんてクリアするし、そういうところから親企業・親企業系列の会社に推薦なんてのは見えるコースだ。青田刈りともいえるが刈られるほうにも利益がある。

 別に大学の制度的設計にまで手を出す必要はない。なので



 この「利権あさりじゃないか」説は、肌感覚としては「うんもう、そうなるよな、これ」という感がある。





 現場教員の怨嗟の声が聞こえる思いである。






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