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項羽と劉邦 (上 中 下)を読んだ

2008年03月04日 23時36分18秒 | 読書評
項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社

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項羽と劉邦 (上 中 下)を読んだ。
中国の古代史の小説を読むのは、今回が初めてなのですが、登場人物の氏名、地名
などがぴんとこずに馴染めずすんなりと読めるまでに労を要した。

古代中国の戦国時代の国家構築の為の志と日本の戦国時代のその意識とは、幾分
かけ離れていることに違和感を覚えた。古代中国の国家構築には、どちらかという
と外部周辺の事由でその首領となるものが多く、一番の源泉となるのが、食料を
得るというところが面白く感じた。時代が紀元前200年ほどであるから、国家を
作るという厚誼の思いで進めるという観点はどちらかというと薄く、本能的に
食を得る為というところが、人の原点を洗い出しているようでこの辺がストレート
なのが妙に解せないところでもあった。素直に考えると食べるためと仕事を進める
上では、現代人もそうであるが、国家創設という高尚な目的に対して貧疎に思えた。

項羽と劉邦の両名についても書いてある内容から、個人的には魅力的な人物像を
得ることはなかったが、その時代の国家創設の中心人物として、時代に押し上げ
られ野心を働かす部分は、素直に理解できる。

項羽は、武を要に戦闘によるカリスマ性を発揮し国家を創設、拡大し、一方で
劉邦は懐の深い意思をもち、武に極端に偏ることなく、戦略、策を駆使して
戦果を上げるも項羽には百戦百敗。負け続けながらも何故か生きながらえ、
最後には、人望によって軍の拡大に成功し、最後は項羽を取り囲み滅亡へと
走らせる。項羽に武力では常に圧倒されながらも、兵糧を十分確保し籠城による
我慢比べはおかしくもあった。項羽をみると逃げはて、その割りには隙を見ては
大群で攻撃にでるも、またまた負ける。その繰返しをあらたな登場人物をまじえて
話が展開する。戦いに驚きを覚えるような策が描写されているわけではないので
話のなかでコントラストも少ないので、途中からは先が見える部分もあるので
一部退屈に思えるところもあった。

目的意識を強固に貫こうとするものと割りと柔軟にどんな手でも使って爬虫類の
ようにしたたかに意思を広めて、人々の意思で軍への参加を問うような柔軟な姿勢
で国を立ち上げる両将の姿勢には脱帽するばかり。

両将の姿勢や問題解決に向けての取り組みについては、十分な考えあるかと思い
ますが、その目新さも詳細な描写の記述が見ることが多いが、それぞれの人物
の魅力の発散には少しエネルギーが足らないような気もした。

現代のビジネスに振り替えても項羽はトップダウン型でなんでも自身で決めなくて
は、納得できない特性がある。方や、階級の低い人間から様々な話を聴き、徴用し
自身の戦力として受け入れる度量が面白い。


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