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黒い雨 を読んだ。

2008年03月15日 00時39分56秒 | 読書評
黒い雨 (新潮文庫)
井伏 鱒二
新潮社

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黒い雨を読んだ。

井伏 鱒二の代表作で学生のころからそのタイトルと広島の被爆体験の話という
ことくらいは知っていた。あまりこのような重い内容の小説というものに、自ずと
避けていたところもあり、そして興味が育まれることがなかったので、読まないま
までいた。

今回読んでみて、その先入観が少し温度が変わった。
ストリーというか、その内容は、主人公重松の被爆直後から終戦までの日記の
描写と重松の姪の縁談話が主な内容。文学評などは、この縁談話のことがポイント
っぽく書かれているが、個人的な感想としてはここの部分は薄かったような気が
した。書かれている内容のほとんどが被爆後の惨劇の状況描写を淡々と描いて
いるが、そこには悲惨さばかりが前面にでるのではなく、非情な状況のなかでも
助け合う姿勢と最悪な状況でも生き抜く生命力というものを、過度な描写に
ならないよう描いているところに温かみを感じた。

最悪の状況になっても日本の国民というものの力強さはしたたかですばらしい
特性だと痛感した。

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