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亡国のイージス (上) (下)を読んだ。

2008年03月14日 00時15分14秒 | 読書評
亡国のイージス 上 講談社文庫
福井 晴敏
講談社

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亡国のイージス 上 下を読みました。

面白いストーリーでいっきに読んでしまいました。
個人的にもこの手のストーリーは好きで登場人物にも共感できる部分も多く
妙に納得しながら読み進めました。

フィクションの世界とは言え、自国の国防という問題に危機感を提起しており、
そのリアルさが読み進む際の関心を高いまま維持できるようなインパクトの強い
ストーリーだった。防衛問題も現在もいろいろな議論があるが、非常に大きな
防衛予算を拠出している現状があるが、その軍備がほんとうに効果があるのか
という懸念が湧いて来る。非常事態が起こった場合に今の政府や自衛隊という
組織が問題、事件の本質を瞬時に捉え、妥当性のある判断ができるのだろうか
ということを考えさせられた。最近もイージス艦が漁船と衝突し、その事件
の実態を隠蔽するような印象もあり嫌悪感が高まる防衛省。そのような国家
機関に本当の有事の場合に適切な判断を委ねられるのだろうかというような
こと考えてしまった。

それぞれの登場人物に現代の歪も重ねられ、復讐、孤独な忍耐、融和と温かみ
などの要素が強調されて印象が深い。主人公の千石と如月行の心理的な葛藤と
行動力、生命力というもののが場面、場面で細部にわたり良く描写されている。
危機を脱出するための心の底からのエネルギーの放射に邪心を洗われるような
印象を与える。如月行のひたむきさは、個人的には好きな人物像であり、自分
にも取り込みたい姿勢でもある。

ストーリーの展開はスリリングで、途中の大どんでん返しも文章からは、どちら
が本当かと疑念もいだかせる。ストーリーのなかで多くの人が死を迎えるのだが
最後はハッピーな場面もありほっとして読み終えられるとこも良い。ひさしぶり
に出会った良いストーリーではないかと思う。

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